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0410|高校時代の姉が完全に邦ロックの歌詞に出てくる女の子だった話

今週末法事で帰省した時に2個上の姉さんも帰ってきていまして。正月ぶりとかだったんですけど久しぶりに会ったのでまー色んな昔話に花が咲きました。仕事の話、大学時代の話、高校時代の話、中学時代の話、もっと前の話…元々そんなにめっちゃ仲良し姉弟って訳でもないのでこんなに話すことってなかったんですけど、法事で故人の昔話とかがひと盛り上がりしてたんでまあその流れでめっちゃ色んな話しましたよね。

うちの姉さんっていうのは僕の2個上なんですけど、小ちゃいころとかめちゃくちゃ顔似てたんですよ。で、まあまあひょうきん。おれは姉さんのユーモアセンスめちゃくちゃ苦手で、友達でいたら嫌だわ〜って感じの、今もそう呼ぶのか分からないですけど腐女子に片足突っ込んでるみたいなキャラなんですけどガチガチ腐女子ではない、なんなら普通にクラスのギャル枠の友達とかヤンキーからもまあまあ慕われてる感じの、腐女子と芸人の間くらいのポジションでクラスではいたみたいです。おれは苦手だけど!

姉さんがそのポジションを確固たるものにしたのは姉が中学1年生の4月のころで、全校集会でやりたい人が一発芸を披露するみたいな会があったっぽいんですけど、意味わかんないですよね。おれも意味わかんないんですけど、田舎の中学校だったもんで、そういうよく分からないイベントが定期的に開催されていたんです。そこで姉さんが真っ先に手を挙げて。一応お調子者キャラを地で行ってはいたんですけどそんな我が我がで前に出ていくタイプでもなかったのですが、そこで出張っていってニワトリの物真似したらしいんです。そしたら学校中大いにウケちゃったっぽいです。全校集会でやる一発芸大会で持ってきたレパートリーそれ!?みたいな。そこから学校中であいつはヤバい、クレイジーだみたいな感じになって、そこから中学3年間一目置かれる感じだったみたいです。

ここは姉さんに感謝!な話なんですけど、姉さんが築いてきた関係値、その恩恵におれもあずかることができましてね、入学早々、右も左も分からない中で姉さんの同級生の中3の先輩、当時からしたらめちゃくちゃ大人じゃないですか。めちゃくちゃ大人なお姉さん方からはむっちゃ可愛がって貰えましたし、ヤンキーでその後2回停学くらったと聞く、めっちゃ喧嘩強かった大野先輩とかも、ムカつく奴いたらぶっ飛ばしてやるから言えよ〜みたいな感じでかなり守ってもらえて心強かったです。そこはマジで姉さんに感謝です。その分おれに課される笑いのハードルもそれなりにあって、お前もなんか一発芸やれよみたいな無茶振りこそあったものの、それなりに姉さんの恩恵にあずかったりあずからなかったりしてました。あと無茶振りに応えて中学という荒野をサバイブするために芸を身につけねばと思ってエイヤで頑張った結果、コサックダンス踊れるようになりました。そんな感じで中学高校時代は姉さんは山あいの田舎の村でいくつも逸話を残していました。

話変わって、ここからが本題なんですけど、おれが高校1年生の冬に、おらが村でひとつ都市伝説めいた話がまことしやかに囁かれ始めまして。

「毎朝5時とか6時、めっちゃ朝早い時間帯に、アズファストアズ原付くらいのものすごいスピードで、自転車で虹色のマフラーをたなびかせながら山を下っていく女子高生がいる」「山道のサイドにある溝にタイヤを落として車体が持っていかれないように見事なドリフトをかます、山道で死んだ女の幽霊を見た」って話だったんですけども。

当初、そんなアジカンとバンプとベボベの歌詞に出てくる女の子みたいな要素をごちゃ混ぜにした欲張りセットの女がいてたまるかい!とか思ってたんですけど、話を聞けば聞くほど姉さんで。あれおれの姉さんじゃねみたいな。

というのも、姉さんは学生時代吹奏楽をやっていて、高校もそこそこ吹奏楽頑張ってる感じの学校に通ってたものだから毎朝早くから朝練があったんです。姉さん毎朝寝坊してたんで、いつもおふくろに叩き起こされては慌てて自転車乗って街の学校まで全速力で向かってたので。しかも、その虹色のマフラー女が通る動線っていうのが、話を聞くとどう考えても姉さんの通学経路だったのと、あと姉さんがいつも虹色のマフラーつけてたんで完全に確定演出じゃないですか。あれあいつじゃんみたいな。

そこからはもう邦楽ロックで描かれる甘酸っぱい歌詞とか、一切ときめくことができなくなりました。錆びついた車輪とか、レモンスカッシュ感覚とか、じゃがいもの芽とかカラダにピースとか聴くたびに、頑張って当時の恋とかと重ねようとするんですけど、そのたびおれに瓜二つの顔した女子高生こと姉さんの顔が、あの映画館でコーラの映像が定期的にコンマ何秒か映るサブリミナル効果みたいにチラついてもう全然エモくなれないんですよ。おれの青春をかえして!!って感じなんですけど、そんな話を帰省したときにしていました。

それでおれの過ごしてた田舎っていうのが、群馬県の伊香保温泉にほど近い山の麓のちっちゃい村だったんですけど、それが『頭文字D』の主人公藤原拓海の地元のモデルになった街にむちゃ近いんです。おれ最近頭文字Dにハマってて、旧式のハチロクで当時最新鋭の車を次々とちぎっていく藤原拓海の姿と当時の姉さんが段々ダブって見えてきて、あの男くさい頭文字Dでさえもおれはいま心から楽しめなくなってきているんですけど、女の幽霊の方の都市伝説と頭文字Dの話は完全に嘘です。逆に言えば前者はマジ話です。そんな感じです。

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