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視野を一気に広げてくれた場所。世界を肌で感じたインドでの6週間 - 海外インターンシップ体験記 -

この夏、アイセック神戸大学委員会の海外インターンシップを利用して渡航した、神戸大学国際人間科学部グローバル文化学科1年生の木村実歩さんにインターンシップの体験についてインタビューしました!
木村さんが参加したインターンシップは、インドの日本語学校で、現地学生に日本語を教えるというものです。

「やばい。かっこいいな」が渡航のきっかけ

インドに行くきっかけはなんだったの?

入会希望者交流会のときにゆかさん(インドでの海外インターンシップに参加したアイセックメンバー)の話を聞いて、「大学1年生の夏にインドってやば。かっこいい、いいなあ!」って思ったのがきっかけです。新歓合宿でも、しっかり話を聞いて、やっぱりかっこいいなって。直感でした。漠然とかっこいいなって。

渡航先の選択肢は複数あるなかで、どうしてインド?

選択肢が複数ある中で、シンガポールは行ったことがあるから却下。じゃああとはベトナムとインドってなったときに、ベトナムは旅行でも行けそうって考えて、インドを選びました。こんな機会じゃなきゃ絶対行かないと思って。

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渡航したからこそ、分かったこと

カルチャーショックみたいなのはあった?

インドって、分かったときに分かってないみたいなジェスチャーをするんですよ。こう、首を横にかたむけて(その真似をしてくれるみほりん....)。『ティーケ』という言葉が「分かった」を意味するんですけど、「ティーケ」って言いながら、首を横に傾けるから、最初はほんとにどう言う気持ちなのかわかんなくて。日本人からしたら「え、わかんない」っていう反応にどうしても見えてしまって。文化の違いからジェスチャーが異なることは渡航前から分かっていたつもりだったけど、いざ目の前にすると戸惑ってしまいました。

他に驚いたことはある?

日本語学校のテストでカンニングする人が多かったことです。大人の人も普通にするんですよね。勉強したことが身につかないし、ハイリスクローリターンだと思うんだけどなあ。私たちが、授業中にスマホを使ってもいいかなくらいのノリでカンニングしてるんだと思う。エントランステストっていう、救済テスト(出来ない人が次に進むためのテスト)の試験監督している時が一番カンニングが多くて、本当に大変だった。

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行ってみてどうだった?

インドはやっぱりインドでした(笑)でも、思っていたよりは発展してたし、綺麗だった。全部が全部ゴミで溢れていたり、建物もぼろいとかではなくて。住宅地は日本のようなところもあるし、地域によってはめっちゃ綺麗なショッピングモール、カフェもあったりして驚きました。

やっぱり、もう1回行きたい?

行きたいです!ジャイプールっていう綺麗な街も行けていなくて。絶対リベンジしたいです!あと2回くらいはインドに行きたい。北と南で1回ずつ!

インドで過ごす、日本語の先生としての6週間

観光以外で、やりたかったことはできた?

これから日本に行く生徒のために、私だからできることを本当は何かしたかった。でも結論からいうと、それだけのための時はとれなくて。生徒が、日本に来た時に困らないようにしようと考えたけど、結局、日本語が使えるようになっておくことが1番いいんだろうなって思いました。分からなければ日本語を使って聞けばいいし。だからこそ、日本語の使い方を教えることに関しては丁寧に取り組みました。

例えば、どんな感じ?

「しっかり」「きっちり」「さっそく」みたいな、教科書では改まって習わない言葉も教えました。よく私がが何気なく言ってしまうこうした副詞は、生徒たちも敏感に反応していて。習ってないから教えないじゃなくて、クラスのレベルにもよるけれど、きちんと教えました。

これは、日本人の私が先生だからこそ教えられること。

Basicと、Intermediate、pre-advancedっていう3つのレベルと、その上にもう1つ、企業の研修クラスもあったりして。あとはレベル別ではなくて、Conversationだけのクラスとか。
pre-advancedのクラスはテストしか見てないんですけど、そのテストの内容は「そんなことも習うの??」っていうレベルで。漢字は簡単なんですけど、言い回しが細かくて。
「すれどもすれども」みたいな言葉を知っていました。(笑)

教えることに限らず、難しかったことはある?

1番大変だったのは、英語で日本語を教えないといけないことでした。かつ、英語が分からない人がいることがいるとどう意思疎通をはかればいいのかがわからなかった。全く分からないわけではないけれど、英語よりヒンディー語のほうが得意な生徒が一定数いて、
「先生ヒンディー語できないんですか?」みたいに言われると困る。できないよ!(笑)ジェスチャーとか超簡単な英語とかで説明して、それでも分からなかったら、インドの先生に聞いてって。伝わらなかったときは、もどかしかったです。

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「ここで勉強できて本当に良かった」

いつまでも忘れないだろうなってことは?

企業の研修が終わってすぐに日本に行く人たちのためのfarewellパーティー(送別会)で、「ここで日本語勉強できて本当に良かった」と言っている人がいて。その人たちに直接関わることはなかったんですけど、日本語をただ勉強するだけでなく、時間に厳しかったり、ひたむきな姿勢だったり、日本人の精神も一緒に学べたのはここだったからって言っていたのが印象的でした。

勉強といってもめちゃめちゃ大変で。3カ月で日本語をマスターするように企業側から言われているんですよ。もう毎日1日中ずっと勉強しているんですよね。ほぼ毎日テストもあって、「もう無理だ~」って諦めそうになるけど、もうちょっと頑張ろうっていうのを繰り返すなかで、生徒たちは自分の天井をあげることができたと言っていました。

みんな本当に賢いひとたちばかりで。よく外国人労働者としてみんなが想像する、コンビニの店員とか、工場での短銃作業とかではなくて、彼らはプログラミングとか、システムエンジニアとして企業に声をかけられているような人たちでした。

日本へ行く理由は「日本の文化が好きだから」

インドにも日本企業があるのに何で日本で働きたいの?って聞いたんですけど、みんな口をそろえて「日本の文化が好きだから」って言うんですよね。だいたい日本文化はアニメから知るみたいで。ドラえもんとかしんちゃんとかみんな知ってる。

あと、日本とインドって仲がいいらしくて。私たちはインドの首相のことぜんぜん知らないのに、みんな「シンゾウアベ、シンゾウアベ」って言っててびっくりしました。日本のことをよく思ってる人が多いみたいで。
最終日に空港へ向かう電車のなかで、日本の台風の映像見てた人がいて。ちょうど目が合って「え、あなた日本人?ご両親大丈夫なの?」ってすごく心配してくれました。みんな本当に優しいです。


家族愛が強いインド

みほとゆうくん(同じ時期の海外インターンシップ渡航者)が日本にあまり電話しないって現地の人に言うと、「え、なんで?今すぐかけなさい!」って言われて。ゆうくんもお父さんに電話するの億劫だったけど、それでその場で電話をかけていました。(笑)


日本の文化のどこが彼らを惹きつけるんだろう?って最初は本当にびっくりして。その国で働きたいって思うほどに惹きつけるってすごいなって。日本人の規律が好きっていう人もいるんですよね。めちゃくちゃ自由に生きてるんですけどね。(笑)結局答えはわからなかったけど、自国に好意をもってくれているのは単純に嬉しいなって思います。

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インドの実態を目にする

実は中心部のほうが生活水準が低いひどい。私が見た中ではニューデリーが一番低いひどいと思う。農村部とか、中心部から離れれば離れるほどインフラが弱くなるのは自明だけど、そういうのではなくて、中心部には、ホームレスのひと、物乞いのひととかたくさんいて。日本はそういうの隠したがるから見えてないだけで。インドには、そこらじゅうにいる。中心部に物は集まってるけど、そのぶんいろんな人も集まってるというか。

今もインドは人口増えてるよね

子どものホームレスがたくさんいるから、どうしようもない。お父さんがどこにいるのかはわからないけど、お母さんと子どもの家族がたくさんいて。物乞いじゃなくて仕事でお金を稼ぐのが合理的ではあるけど、そこで生まれてそこで生活して、仕事もできないし、仕事の見つけ方もわからない。どうしようもないのが現状。教育も受けていないから言葉もわからないし。インドって英語がわからないと就職口もないから。。

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改めて、インドをみつめる

みほにとって、インドはどんな場所ですか?

う~~~~ん、難しいな。(笑)
ほぼ日本でしか生活してこなかった自分の視野を、いっきに、多方面に広げてくれた場所、かなあ。

やっぱり、日本とは生活スタイルも全然違うくて。あと、インドはすごい他民族、多宗教だから、日本では見ない光景がたくさんありました。ヒンドゥー教徒ばかりかと思えば、イスラム教とかその他いろんな宗教の人がいて。インドって、宗教関係なく全部お祝いするんですよ。ヒンドゥー教のお祭りも、イスラム教のお祭りも、国の祝日になって皆でお祝いしています。

日本にいると宗教っていう感覚がないから、新しい感覚でした。多宗教だとトラブル多そうなイメージだけど、みんな寛容で、幸せそうだなって。固定観念がくずれたような瞬間でした。

他に、日本では経験することのなかった瞬間はあった?

「世界にはまだこんなことで苦しんでいるひとがいます」っていうのを身をもって体感した。ネットやテレビから得た情報でしかなかったものが現実に起こっていて。ボロボロの服を着た妊婦さんが、お金頂戴って言ってるのを見て、ああ同じ時代に生きてるんだよなって、不思議な気持ちになりました。自分は日本でもインドでも衣食住には困らない生活をしてて、でも一方で、すぐ隣には着るものも食べるものも住むところもない人もいて。これまで情報でしかなかったものが、自分の体験になったのは大きいです。

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インターンシップを悩んでいる人がいたら、どんなことを伝える?

興味のあるひとつの社会課題とかは特にないけど、外国の人と喋りたい!とか、海外で経験を積んでみたいって思ってる人がいたら、飛び込んでみたらいいと思う。

私もゴミの問題とかは考えたことはなかったけど、見ざるを得なくて。あのゴミはどうなるんだろう、ってやっぱり気になるし。そうしたことを考える時間が増えたのはやっぱり海外インターンシップに参加したからだと思う。行ってみたら、絶対に新しい光景が目に入って、何かが見つかると思う。

日本人の皆に伝えたいことはあったりする?

「日本語って難しいですよ」って言いたい。(笑)日本人が何気なく使っている言葉が、日本語を勉強している外国人にとったら難しい。語尾とか。最初は敬語をつかえたほうがいいからみんな「です・ます」で覚えるんですけど、「書きます」が「書くよ」「書くね」になったりするのが分からないみたい。あとは、一人称がいっぱいあることも日本ならではみたいで。「私」「うち」「俺」「みほ」って変わるのが不思議な感覚らしい。

言語の壁ってやっぱり埋まらないところはあると思うけれど、上手く両者がとけこむことが大切なんだろうな。


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