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『UXデザインの法則』と『行動を変えるデザイン』を読む。

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訳者が2つのUX書籍について考えたことを紹介していきます。 『UXデザインの法則 最高のプロダクトとサービスを支える心理学』(オライリー・ジャパン、2021年)は、UXデザイン… もっと読む
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ネットワーク効果のための行動変容デザイン

概要単にサービスやプロダクトの効果を高めるだけでなく、もっとプロダクトやサービスを使ってもらうために、行動変容デザインの考え方を活かすには、ネットワーク効果を生む行動変容を設計する必要があります。しかし、行動を変えるプロダクトやサービスは、単に利用目的を満たすことにのみ注力しがちで、その影響力を拡大するために行動を変えるデザインの力を活かしきれていない、ということが多いように思います。 いかにネットワーク効果を生み出すか、そのために行動変容デザインをどのように活かせるのかを

行動変容デザインとはなにか ~ 『行動を変えるデザイン』を読む

※この記事は「『行動を変えるデザイン』を読む」マガジンの一部です。 こんにちは。『行動を変えるデザイン』翻訳チームの相島です。初回は『行動を変えるデザイン』で紹介されている「行動変容デザイン」について自分なりのことばで紹介し、同時になぜこれを書いているのかもお伝えしたいと思います。 行動変容とデザイン行動を変えたい。誰でもこう思ったことがあるはずです。不健康になりたいと思っている人はいないけれど、ついついソファーの上でポテトチップスを食べてしまう。お金を増やしたいと思う

訳者解説:『UXデザインの法則』を読む

『UXデザインの法則 最高のプロダクトとサービスを支える心理学』が5/18に発売になります。 この本はJon Yablonski氏のLaws of UX: Using Psychology to Design Better Products & Servicesの邦訳です。 このnoteでは、訳者の一人が翻訳をしながら考えたことや活用のポイントなどを語っていきます。 どんな本か?「UXデザインの法則」では、UXデザインに活用できる10の心理学法則を取り上げています。

『UXデザインの法則』は、10個の法則を学ぶための本ではない

『UXデザインの法則 最高のプロダクトとサービスを支える心理学』が5月18日に発売されました。この本は、Jon Yablonski氏の"Laws of UX: Using Psychology to Design Better Products & Services"の邦訳です。 この記事では、翻訳チームの1人であるtantotが考える「この本の良いところ」を3つご紹介します。 1.法則を10個しか取り上げないところ 2.必ず「起源(origin)」から語るところ 3.実

『UXデザインの法則』をなぜ訳したのか

翻訳に携わった『UXデザインの法則 最高のプロダクトとサービスを支える心理学』(オライリー・ジャパン、2021年、Jon Yablonski著、相島雅樹、磯谷拓也、反中望、松村草也訳)が2021/5/18に発売されます。発売を前に翻訳の意図や思いについてまとめておきます。 翻訳の意図の要約: ・「だってなんだかだってだってなんだもん」では済まされないITサービスに溢れた世界を生き延びるため、 ・薄くてわかりやすい、プロダクト・サービスと心理学の本を訳しました なぜそうした

行動変容デザインはなにができるのか ~ 『行動を変えるデザイン』を読む

※この記事は「『行動を変えるデザイン』を読む」マガジンの一部です。 こんにちは。『行動を変えるデザイン』翻訳チームの相島です。 行動変容をデザインできると、どんなことが起きるのでしょうか。今回はこの話題を自分なりのことばで紹介したいと思います。 行動変容の驚くべき事例集書籍『行動を変えるデザイン』には、「ついつい」とる行動が変わることで起きる、驚くべき成果がたくさん紹介されています。 Opower(オーパワー):全米で3億ドルもの電力消費を節約全米で3億ドルもの節電を

行動を変えるプロダクトをつくるには  ~ 『行動を変えるデザイン』を読む

※この記事は「『行動を変えるデザイン』を読む」マガジンの一部です。 こんにちは。『行動を変えるデザイン』翻訳チームの相島です。今回は行動変容デザインのプロセスについて紹介します。 行動変容デザインのプロセス『行動を変えるデザイン』で紹介されている行動変容のデザインプロセスは、理解・探索・デザイン・改善の4つのフェーズで進んでいきます。 理解するまず、行動をとるための、基本的な心理の理解につとめます。 そう、心の働きって、わたしたち自身、自分のことがよくわかっていません

どのように行動は決まるのだろう? 〜 『行動を変えるデザイン』を読む~「理解」編

※この記事は「『行動を変えるデザイン』を読む」マガジンの一部です。 こんにちは。『行動を変えるデザイン』翻訳チームの相島です。今回は『行動を変えるデザイン』の第Ⅰ部について紹介します。 行動変容を理解する 従前、わたしたちには「ついつい」と「よくよく」の行動が同居しているというお話をしました。 彼を知り己(おのれ)を知れば百戦殆うからずと言いますが、行動変容を理解する上では、2通りの「己」が存在する、ということです。しかし、いったいどのようなときに、どちらの「己」がもた

誰の、どんな行動で、何を実現したいんだろう??~『行動を変えるデザイン』を読む~「探索」編

※この記事は「『行動を変えるデザイン』を読む」マガジンの一部です。 こんにちは。『行動を変えるデザイン』翻訳チームのtantotです。今回は『行動を変えるデザイン』の第Ⅱ部について紹介します。 第Ⅰ部では、心のはたらきと行動変容の手法についての基礎知識を整理しており、第Ⅱ部からいよいよ行動変容デザインの実践編にはいります。 図:『行動を変えるデザイン』、オライリー・ジャパン、2020年、p. 24より 第Ⅱ部は上の図でいう「探索」フェーズ。大まかに言うとプロダクトが目

どんな流れ、どんな状況、どんな物語になっていたら成立するだろう?~『行動を変えるデザイン』を読む〜「コンセプトデザイン」編

※この記事は「『行動を変えるデザイン』を読む」マガジンの一部です。 こんにちは。『行動を変えるデザイン』翻訳チームのsoyaです。今回は『行動を変えるデザイン』の第Ⅲ部について紹介します。 第Ⅰ部では前提知識についての解説、第Ⅱ部では実践にあたって、何を目指していくかについて触れました。次の第Ⅲ部のテーマはいよいよ、具体的に「どのように実践するか」です。 図:『行動を変えるデザイン』、オライリー・ジャパン、2020年、p. 24より 理解、探索のフェーズを経て、いよい

行動を変えるのに向いているのはどんなインターフェースだろう?~『行動を変えるデザイン』を読む〜「インターフェースデザイン」編

※この記事は「『行動を変えるデザイン』を読む」マガジンの一部です。 こんにちは。『行動を変えるデザイン』翻訳チームのsoyaです。今回は『行動を変えるデザイン』の第Ⅳ部について紹介します。 第Ⅲ部までは、行動の構造化、環境の構築、そしてユーザー自身を準備することを通し、ゴールに辿り着くにいたるまでのビヘイビアプランを設計、磨き込みをおこなってきました。第Ⅳ部からはいよいよ、プロダクトの実装段階に入ります。具体的にはワイヤーフレームやモックアップを構築し、開発チームと共に実

「成果」と「行動」に基づいてプロダクトを改善しよう~『行動を変えるデザイン』を読む~「改善」編

※この記事は「『行動を変えるデザイン』を読む」マガジンの一部です。 こんにちは。『行動を変えるデザイン』翻訳チームのtantotです。今回は『行動を変えるデザイン』の第Ⅴ部について紹介します。 第Ⅱ部~第Ⅳ部にかけて、ゴールを決め、コンセプトを作り、実際のプロダクトを構築しました。第Ⅴ部では、一度作り上げ、リリースしたプロダクトの「改善」について取り上げています。 測定~「成果(アウトカム)」と「行動(アクション)」を表す指標を測ろう行動を変えるプロダクトがうまく機能し

なぜ『行動を変えるデザイン』を訳したのか

『行動を変えるデザイン』翻訳チームの相島です。 今日2020年6月11日は『行動を変えるデザイン 心理学と行動経済学をプロダクトデザインに活用する』の発売日です。 そこで、相島の目線から、なぜ『行動を変えるデザイン』を訳したのか、訳すことができたのか、振り返ってみたいと思います。 わたし相島は、昔から、英語に苦手意識がありました。 About Face というインタラクションデザイン分野の分厚い本がありまして、 モバイル時代に対応している第4版に日本語訳がなく、新卒2