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【ルネサンス】第四回 ヴェネツィア派

西洋美術史

皆さん、こんにちは。前回5月12日の投稿でルネサンス第三回、盛期ルネサンスの美術を紹介しました。レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロ、ラファエロなど、現代にも名をはせる偉人達が活躍した奇跡の30年間でした。

さて、今回はルネサンス全6回のうちの4回目、ヴェネツィア派の美術について紹介します。
因みに、ヴェネツィアとはイタリアの都市でもあり、場所はこちらです。

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アドリア海に面するイタリア北東の都市です。
ベニスとも呼ばれ、シェイクスピアの喜劇・戯曲ベニスの商人のベニスでもあります。

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水の都ヴェネツィアとも呼ばれ水上バスや水上タクシーもあります。


そのようなヴェネツィアで、芸術の春と呼ばれたルネサンスはどのように花開いたのか、見ていきましょう。


全体から見た、今回紹介する時代位置

西洋美術史には以下の分類があります。
① 古代美術
② 中世美術
ルネサンス
④ バロック・ロココ
⑤ 近代美術
⑥ 現代美術

③ルネサンスは以下の分類があります。
1. 初期ルネサンス
2. 北方の初期ルネサンス
3. 盛期ルネサンス
4. ヴェネツィア派
5. 盛期北方ルネサンス
6. マニエリスム

今回は、4.ヴェネツィア派を紹介します。

まとめてみたい方は、マガジンに「【美術】知っているとちょっと格好いい」に今まで投稿した分はまとめているのでそちらでまとめてご覧ください。

それでは、ヴェネツィア派見ていきましょう。

ヴェネツィア派

年代:15世紀後半~16世紀
地域:イタリア
特徴:油彩技法・豊かな色彩

水の都ヴェネツィアは、中世から独立した海洋国家として発展し、十字軍に参加した13世紀以降、地中海貿易の中心国家として莫大な富を蓄えました。それによって、ヴェネツィアに多くに美術品がもたらされ、町の教会や宮殿が装飾されました。東宝のビサンツ帝国とのつながりが深く、その影響によってサン・マルコ大聖堂はきらびやかな黄金のモザイクで覆われています。
 早くからフランドルより油彩技法がもたれされ、油彩画が発展しました。15世紀のベッリーニ一族はルネサンス様式を取り入れ、ジョヴァンニ・ベッリーニの工房からは叙情的な画風のジョルジョーネ、さらにその画風を推し進めたティツィアーノが輩出されました。ティツィアーノはヨーロッパ中の王侯から注文を受けて国際的に活躍。その影響下にヴェロネーゼやティントレットも色彩豊かな大画面を制作。色彩豊かなヴェネツィア絵画には一大ブランドとしてヨーロッパ中で長く尊重されました。

ジョルジョーネ

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『嵐』 ジョルジョーネ作


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『三人の哲学者』 ジョルジョーネ作


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『田園の奏楽』 ジョルジョーネ作

 ジョルジョーネははっきりとした主題を持たない絵画を描いた最初の画家です。『三人の哲学者』や『田園の奏楽』は、風景の中に人物がたたずんでおり、特定の主題は解読できません。代表作『嵐』は、稲妻の走る嵐の空を背に、川辺に棒を持つ男と、赤子に乳を与える女がおり、何らかの物語を示しているようですが、これまでこれにあてはまる説得力のある説はありませんでした。美術史上最も議論の多い謎の絵です。牧歌的な風景画の祖でもあり、ロココの画家や印象派の画家たちにも大きな影響を与えました。若くして亡くなったため、未完成の作品の多くが弟弟子のティツィアーノが完成させた。


ティツィアーノ

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『聖愛と俗愛』 ティツィアーノ作


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『ウルビーノのヴィーナス』 ティツィアーノ作

 ティツィアーノはジョルジョーネ風の詩情豊かな画風から出発し、『聖愛と俗愛』、『ウルビーノのヴィーナス』のような官能的な裸婦像華麗な色彩による神話画、劇的な宗教画や堂々とした肖像画に腕を振るいました。彼はヴェネツィア共和国の公式画家となるだけでなく、ローマ教皇神聖ローマ帝国カール5世、その子スペイン王フェリペ2世らにも庇護され、その作品は各国の王侯貴族から求められました。
 晩年になると、印象派の先駆のような荒っぽいタッチで描いたが、それは油彩画の可能性を追求するような試みであり、その後の西洋美術に決定的な影響を及ぼした。そのため、「画家の王」と呼ばれる。

ヴェロネーゼとティントレット

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『カナの婚礼』 ヴェロネーゼ作


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『天国』 ティントレット作

 ティツィアーノのダイナミックな人物像や構成をさらに推進したのがティントレットです。
 ティントレット世界最大の油彩画であるドゥカレー宮殿の『天国』を制作し、ヴェネツィア・ルネサンスの最後を飾りました。
 ティツィアーノの群像表現や、華麗で装飾的な色彩の影響を受けたのがヴェロネーゼです。彼はヴェネツィアのドゥカレー宮殿の壁画や天井画をはじめ、現在ルーブル美術館をかざる強大な『カナの婚礼』を制作し、16世紀ヴェネツィア貴族の華やかな宴の様子を伝えました。


以上が、ルネサンス、ヴェネツィア派の紹介です。

ルネサンスも残すは、盛期北方ルネサンスとマニエリスムの二つのみですね。

次回美術編、盛期北方ルネサンスは今回のヴェネツィア派よりもたくさんの画家をしょうかいします、お楽しみに。


P.S.

ティントレットの『天国』は、ぱっと見た時の印象『地獄』が題名になりそうじゃないですか?
羽が黒だったり、明度が暗かったりするからなのかな?

ティントレットは『天国』の他には『聖マルコの遺骸を焼却から救うアレクサンドリアの信者』という作品も残しています。

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『聖マルコの遺骸を焼却から救うアレクサンドリアの信者』


これもなんかおどろおどろしくて、痛々しい聖マルコが印象的だね。
明暗表現と巧みな遠近法が見事ですね。
あと、彼の作品は全体的に暗い印象の作品が多かったです。

ティツィアーノの作品もすごいですね。すごく色彩も綺麗で、優美で生き生きとしている女性の表現が目を引きます。今度作品解説する時は、『聖愛と俗愛』の解説したいな。
柔らかなスフマート表現が一番きれいだと思う画家はティンツィアーノですね。

最後まで読んでくれてありがとう♪

Aika