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大手法律事務所と大手会計士事務所が学ぶべきAIの衝撃の真実

 近年では日本国内でもかなり頻繁に訴訟が行われるようになりました。しかし、それでも一般生活を送っている日本人が、一生の間に何らかの裁判に巻き込まれる確率は、非常に低いといえるでしょう。そのため、大手法律事務所に馴染みがない方も意外と多いので、まずは法律事務所について簡単に説明します。

 大企業の経営者や政治家や官僚などで、大手法律事務所の存在を知らない人は、まず居ないでしょう。ところが、YoutubeやTwitterなどで、2ちゃんねるのひろゆきや、ホリエモンや、AIの第一人者で有らせられる松尾豊教授のような著名な方々の御高説で自己啓発している方々に『日本の四大法律事務所名を全てあげてください』と質問すると『えっ?』となる人は少なくありません。

 これは四大法律事務所に限らず、四大会計・監査事務所も同じですが、多くの日本人には馴染みのないものです。

 近年では四大法律事務所にTMI総合法律事務所を加えて、五大法律事務所と呼ばれることもありますが、TMIが何の分野で勢力を伸ばしているかも、AI無知倫理学の研究対象です。

 そのため、松尾豊教授と、2ちゃんのひろゆきのYoutube雑談などを観て、生成AIで一儲けできると思っている方々や、法律知識もないのにAmazon Kindle Direct Publishingで、ChatGPTで不労所得のような趣旨の本を出版している執筆者には、森・濱田松本法律事務所が以下のようなChatGPTの本を出版すると言っても、そのインパクトの大きさを理解できる執筆者や、その読者は少ないかもしれません。

『ChatGPTの法律』の著者の田中浩之弁護士は、森・濱田松本法律事務所のパートナーで慶應義塾大学大学院・法学研究科の特任教授です。

 森・濱田松本法律事務所は、日本最大の法律事務所の一つで、国内外の大規模な企業をクライアントとして抱え、企業法務を中心に幅広い分野で法律サービスを提供しています。弁護士たちは極めて高い専門性と能力を持ち、大規模なM&A(企業の合併・買収)や訴訟、知的財産権の問題など、幅広い法律問題を得意としており、特に国際的なビジネスや複雑な法的問題に関連する事案で、その専門的知識と経験を活かしています。
 
 四大法律事務所の中では、生成AIに関する取組みで出遅れた感じがありますが、これは彼らの仕事が遅いわけではなく、それだけ慎重に様々な方面から検証した上での成果なので、AI無知倫理学会としては、彼らの今後の活動に期待しています。
 
 また、同法律事務所の中野玲也弁護士は、以下の記事を書かれていますが、これはちょっとタイミングが良くなかったかもしれません。以下のダイヤモンド誌は週刊なので、記事が1~2週間遅れてしまうことがあります。

 新聞と週刊誌の差は、どれだけ深く掘り下げて解説してあるかといった違いもありますが、記事を書く前に以下の『ChatGPTで資料作成、実在しない判例引用 米国の弁護士』の報道内容の詳細を調べていたら、全く違った解説になっていた可能性があります。

 ちなみに、AI無知倫理学会では、NLP(自然言語処理AI)による判例集作成試験なども実施していますが、それ以前の問題として、AI無知倫理的には、上の記事にある米国弁護士の以下のようなAIに関する『無知』を指摘することができます。
 
1.OpenAIのNLPのようなAIツールは、それ自体が法的なアドバイスを提供するものではありません。このため、OpenAIや類似会社は、そのようなAIツールの使用に関して免責事項や利用規定を設けています。NLPサービス提供各社の規約などには、通常、以下のような内容が含まれます。
 
(1) AIツールは法的なアドバイスを提供するものではなく、専門家の助言に代わるものではありません。
 
(2) AIツールが提供する情報の正確性や適用性については保証できません。
 
(3) AIツールの使用が法的な義務や責任を免除するものではありません。
 
2.日本国内においては、弁護士が遵守するべき法律や倫理規定には、以下のようなものがあります。

弁護士職務基本規程
https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/jfba_info/rules/data/rinzisoukai_syokumu.pdf

3.日本におけるAI研究の第一人者の『無知』から学べること
 
『日本の緩い環境規制』が原因で日本経済が、EU気候変動政策によって危機的な状況に追い込まれていることは周知の事実です。これと同じことで、EUのAI包括的規制が日本のAI産業に危機的なダメージを与えるであろうことは、素人が考えても解ることです。この局面で『日本の緩い規制はチャンス』と発言しているAI研究第一人者の『無知』と、その『無知』に迎合している日本政府が、日本経済に壊滅的なダメージを与えるでしょう。

森・濱田松本法律事務所及び東大松尾研と法律業務におけるAI活用の共同研究を開始

 森・濱田松本法律事務所は非常に優秀なので、東大松尾研の『無知』を研究することで『無知は罪なり、知は空虚なり、英知持つ者一部の優秀な弁護士なり』ということを検証することが目的だったのかも知れませんが、共同研究相手は慎重に選ぶ必要があります。 

生成AIの利用ガイドライン
※2023年5月1日に開催した、本資料公開に関する記者発表会の模様もJDLA公式YouTubeチャンネルにて公開中です

一般社団法人日本ディープラーニング協会

 ChatGPTで最も影響を受ける職業は会計士

 一部の報道では、AIの進化が会計士などの職業に失業リスクをもたらすとの見方があります。確かに、AI技術は会計の一部の仕事、特に定型的なデータエントリーや基本的な数値分析に関しては、効率的に処理する能力を持っています。しかし、AIが普及するほど、AIの限界を理解している会計士が有利になります。
 
 まず、AIは人間のような直感や洞察力、クリエイティブな思考を持つことができません。これらは会計士の仕事にとって不可欠であり、特に複雑な決定を下すためには、ビジネスの背後にある文脈やニュアンスを理解する能力が求められます。AIは定量的なデータを処理するのが得意ですが、定性的な情報を理解するのは難しく、そのような情報はしばしば重要な決定を下すための中心的な要素となります。
 
 次に、AIの使用は監視と管理を必要とします。AIが出力する情報は、入力されたデータとプログラムされたアルゴリズムに基づいています。したがって、間違ったデータが入力されたり、アルゴリズムが適切でなかった場合、結果は不正確または誤解を招きます。AIの限界を理解している会計士は、AIが提供する情報を適切に評価し、必要な場合は人間の視点で補完することができます。
 
 また、AIが結果を出すプロセスはブラックボックスであることがよくあり、その推論過程が不透明であるため、結果に対する信頼性が問われることがあります。会計士がAIの動作を理解し、その結果の信頼性を評価できれば、その専門知識は非常に価値があると言えます。
 
 最後に、AI技術の進化は、会計士がルーチンワークから解放され、より戦略的で高価値な業務に集中する機会を提供します。AIの普及は会計士の役割を変えるかも知れませんが、それは新しいスキルの習得と成長の機会を意味します。AIの限界を理解し、それを適切に活用する能力は、これからの会計士にとって重要なスキルとなるでしょう。
 
 したがって、AIが普及するほど、AIの限界を理解している会計士にとっては、その知識と技術が価値のあるものとなります。AIの進化は、確かに一部の仕事を自動化しますが、それは新たなスキルを身につけ、高度な業務に焦点を当てる機会を提供するとも言えます。AIはツールであり、それをどう活用するかは、我々人間の手に委ねられています。
 
AIの普及をチャンスにできる弁護士と会計士の共通点 

 AIの普及は社会全体に影響を与えますが、その影響は特に専門的な職業、例えば弁護士や会計士にとって重要です。その理由は、これらの専門家が取り扱う情報や決定が高度に専門的で複雑であり、かつ重大な結果をもたらす可能性があるからです。そのため、AIの能力の限界や、AIと人間の無知の問題を理解し、それに対処する能力が求められます。これを実現するためのアプローチとして、AI無知倫理学が登場しています。
 
 AI無知倫理学は、AIの能力と限界、そしてそれが人間の知識と行動にどのように影響を与えるかを研究する学問です。AIは人間が手に負えないような大量のデータを分析したり、複雑な問題を解決したりする能力を持っています。ところが、それは同時にAIが理解できない問題や、間違った結論を導く可能性が高いことを意味しています。一方で、人間がAIの出力を鵜呑みにすることで、自身の無知が露呈する可能性もあります。これらの問題を理解し、適切に対処するためには、AI無知倫理学の知識が必要となります。
 
弁護士や会計士がAI無知倫理学を学ぶ利点
 
(1) AIの限界の理解:AIが何を行い、何ができないのかを理解することは、その出力の信頼性を評価し、適切に利用するために不可欠です。これにより、誤った結論や推奨を避けることができます。多くの人はAIに何ができるかの可能性にのみ注目してチャンスだと誤解していますが、本当にチャンスなのはAIに何ができないかを見つけることです。
 
(2) 責任の明確化:AIの出力が間違いであった場合、その責任を誰が負うべきかが重要な問題です。AI無知倫理学は、このような状況に対する責任の所在を明確にするのに役立ちます。
 
(3) 倫理的な決定:AIの使用は、プライバシーや公正性など、多くの倫理的な問題を引き起こす可能性があります。AI無知倫理学は、これらの問題を理解し、適切な解決策を見つけるのに役立ちます。
 
 これらの理由から、弁護士や会計士などの専門家がAI無知倫理学の知識を身につけることは、AIの持つ能力を最大限に活用しつつ、その限界と無知問題に対処するために不可欠と言えます。これにより、専門家はAIを自身の専門分野に適切に統合し、その出力を信頼性のある情報として扱い、必要に応じて個々の問題に対する責任を明確にすることができます。
 
 また、AIと人間(専門家、政府、開発者、ユーザなど)双方の無知問題を理解することは、それ自体が専門的なスキルとなり、専門家の価値を高める可能性があります。例えば、会計士がAIの分析結果を適切に解釈し、その限界を理解する能力は、AIが普及する現代社会では非常に価値があると言えます。このように、AI無知倫理学の知識を持つ専門家は、AIの普及により失業のリスクが高まるという一般的な見解に反し、むしろ有利な立場に立つことができるでしょう。

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