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【ルネサンス】第二回 北方の初期ルネサンス

西洋美術史

皆さん、こんにちは前回5月10日の投稿で「ルネサンス第一回初期ルネサンス」を紹介しました。
ボッティチェリの『春』など、遠近法とよりリアルな肉体描写など、これまでにはない描写が登場したのが初期ルネサンスでした。

今回は西洋美術史のルネサンス第二回目、「北方の初期ルネサンス」を紹介します。
イタリア・フィレンツェで起こったルネサンスは欧州北方にどのように伝わり、どのような美術を生み出したのか楽しみですね。

全体から見た、今回紹介する時代位置

西洋美術史には以下の分類があります。
① 古代美術
② 中世美術
ルネサンス
④ バロック・ロココ
⑤ 近代美術
⑥ 現代美術

③ルネサンスは以下の分類があります。
1. 初期ルネサンス
2. 北方の初期ルネサンス
3. 盛期ルネサンス
4. ヴェネツィア派
5. 盛期北方ルネサンス
6. マニエリスム

今回は、2.北方の初期ルネサンスを紹介します。

まとめてみたい方は、マガジンに「【美術】知っているとちょっと格好いい」に今まで投稿した分はまとめているのでそちらでまとめてご覧ください。

それでは、早速見ていきましょう。


北方の初期ルネサンス

年代:15世紀~16世紀
地域:フランス・ドイツ・オランダ
特徴:油彩技法
油彩技法とは、透明の油に顔料を混ぜて描く技法、従来のテンペラ技法より発色がよく、リアルな質感や光を表現することができる。油彩技法は以後の西洋美術の基本となり、現代にも受け継がれている。

イタリア・フィレンツェでルネサンスが花開いた15世紀、ネーデルラント(現在のベルギー・オランダ)やフランス、ドイツなど北方でもルネサンスが開花した。毛織物工業と国際貿易で栄えたフランドル地方を擁するネーデルラントでは上層市民が登場し、その経済力で文化を築き上げた。そして、美術によって、聖書の主題を日常で展開しようという試みがなされた。

イタリアのような古典回帰の要素は見いだされないが、現実的な肖像画が盛んに制作された。


それでは実際の具体例とともに、北方の初期ルネサンスを見ていきましょう。


ファン・エイク兄弟


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『ヘントの祭壇画』ファン・エイク作
(ベルギー、ヘント、シント・バーブ大聖堂)


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『ロランの聖母』ヤン・ファン・エイク作


新しく開発された油彩技法を使用した最初の複合祭壇画として重視されているのがファン・エイク兄弟の『ヘントの祭壇画』だ。
兄のフーベルトが書いた部分は非常に細密な描写で、構造としては平面性が重視されている。弟のヤンが書いた部分は現実的な奥行き感を表現していると分析されている。
ヤンはブルゴーニュ公国の宮廷画家兼侍従として活躍し、『ロランの聖母』にあるように奥行き感あふれる風景描写を取り入れた。この空気遠近感はネーデルラントの画家たちにも継承されていく。


カンパン


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受胎告知』(メロード祭壇画の一部) カンパン作

ネーデルラント絵画の創設者のひとり、ローベル・カンパンは15世紀を通じて大きな影響力を持った。この時期に「フレマールの画家」と呼ばれる人物が評判を得ていたが、カンパンと同一人物とみなされている。
カンパンの『受胎告知』が多くの受胎告知とは異なる点は、マリアが懐妊を告げられる場所が普通の民家の部屋で行われるという点である。その中には日用品が多く描かれ、経済的に豊かになった市民階級が求めた現実志向がありありと反映されている。その日用品は写実的に描かれているが、一つ一つがキリスト教の意味を象徴している。国際ゴシック様式の貴族趣味とは違い、日用品という点に15世紀らしさがにじむ。
カンパンが描く『受胎告知』は遠近法が発達しておらず、奥行きが浅いわりにいつは細長く奇妙な印象を与える。しかし人物は立体的で生々しく描かれている。


ロッホナー


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『薔薇園の聖母子』 ロッホナー作
(ドイツ・ケルン)

百年戦争が終息してからも商人階級が権力を握らなかったフランスでは、美術活動は主に宮廷で行われるものだった。
ドイツではシュテファン・ロッホナーの『薔薇園の聖母子』など、国際ゴシック様式とフランドル絵画の影響を受けた絵画が誕生した。


ヒエロムニス・ボス


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『快楽の園』 ヒエロ二ムス・ボス作
(スペイン・マドリード)

ヒエロムニス・ボスは15世紀後半、彗星のように現れた異才の画家で、北ネーデルラントの地方都市、スヘルトーヘンボスで生涯を送った。ネーデルラントの様式を受け継ぐも、のちのシュルレアリムスにも通ずるところのある幻想的な画風を展開した。地獄や魔物、また人間の悪徳と与えられる懲罰など中世のテーマをベースとし、それらを創造力によってアレンジした。


以上、ルネサンス第二回北方の初期ルネサンスでした。

次回の美術編は、ついに、ルネサンス第三回「盛期ルネサンス」です。
盛期ルネサンスはダヴィンチやミケランジェロ・ラファエロが活躍した時代でもあります。
西洋美術の中でも特に好きな部類の時代なので紹介するのが楽しみです。

それでは、次回、ルネサンス第三回の盛期ルネサンスでお会いしましょう。


P.S.

北方の初期ルネサンスも隅に置けない美しさですね。
カンパンの『受胎告知』は、昨日の初期ルネサンスで紹介した、ベアトの『受胎告知』とはだいぶ違った印象ですね。カンパンのは日常の雰囲気がすごく出てる。

ヒエロニムス・ボスの『快楽の園』ってサイケデリックアートにちょっと似てませんか?

サイケデリックアート 具体例

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ジミー・ヘンドリックス作

サイケデリックアートとは

サイケデリックというのは、幻覚剤を服用したときに起きる心理的な恍惚状態のことを指し、この幻覚的な陶酔状態を音楽や美術、服飾などによって表現したものをサイケデリック・アートという。よってサイケ調芸術、幻覚芸術ともいわれ、幻覚症状を引き起こす麻薬の一種であるリゼルギン酸ジエチルアミド(LSD)の名からLSDアートといわれることもある。このサイケデリック・アートは、1960年代の半ばに、ニューヨークに発し、若い世代を中心として世界的に一時的流行をみた。これは同じ時代のヒッピー文化と重なって、社会問題にまでなり注目された。常態では到達できない幻覚状態の体験をもとに、幻視幻聴などの感覚を活かした、陶酔的な表現が特色となっており、デザインや絵画のみならず、キネティック・アートやライト・アート、写真、映像などにその特色を見出すことができる。感覚の追体験をねらったような作品も多くつくられた。
Weblio引用


『快楽の園』は、緑や青が多いから毒々しい印象は、現代のサイケデリックアートと比較するとあまりないけど、人や動植物、オブジェが奇形だし、人や動物の多くて圧迫感があるところとか、ちょっとサイケデリックアートっぽい。

改めてボスの『快楽の園』について調べてまとめたいな。快楽の園って題名からしても、全然キリスト教っぽくないし。楽園とか、禁断とかのネーミングなら、まだキリスト教らしいけど。『快楽の園』ってかなりとがりを感じるよね。

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Aika