浮遊する都市

しばらく文章を書いてなかったので、どんなことになるのやら。なのですがnoteを始めます！

1st solo album「muonk」（読み : むおん）をリリースして1年が過ぎました。そろそろ次の音源を出したいと思い、ようやく制作を始めたところです。

そこで、1st albumを改めて振り返ってみて自分自身の次作への糧にしつつ、皆さんとも作曲方法や曲の風景など共有出来ればと思いました。1回目はアルバムの1曲目に入っている「浮遊する都市」について解説します。

■ 浮遊する都市

＜歌詞＞

光の群れの中 彷徨う鳥たちが
均等に揺らめく 黒と白の狭間
削られた感触 振動は凶器に
足元を見つめて 静かに息を吐く
近づいた声 触れる

息を吸って 息を吐いて

例えばそれが本当の声だとして
僕は全てを抱きしめられるの
こんなに美しいのに
（振り切った 残像が 焼き付いて 離さない）

※歌詞は今回初めて文字にしました。作った当時は、歌が「音」であって欲しかったり、景色であって欲しかったので、敢えてCDにも掲載しておりません。

＜楽曲について＞

冒頭の「とてとつってっとたたつとっててー」は人々の歩く波の音からふっと湧いてきた語感です。太字の部分だけ音程を正確に取っていますが、後は喋るよう歌っています。それでも後から重なる「とととってーたっとった」のフレーズと違和感なく融合している。音程がぶつかりそうなのに意外とすんなりと噛み合う。「歌」って、楽譜に書ききれない音程や表現方法が幾つもあるから、本当に楽しくて魅力的だと感じています。この歌の絶妙な絡み合いこそ、この曲でチャレンジしたかった事の一つです。

楽曲の構成はほぼポリリズムになっています。ただ、結構複雑な組み合わせになっていて、前半は4/4拍子なのですが、ピアノが2拍3連で入った後、バスドラムが裏拍から入って来ていつの間にか表拍になります。その後クラップが３拍４連（３小節に１度頭が揃います。）で入り、最後に16分音符を刻むピアノが入ります。弾いている音も調からアウトしている音が入っていて、崩壊寸前の組み合わせなのですが（笑）、小節の頭に打っているピアノコードと、歌のメロディーによって4拍子を感じられるようになっています。よく聴くと難解だけど、耳障りが良く、ポップであることを目標にしていたので、ここではその目標は達成出来たかなと思います。

↓表にするとこんな感じで全く揃わない音符たち。。赤丸のところでようやく。

↓「浮遊する都市 Inst ver.」楽器の絡み方がより分かるかと。（歌がないと結構暗い曲だなぁ。）

後半(近づいた声触れる～♪のあと)も全楽器揃って4/4拍子かと思いきや、実は8/8＋9/8拍子になっています。少し、もたった感じを出したかったので1/8拍足しました。ただ、ピアノだけそのまま4/4拍子なのでだんだんとズレていくのがお分かりかと思いますが、計算したら次に揃うのが17小節後です。（多分。。）演奏するのが本当に大変なのですが、バンドメンバーの皆さんのスキルに手助けしてもらいました。ゲコくん、ごっちゃん、杏ちゃん、かおりちゃん、さいちゃん、何とかしてくれて本当にありがとう!!!笑

この曲はアルバムの中で、一番最後に作曲しました。その他の曲は3年前からネタがあって、その頃は作曲を始めたばかりで、それはとても暴力的で剥き出しなものだったと思います。制作の途中でTKさんのサポートをはじめ、色々な方のサポート演奏で関わらせてもらいました。そこで感じたことはPOPは正義だ！と言う事です。POPへの憧れと尊敬が私の中でふつふつと湧いてきました。直感や思い描いている景色だけを音にしていた私のそれとは異なり、ものすごく考え抜かれた音楽の世界を感じました。この曲ではその要素を取り入れることが出来たと思っています。アルバムの他の楽曲より少しポップに感じていただけていたら幸いです。

この曲で描いている景色は私の中で「この街のここ。」ってピンポイントで思っている場所があるのですが、それを言ってしまうと皆さんの思い描くものの幅を狭めてしまいそうなので控えておきます。ご自身の思う風景や季節、時刻や匂いなど想像してくれたら幸いです。
ただ、私が今住んでる東京という都市は、冷たい部分や汚い部分もあるけども、それだけじゃなくて、美しく愛おしいと思えるところが沢山あります。人も街も。だから楽曲の音の並びはガチャガチャしているんだけど、全体で聴いた時に美しく優しく聴こえていたら本望です。

折角なのでMVを上げておきますね。水村さんのダンスや表現が素晴らしいんだよー。ぜひ！制作してくれたsuqのお二人にも感謝です。

最後まで読んでくれてありがとうございます。
他の楽曲も少しずつ解説していけたらと思ってます。だし、もっとラフなことも書いていきたいです。今日ボルダリング登って楽しかったとか。笑

皆さまこれからもどうぞよろしく◯

鎌野