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中小企業のAI導入は今がチャンス!新技術や補助金で波が来ています

「中小企業のAI導入なんてまだ先でしょ」
「周りの中小企業はまだAI導入なんてしていないから、うちももう少し様子を見よう」

このように考えていませんか?実際、総務省が発表している資料によると、おおむね従業員規模が小さくなるほど、IoTやAIなどのシステム・サービスの導入割合は低くなっています。

出典:令和4年通信利用動向調査報告書(企業編)|総務省 情報流通行政局

ただ、2024年の今、中小企業のAI導入に追い風が吹いています。国を挙げた補助金制度やコストを抑えた新技術の登場によって、これまでにないほどAIを導入しやすい環境が整っています。

本記事では、中小企業がAIを導入するメリットや活用事例、補助金について紹介します。本記事を最後まで読めば、中小企業のAI導入について理解が深まるはず。

AI導入に興味がある、AI導入を検討している中小企業の方は、ぜひ最後までご覧ください。

中小企業がAI導入するなら今!国も後押ししている

単刀直入に言うと、中小企業がAIを導入するなら今がチャンスです。なぜなら「sLLM」という新技術が出てきたり、国が新たに支援策を整備したりしているため、コストを抑えてAIを導入できる環境が整っているからです。

sLLMとは「コンパクトな自然言語処理モデル」のことです。sLLMはこれまでのLLM(大規模言語モデル)より学習データ量が少なくて済むため、開発コストも安く済みます。

「量より質」を重視していると言えるため、ピンポイントでコストを抑えてAIを導入したい中小企業には、sLLMがおすすめです。

sLLMについては「【AI革命】中小企業の助け舟!sLLMをどのように導入する?」でさらにていねいに紹介しているので、こちらもぜひご覧ください。

また、経済産業省は中小企業の人手不足改善に向けて、業務省力化につながるAIやロボットなどの導入に使える補助金を新たに整備しました。

参考:中小企業の人手不足改善に向け 1000億円の支援策 経産省

三菱UFJ銀行も、2026年度に「中小企業向け融資を3倍に増やす」としています。最短で申込の翌営業日に融資されるということで、スピード感ある対応が期待できます。

参考:三菱UFJ銀、中小向けネット融資3倍に AI活用し裾野拡大

このように、中小企業がAIを導入しやすい環境が整備されており、まさに今がチャンスと言えるタイミングです。

時代の波に乗り遅れず、かつコストを抑えて導入できるこのタイミングで、現実的にAI導入を考えてみてはいかがでしょうか。

中小企業がAIを導入するメリット5選

今がまさに、中小企業がAIを導入しやすいタイミングです。とはいえ、AI導入によるメリットがなければ、いくらコストが低くても魅力を感じないでしょう。

そのため、AIを導入するメリットを把握しておく必要があります。中小企業がAIを導入する主なメリットは、以下の5つです。

・業務効率化
・生産性向上
・コスト削減
・顧客満足度の向上
・ビジネスモデルの拡大

それぞれどのように企業へいい影響をもたらすのか、詳しく見ていきましょう。

業務効率化

中小企業がAIを導入すると、業務効率化が実現できます。生産年齢人口の減少による人手不足は、どの業界でも感じているでしょう。業務効率化ができれば、人手不足を補えます。

たとえば、お客様からの電話を考えてみましょう。これまでは、一度電話口で用件を聞き、担当の人へつないでいたとします。

これがAIによる自動応答システムを導入することで、相手がどのような用件で電話をかけてきたのかがある程度わかり、はじめからその担当者が応対できるようになるのです。

すると、今までと比べて電話を受けるときの工数が減るため、割かれる人員を減らせます。これは立派な業務効率化です。

業務効率化が実現して空いたリソースは、ほかのさらに重要な業務につぎ込めるようになるので、企業の成長にもつながるでしょう。

生産性向上

AIを導入することにより、生産性向上も見込めます。生産性を向上できれば直接的に企業の成長にもつながるため、見逃せないポイントです。

具体的には、営業支援ツールです。これまでの取引データや成約率などをAIが分析し、効果的なアプローチやクロージングのタイミングを予測してくれます。

これを活用すれば、従業員の成約率が上がり、企業全体の成長も期待できます。長期的に見れば、AIの導入コストより、AIを導入したことによって生み出された利益のほうが多くなることも珍しくありません。

生産性向上のためにAIを導入するのは、非常に合理的な選択と言えるでしょう。

コスト削減

AI導入により、コスト削減も実現可能です。特に、最もかさむと言われている人件費が削減できれば、企業にとってもメリットが大きいでしょう。

たとえば、在庫管理にAIを導入したケースを考えてみましょう。これまではすべて従業員が目視で在庫を数えて管理していたため、在庫管理専用の時間があり、人手が必要でした。

しかし、AIの在庫管理システムを導入すると、過剰在庫や品切れ時の発注の判断はもちろん、売上データを分析して適切な発注数がわかるようになります。そのおかげで従業員が行う在庫管理業務は必要最小限になり、人件費をカットできるのです。

このように、コスト削減ができるのはAIを導入するメリットでしょう。

顧客満足度の向上

AI導入は社内だけではなく、顧客へもメリットをもたらします。具体的な例としては、AIチャットボットの導入があります。

これまで、製品に対しての不明点があったときは、自力でQ&Aページから該当の対処法を探すか、カスタマーセンターに電話をかける必要がありました。しかし、Q&Aページは項目が多すぎてわかりづらく、カスタマーセンターへかけても待たされるため、顧客からの評判はあまりよくなかったのです。

そこでAIチャットボットを導入し、困っていることを入力すれば、AIがその場で答えてくれたり該当のQ&Aページを表示してくれたりするようにしました。

すると、AIチャットボットへの質問の時点で解決するケースが増え、カスタマーセンターへの問い合わせは減りました。そのため、カスタマーセンターへ電話が来てもすぐに対応できるようになり、顧客満足度は向上したのです。

顧客満足度はその後の企業の売り上げにもつながるため、AI導入を意識しておきたいポイントと言えるでしょう。

ビジネスモデルの拡大

AIの力はすさまじいもので、新たなビジネスモデルに挑戦することもできます。例として、AIの画像認識システムを活用した例を考えてみます。

AIは学習したデータをもとに、写っているものを解析可能です。これを応用すれば、写った商品を解析し、レジでバーコードを読み込む作業をせずとも会計を済ませられます。

そのため、これまで有人の店舗しか構えていなかった企業が、無人店舗を構えることもできるようになるのです。無人店舗は人件費を最小限に抑えられるため、今まで出店できていなかった地域・場所にも進出できます。

AIを活用した新たなビジネスモデルは次々と生み出されているため、中小企業が挑戦するなら今が大きなチャンスと言えるでしょう。

中小企業がAIを導入する際に考える2つの懸念

国の補助金政策や銀行の融資枠拡大、sLLMの登場によって、コストを抑えてAIを導入できることはわかりました。

しかし、コスト以外にも、中小企業がAIを導入する際の懸念点はあります。中小企業がAIを導入する際に考える主な懸念点は、以下の2つです。

・何から始めればいいかわからない
・データを準備するのが大変そう

この2つの懸念点には、解決策があります。詳しく見ていきましょう。

何から始めればいいかわからない

「AIを導入したいけど、何から始めればいいかわからない…」と悩んでいる中小企業も多いでしょう。そのような場合は「中小企業のための『生成AI』活用入門ガイド」を参考にするのがおすすめです。

「中小企業のための『生成AI』活用入門ガイド」は、東京商工会議所によって発行されているガイドです。生成AIの概要から具体的な経営・業務を想定した活用法まで、中小企業がAIを導入するために必要な知識が詰まっています。

まずはこのガイドに目を通すことで、自社ではどこにAIを導入するかイメージが湧き、何から始めるべきかが見えてきます。

無料で閲覧できるため、見ておいて損はありません。はじめてのAI導入で失敗しないためにも、一度目を通しておきましょう。

「中小企業のための『生成AI』活用入門ガイド」はこちら

データを準備するのが大変そう

AIを実践的に活用するには、大量のデータを学習させる必要があります。もちろん、AIに学習させるデータは企業が準備しなければならないため、準備が大変だと感じるかもしれません。

しかし、sLLMなら、従来のLLM(大規模言語モデル)より学習データの数を抑えて開発できます。コストも抑えられるため、まさに中小企業がAIを導入するのにぴったりです。

sLLMについて、詳しくは「【AI革命】中小企業の助け舟!sLLMをどのように導入する?」で紹介しています。こちらも併せてご覧ください。

中小企業におけるAI活用事例5選|どの業務をAIに任せる?

中小企業がsLLMを用いてAIを導入するとしたら、どの業務を任せればいいのでしょうか。主な活用事例としては、以下5つが挙げられます。

・バックオフィス業務
・マーケティング業務
・人材管理業務
・在庫管理業務
・生産ライン管理業務

それぞれどのようにAIが活用されるのか、一つずつ見ていきましょう。

バックオフィス業務

バックオフィス業務は、AIを導入しやすい部門の一つです。具体的には、スケジュールや経費、ドキュメントの管理などです。

会議・イベントのスケジュール調整やリマインダー、経費精算の提出フローをAIで自動化すれば、バックオフィスの負担が減ります。

また、契約書類などのドキュメントの管理や整理はもちろん、自然言語処理技術を活用して文章の要約を作成することも可能です。

バックオフィス業務にAIを導入することで、業務効率化や人件費削減が期待できます。

バックオフィス業務へのAI導入については「5年でバックオフィス業務の30%がAIに代替される?課題を解決する活用法」でも紹介しています。ぜひこちらも併せてご覧ください。

マーケティング業務

マーケティング業務にも、AIは導入可能です。むしろAIを導入することで、より高い成果を上げられる可能性があります。

たとえば、購買履歴を分析してそれぞれの顧客にパーソナライズした商品をおすすめしたり、チャットボットや自動応答システムを導入して顧客対応を自動化したりすることなどです。

一見AIにはできなさそうなマーケティングですが、いわばデータの分析です。データの分析はAIの得意分野なので、マーケティング業務はAI導入にぴったりの分野と言えます。

AIにマーケティング業務を一任しないにしても、意思決定をサポートする役割は果たしてくれます。企業の業績向上が期待できるでしょう。

人材管理業務

AIは人材管理業務でも活用できます。たとえば人材採用では、履歴書や面接の内容を分析して数値化したり、過去の採用データを分析して自社にマッチングするかどうかを判断したりするような使い方が可能です。

既存の従業員の人材管理でも、アンケートや意見を分析して従業員満足度が向上する施策を生みだしたり、過去の離職データを分析して離職リスクが高い従業員に早めにアプローチしておいたりするような活用方法があります。

ただ、特に人材管理は「感情」も深くかかわってくるため、AIに任せるというよりは、業務をサポートしてもらうような意識で導入するといいでしょう。

人材管理業務にAIを導入することで、業務効率化や従業員満足度の向上が期待できます。

在庫管理業務

在庫管理業務にAIを導入すれば、これまで逐一人の目で行っていた作業が必要なくなり、ミスも減るでしょう。

AIのデータ分析や画像認識技術を駆使すると、在庫を管理して自動的に発注してくれることに加え、需要を予測してより適切な数を発注してくれます。

これにより、過剰在庫を抱えるリスクが減り、経営状況の安定が期待できます。さらに、人件費の削減や売れ残りのリスクの軽減も、AI導入によってもたらされるメリットです。

生産ライン管理業務

製造業の場合は、生産ライン管理業務にAIを導入することで、より効率的な作業が可能です。

具体的には、生産ラインをAIが分析し、効率的な製造工程・スケジュールを提案してくれます。これにより、生産過程で発生するコストの削減や効率的な製造による生産数の増加などの効果があるでしょう。

また、センサーや画像認識技術を活用し、故障やトラブルを未然に防ぐことも可能です。過去の故障データを学習させれば、より高い精度で検知してくれます。

一見AIとは無縁に感じる生産ライン管理業務ですが、導入によってリスク軽減や業務効率化が期待できるのです。

中小企業がAI導入の際に使える補助金

今は中小企業がコストを抑えてAIを導入できる時代ですが、それでもなかなか予算を割けない場合もあるでしょう。そのようなときは、補助金を活用するのがおすすめです。

国を挙げてAI導入を促進しているので、対象になる補助金はいくつかあります。AI導入にかかわる主な補助金は、以下の4つです。

・中小企業省力化投資補助事業
・ものづくり補助金
・持続化補助金
・IT導入補助金

それぞれどのような補助金なのか、詳しく見ていきましょう。

中小企業省力化投資補助事業

中小企業省力化投資補助事業は、AIやIoTなどの人手不足解消に効果がある製品を導入する際に使える補助金です。

2023年度の補正予算で組み込まれた新しい制度であり、これから注目しておくべき補助金と言えます。補助金の額は、2024年3月現在では以下の通りです。

・従業員数5人以下:200万円(300万円)
・従業員数6~20人:500万円(750万円)
・従業員数21人以上:1000万円(1500万円)

※賃上げ要件を達成した場合、()内数値に補助限度額を引き上げ

第1回の公募はすでに終了していますが、2カ月に1回、令和8年度9月末までの2年半で15回程度の公募を予定しているようです。

まだまだチャンスはあるので、ぜひチェックしておきましょう。

中小企業省力化投資補助事業の詳細はこちら

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者が設備投資する際にかかる費用に一部を補助してくれる補助金です。

「革新的な製品・サービス開発」「生産プロセス等の省力化のための設備投資・システム構築」が対象になっているので、AI導入でも使えます。

さまざまな条件はありますが、最大3,000万円の補助金を受け取れます。部品組立工程の完全自動化などに活用できるため、概要や条件を把握しておきましょう。

ものづくり補助金の詳細はこちら

持続化補助金

持続化補助金は、小規模事業者が販路開拓や生産性向上に取り組む際に受け取れる補助金です。2/3の補助率で、50万~200万円の補助金を受け取れます。

生産性向上のためのAI導入はもちろん、店舗改装や広告掲載でも利用可能です。概要や今後の公募スケジュールなど、チェックしておきましょう。

持続化補助金の詳細はこちら

IT導入補助金

IT導入補助金は、ITツールの導入や業務効率化のためのDX推進費用を支援してくれる補助金です。補助額は最大450万円/者、補助率は1/2~3/4です。

会計ツールや労務管理ツールの導入に活用できるため、特にバックオフィス業務へのAI導入に活用しやすい制度と言えます。

適用範囲が広いため、詳細を確認しておきましょう。

IT導入補助金の詳細はこちら

まとめ:中小企業のAI導入は今がチャンス

2024年3月現在、国が支援策を策定したりsLLMが出現したりしたことにより、中小企業のAI導入に追い風が吹いているのは間違いありません。

中小企業がAIを導入すれば、業務効率化や生産性向上、コスト削減など、さまざまなメリットがあります。

何から始めればいいかわからない場合は「中小企業のための『生成AI』活用入門ガイド」を参考にするのがおすすめです。生成AIの概要から具体的な経営・業務を想定した活用法まで、中小企業がAIを導入するために必要な知識が無料で閲覧できます。

AIにはバックオフィス業務やマーケティング業務など、さまざまな仕事を任せられます。ただAIがやってくれるというだけでなく、生産性が向上したり売り上げが上がったりすることなども期待できるでしょう。

もし、なかなかAI導入に予算を割けない場合は、以下のような各種補助金を活用してみてください。コストを抑えながらのAI導入が実現可能です。

中小企業省力化投資補助事業
ものづくり補助金
持続化補助金
IT導入補助金

この波に乗り遅れないよう、これを機にAI導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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