高級店で食事すれば成長できると思っている人たちへ

「先生、ミシュラン掲載店やVIP御用達の高級店で食事をすると人間として成長できますよね?」

「ん」


「相川先生のインスタやブログを見ていると、本当に美味しそうなお食事がしょっちゅう出てきます。肉汁が滴る鉄板焼きや、新鮮な旬のお魚、それに豪華なフレンチやイタリアンとか、スゴイです。お金持ちでいらっしゃるからそんな風に食事に投資できるんですよね?それでいて庶民的なマックのフライドポテトや焼き鳥もお好きでいらっしゃる。そういう値段にこだわらない飲食センスっていいなと思うんです」
「へぇ」






「僕は人間的に成長して、早くお金持ちになりたいです。お金持ちになるには、お金持ちから学ぶことが早い。そして、その人たちの習慣を真似することだと聞きました。だから、高級焼肉店や高級和食を食べに行かなければいけないと考えているんですが、、、今はそれだけのお金の余裕がないので、まずはできることから、つまり先生のブログやそういったお店の記事を読んだりYouTubeを見てイメージトレーニングしています」
「気になるなら食べてみれば?」


「そうですね・・・会社の先輩と食事や飲みに誘っていただく機会はあるんですが、どうしても僕のように成長意欲が高い人はいなくて、どうしても鳥貴族とかいきなりステーキとかの庶民的なお店になっちゃうんです。。そういう庶民的で安いお店じゃダメですよね?成長できませんよね、それに自宅で一人で食事と思うと時間がもったいないので、コンビニやファーストフードか、ウーバーいーつになっちゃいます」
「そんなもんだろうな」

「相川先生がお金ないときはどうされてたんですか?起業されて最初の1年半はアルバイトや派遣をされながら生活していたんですよね?」
「ん?そりゃ、自分でお弁当作ってたよ」


「おぉーー自炊ですか!どんなお弁当ですか??」
「そりゃお米と肉野菜炒めだな」


「ふつーですね」
「ふつーだな。でも、料理してから冷まして弁当箱に入れなきゃいけないのを知らなくて、ランチタイムに食べる頃には大概酸っぱくなってたよ」


「あぁーーご存知なかったんですね」
「うん。あれはツラタンであった」

「ファーストフードは召し上がってましたか?」
「普通に食べてたよ。今もたまに食べる。というか、まず、勘違いしているようだからはっきり言っておくことがある」



「あ、はい!」
食事と成長はなんの関係もない



「・・・ありませんか」
「ないな」

「いやでも、高級な本物のお食事や、健康志向の食べ物を食べた方がいいんじゃないんですか?」
「いや、食べたきゃ食べればいい、それだけのことだよ」


「そうですか・・・でも相川先生はグルメでいらっしゃるわけですよね。それに、食事について特にこだわりをお持ちですよね。そのような成功者やアーティストがすごく多くいらっしゃいますよね。だからそこに何かエッセンスのようなものがある。だから、一般的に高級料理を食べれば成長できると言われるのではないでしょうか」
「お腹にはいりゃなんでもおんなじだがね」


「それはそうですけど・・」
「二点、知っていて欲しい。一つは表現。二つ目はキャーー!だ」


「え?あああっと、なんですか。表現とキャァ?」
「まず、マクドナルドであろうとルサンクであろうと、スタバであろうとトッレサラチーノであろうと、そこには表現があるということ。 例えばマクドナルドというのは、大衆向けファーストフードの王様だね。素材は謎だらけだけれど少なくともすぐには絶対病気にならないモノをすぐに提供してくれるだろう?ドライブスルーなんてすごいよね。確立されたフランチャイズシステムもすごい。私なんて、パークハイアットの中にマクドナルドがあったらいいのになってしょっちゅう思うよ。あんな安くて速いものはないからね。そこにある表現やメッセージを汲み取ることだと思う」


「・・・・それはim loving it! みたいなキャッチコピーのことですか」
「それはマトをいてるね。例えばパリのミシュラン二つ星ルサンクさんは非の打ち所がない王道フランス料理なわけだけれども、まぁすごいよね。まずロケーション。フォーシーズンズの一階。美しい調度品、シャンデリアの煌めき、チャーミングで完璧なホスピタリティを演出するギャルソン。そして伝統に則ったスタイルのフランス料理に、モレキュール、つまり分子ガストロノミーからアーティスティックな要素を取り入れたセンス。来客もまたある程度は美しい格好をしてきてくれる人たちだから、まぁ満足いく程度には静かに食事を楽しめるね。だからシェフの言わんとするところ、それにオーナーの伝えたいことあぶれずに伝わってくる。それを読み取るだけのお客が来れる」


「・・・すいません、先生、マクドナルドとその高級フレンチの間に共通点を見出すことができません。どう考えてものパリの方が優れていて、マクドナルドなんて論外という話に感じてしまうんです」
「うん、論外、ということがポイントだ。 つまり、全くの別物だということだよ。パークハイアットやイルプリンチペのベッドはそりゃ完璧な快適さを誇る品質だろうけども、まさかサバンナのサファリでテント泊するときの寝袋に、同じクオリティを求めはしないだろう?」


「いやそれはそうですけれども、例えがグローバルで極端すぎてピンと来ないだけかもしれませんが・・・」
「もう一つはキャーー!だ。これは男性より女性の方がストレートな反応をする。いわゆるインスタ映え。演出のことだ。通常女性は評論家的な小難しい言葉を並べておいしさや素晴らしさを表現することはしない。 美味しい!ステキ!ジュウジュジュ!口でとろける!とか、そういうシンプルでストレートな言葉が大好きだ。だが、神が男性と女性を分けて創った以上、女性たちのストレートな表現は馬鹿にできない。それがキャーーー!なのだよ」

「・・・なんかそれって、言葉は悪いですけど、馬鹿っぽいというか、ギャルっぽいというか、、、僕はそう感じてしまうんですが。。もしそういう女の子とパリのそのお店に行ったら、お店のスタッフや他のお客さんに迷惑をかけてしまいませんか??日本の恥になってしまうような・・・」
「ノンノン、そんなことはないよ。だって、そもそもフランス料理なんてものが高級なのがおかしいのだよ。だってその辺で弓矢で捕まえた動物を斬って焼いて、素手で食べてたような連中なのだよ?我々日本人なんてスゴイ。魏志倭人伝の時代にすでに庶民から貴族まで全員お箸で食事してたんだからね。大体フランス料理なるものはイタリア・フィレンツェのメディチ家で食べられていた食事がルーツだと公式に言われているくらいだから、オリジナリティなんてものを議論することが無意味だと思うね。ギャルがキャアキャア言って食べるのはちょっと下品だから嫌だけれど、そのキャーー!は大切なリアクションだと思うよ」


「・・・歴史ですか」
「まぁ歴史や文脈っていう男性的な発想は、付加価値をつける上では有効なケースが多いよね」

「・・・・・最初の質問に戻りますが、高級店で食事するべきですか?」
「うん。素晴らしいサービス、素晴らしい食事に触れたことがあるかないかは大きな違いになるね。95%の人にとっては」

「それはどういうことですか」
「ひみつ。世界は広いよ大きいよ。次元もまた多様だからね」





どちらでもいい。

と、私は心から思う。

その辺に生えている雑草と、街中で見かけるカラスや鳩を捕らえて煮て焼いて食べること。

または、ちゃんとしたお店で食事すること。

そこに本質的な違いは何もない。

私の友人たちを見ていると、一般の人たちとは明らかな違いがある。

それは、食事について、あらゆる側面で認識しているということだ。

味、見た目、サービス、見せ方、心など。

彼らは世間的に見たら、世界人口の1パーセントのお金持ちであるわけだけれど。

意外とふつーにコンビニ弁当を食べたり、銭湯に浸かっていたりする。

大切な言葉。


それは









わかる










ということだ。


ひらがなで書いているのは、わかるとは様々な漢字が当てられ、それぞれでその「わかる」の次元が変わるからである。

その「わかる」の次元を高めることは、人生を楽しく生きる一つの指針になるかもしれない。

かもしれない、というのは、私は美味しいもの素晴らしいものを食べるが大好きだからである。

あなたがそうかは知らない。

もし大好きならこの「わかる」について、明日から食べるものについてその都度考えてみていただきたい。

その結果、私が世界中の最高のグルメを経験してきて得たものと、同じものが「わかる」かもしれない。

そこにあるエッセンスは、なかなかにステキなものだ。

どうステキかって?

そうだな・・・

例えていうなら、スタインウェイのフルグランドピアノをホールの上で自由に演奏してる時の感覚かな??

タッチと反響で音色が自在に変わって聞こえてくるよ。

あれは気持ちいいな・・・


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