今日は西塚市クリーンデー!
2025年、夏。
ついに西塚市の犯罪率が120%を超えた。
原因は明白で、10年前、政府は治安維持のため西塚市を犯罪特区に指定し、以来、凶悪犯罪者をこの街に送り込み続けたのだ。おかげで市の年間死者数は50万人を超え、毎日どこかで死体の山が見つかる。
「………」
そこは西塚市役所。
その一室にいる、1人の男。
小木曽正平、現市長である。
彼は疑問に思う。
なぜ、どうしてこうなった?
彼はこの街で生まれ、この街で育った。昔は死体なんてどこにもない、普通の街だったはずだ。彼は考える。何とかして思い出の、あの平和な西塚を取り戻したい。犯罪のない西塚を!
そして、そんな彼が苦しみぬいて出したアイデア、それが———。
「市民全員殺せば犯罪率もなにも、0%じゃんね」
* * *
ピンポーン。
竹中修司の家に奴らが来たのは日曜の午後だった。
「どちら様ですか?」
妻の美穂が扉を開けると、そこには細身のスーツ男が立っていた。
「西塚市役所です」
どうかしましたか?と彼に尋ねる美穂。
すると、まさにその時だった!
「死ね市民!」
そう言って突然、男は毒ナイフを美穂に向かって突き出したのだ!
あっけにとられ、動けない美穂!
だが次の瞬間!
ボンッ!
鈍い音と共に、男が突如、吹き飛ばされたのだ。男はそのまま向かいの塀に叩きつけられ死亡!
「大丈夫か?」
そうして美穂の背後から現れたのは、全長2mの大男、竹中修司である。彼は拳の血を拭いながら言う。「さっき町内会から電話があった。市長が狂って市民を殺戮しているらしい」
電話によると今、みんなで集まって作戦会議の最中だという。市長を全員で返り討ちにし、市中引き回す予定だそうだ。修司も誘われたが、そんな外道な連中と一緒にされたくないので断った。
「……ほんと、バカな市長だ」と彼は呟く。
修司は町内会のメンツを頭に浮かべる。そこにロクな奴はいなかった。「お前が敵に回したのは、ただの市民じゃない」
「犯罪都市西塚の市民だ」
【続く】