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『となりのせきのますだくん』読んだ

『となりのせきのますだくん』がネットで公開されてたから読んでみた。

 昔読んだはずだけどこんな話だったか。大人になっちまって作者がどう思わせたいのか自動で考えるようになってしまった俺にはツラかった。

ただ絵はうまいし話も丁寧だ。まっすぐストーリーが走ってるんだけどやりすぎなくらいに道を舗装している。
キレイな話だし30年前にしては絵柄や話が今過ぎて驚いた。30年前に書かれた本は40年以上前のモラルを元にして書かれているはずなのに奇跡的に色々すり抜けてる。いい本だ。



  かつての浅薄さに思いを馳せてガラにもなく小さい頃を思い出した。俺は本気で物心が付いたのは数年前、20代だと思ってる。もちろん10代も自由意志で行動して好きな食べ物も嫌いな食べ物も、着たくない服も嫌いな色もあった。
 でもあの頃本気でなにを考えてたかもわからないし、なにしていたかもぼんやりとしか覚えてない。だから思い出すことも少ない。

 んで浅薄の話だけど、これって財産なんだな。感覚的に積み上げていない無のようなものが財産だなんて不思議だけど失って取り戻せない以上財産なんだ。価値も感じる。俺は昔この本を読んだはずだけど表紙だけでオチがわかったりなんかしなかった。なんだったら確か愚かにも最後のページを見てもピンときてなかったはずだ。

 子供時代を象徴する言葉って無垢さだったり無邪気さだったり向こう見ずさだったり美しいモノばかりだ。浅慮だったり無学だったり無理解だったり嘘つきだったりはあまり語られないし盲点だった。勉強すればするほどよくて徳を重ねれば重ねるほど良いなんて習ってきたしね。白さには価値があるけど無には価値なんてないと思ってた。





 そういえば色々考えてたら 絵本ってジャンルの特殊性に気がついたな。本ってタイムマシンみたいなもんだと思ってはいたけど絵本はさらにタイムマシン度高めだな。市井の話だからか?と思ったけどそうじゃなくて絵本って古くなりづらいからだなきっと。本屋に行ったら最新の直木賞なんてチェックしちゃうけど絵本は違うもんな。親は財布を握ってて自分の読んでた絵本を買うし、ボロボロな病院の絵本なんていつのかわからない。



 しかしマリオのRTA動画なんかで無を取得してバグらせてるのをゲラゲラ笑ってみてたけど俺も無を所持してたことがあったんだな。
なんかますますジジイになって再び無を取得するのが怖くなった。最悪だ。

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