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最近の感じ|4月の風

仕事|年度末業務DONEと帰省

年度末の業務を無事におさめて新年度を迎えることができた。この時期はクライアントの人事異動などなどの関係で先方がバタつくという関係で、客商売のこちらは多少暇ができる。昨年はこの時期一人でラブホテルに入れるということが分かり、ルームサービス等を頼んで映画を見るとかそんな過ごし方をしていたけれど、今年はちょうど高校時代の同級生、在学中は全くと言ってよいほど関わりがなかったんだけど、SNSで緩めに繋がっていた人とぜひ会おうという風にお誘いいただいたことや、お彼岸に帰れなかった関係もあり実家に戻って少しゆっくりすることにした。

ただ高崎線に乗ってだんだん故郷の匂いが濃くなってくるにつれて、なんだか少し柄にもなくアクティブな気持ちになってくるもので、週末めいいっぱい活動的に過ごしたいという思いが湧いてきたので、夕方に同級生と少し話をしてごはんを食べたのち、深夜12時過ぎの前橋駅まで送ってもらい、そこから一人飲み歩くことにした。

前橋駅周辺に形成されているオリオン通りという商店街にほど近い場所に、元気21というラジオ局やスーパーマーケット、大学の研究室、その他いろいろなものが入った複合施設があって、そこの一角に自習室のようなオープンスペースがあった。そこでは前橋高校とか、前橋女子高校とかたいへん優秀な学校の生徒がさかんに利用していたため、刺激を受ける意味合いでおれは受験生時代の多くをそこで過ごしていた。高校生活の多くを部活に捧げて高校生らしい(?)自由な時間を持てるようになったのは高3の夏以降だったから、休憩がてらオリオン通りはじめ商店街を散歩して高校生要素を摂取していたから思い出のお店なんかがとても多い。ただあれから10年以上も経っているので、当然なくなってしまったお店なんかもある。400円で食べられるラーメン屋さんとか好きだったのだけど。

一杯400円のラーメン屋さんがここにあった。たしか。


そんな街の変化を久しぶりに歩いているうち、そういえば市内にクラフトジン専門のバーがあることを思い出し、一晩をそこで過ごすことに。

店内にはおれ一人しかおらず、若いマスターとふたりで酒を飲んでいた。このジン専門のお店というのがたいへん面白くて、このごろ増えてきているクラフトジンは作り手のこだわりとか、商品のストーリーなどブランディングがしっかりとしており、当然マスターはそういったストーリーをひとつひとつ把握しているのでいろいろ教えてもらうことができて、変な話、間が持つというかなんというか退屈しない。酔っぱらっているからその日聞いた話は次の日には忘れちゃうんだけど、それでも一晩楽しく過ごせるからかなりジンバーという場所が好きだ。

この日も150種類くらいあるクラフトジンのおすすめや、それに纏わるストーリーなんかを教えてもらっているうち、朝5時になっていた。それから、電車に乗って少し遠くに、仕事でかかわった栃木の鬼怒川あたりにでも行ってみようかと思い立って始発に乗り込む。ただ、県境を通過したあたりまでは覚えているんだけど、いつの間にか眠ってしまい、気が付いたら茨城にいた。それから折り返しの電車に乗ってふたたび栃木を目指すんだけど、また眠ってしまい、目を覚ますと前橋に戻ってきていた。これはもうだめだと思いそのまま電車に乗って東京の方に戻った。東京に戻る途中でもすごく寝た。

ASAYAKE

生活|念願のしょうゆ蔵

年明けくらいからしょうゆ集めを加速させているのだけど、いろいろな地域のしょうゆを味わうと、当然次はしょうゆ造りの現場を見に行きたいという気持ちが湧いてくる。一方で一人で行くには少々心許なく、かといってしょうゆに関心のある人というのはなかなか少ない。しかし、おれにはスペシャルフレンドスズキがいるではないか。スズキとはここ数年、半年に一度くらいの頻度で小旅行に一緒に行く。去年の今頃、おれの地元群馬県の「日本三大うどん」を標榜する水沢うどんを一緒に食べに行ったり、夏には千葉の勝浦にある「理想郷」と名の付く景勝地を訪れたりもしている。スズキならだいたいどこに行くにもついてきてくれるだろうと思い、先日ついにスペシャルフレンドスズキを伴って埼玉の川島町にある笛木醬油の蔵に見学に行ってきた!

現地では30分ほどの小さなツアーが組まれていたので参加。しょうゆができるまでの工程や醸造に使われる蔵を見せてもらい、たいへん気分が高まる。実はいつか自分のアパートで自家製のしょうゆを造れたら…と目論んでいたのだけど、話を聞けば聞くほど複雑、ものによっては3年ほどかかるうえ、さらにその間温度管理もしっかりしなくてはならず、結論難しいということがわかった。

蔵には直売所が併設されていて、そこでさっき話を聞いたばかりのしょうゆやその加工品などが並んでいて、濃口・再仕込、木桶初しぼりなど製造法が異なるしょうゆを数点購入。いまおれのアパートには8種類ほどしょうゆがある。

しょうゆ蔵をあとにして、まだ時間があったので川越まで行く。スズキは異常なまでに川越事情に詳しく、駐車場の位置からおすすめのベーグル屋さんまで様々案内してもらった。人が多かった。

行き帰りの車内ではスズキとしょうもない話から真面目なテーマの話まで様々話をした。その中で夫婦別姓についての話になり、スズキの知り合いが姓選択についてかなりこだわりを持っているようで、結婚を前に少し揉めているようであるということを話していた。

おれは、どうだろうな。おれの苗字は多少珍しい苗字なので愛着がある。でももし仮におれよりも珍しい苗字の人と一緒になるようなことがあれば少し迷ってしまうかもしれない。その程度の解像度なもので、いざ姓選択について決断を求められる場面になった際、双方納得のいく答えが出せるんだろうか。わかんないや!スズキはスズキで、元々ごくありふれた苗字だったから結婚を機に違う苗字になったことに満足しているようだった。そんな感じでお互いの希望をすり合わせながら決めていけばいいんじゃね、という話も出た一方で、とはいえ結婚は双方の家のことも関係してくるので、そう簡単な話でもないんだよな~とかそんな感じのことをスズキは言っていた。結論お前はその前に早く結婚相手を見つけろよというつまらないものになった。つまんねつまんね!

文化|食卓は民藝

この頃はしょうゆとクラフトジンにたいへん情熱を注いでいるわけだけど、そのどちらにも共通しているのは手造り、手仕事の妙が垣間見える点である。こうした作り手のこだわりや温もりのようなものに心がRockされるからこれほどまでに熱を上げているわけで。これらを収集したり、時には作り手を訪れるうち、ちゃんと専門的な知識を身に着けたいという気持ちが湧いてきた。聞くところによると、東京農大では発酵・醸造に関して専門的に学ぶことができるという。ちょっと心が揺らぐけど、現実的ではないな。

4年ほど前になるが、当時はクラフトコーラ黎明期であり、全国各地でさかんにコーラが作られるようになったタイミングだった。当然おれはこのクラフトコーラにも熱をあげていたわけだけど、クラフトコーラの作り手が「クラフトコーラはまるで民藝」というようなことを言っていた。当時はなるほど民藝、と膝を叩いたわけなんだけど、民藝っていうのは「民衆的工藝」の略称であり、いわゆる美術品のようなものは当然見ていて美しいわけだけど、人の生活に根差した、日常使いの器等の工芸品に美を見出していく運動が100年とかそのくらいの昔に行われていたよう。民芸展なんかよく企画展でやっていて、そこでは器とか、染め物とか、そういうものが展示されている。

ただしょうゆ、クラフトジン、クラフトコーラなどのように食品にもこの民藝の考え方が応用できるんじゃないか、みたいなことを最近考えている。どれも日本各地でさかんに作られていて、当然日本各地には土地の名産、果物とか、穀物とかがあってそれらを使用することで唯一無二の商品に昇華している。この土地ごとの違いがこれらを味わう醍醐味になっていると思う。

歴史の中で、民藝運動をさかんにやっていた人たちは観察・収集・さらにそこから見えてきたことを言語化する営みでもって民芸品の価値を高めてきたわけだけど、おれは今食品の観察、収集に取り組んでいる。まさに食卓の民藝運動と言って差し支えないと思うんだがね!どうかね。ガチの民藝運動やってる人が見たら怒られるかもしれないけど、でも食品にも民藝要素あると思うな~!

ただおれは民藝については美術館で何度か企画展を見た程度、そんなに語れるほどの知識もないのでひとつ腰を据えて勉強してみようかな、など考えている。民藝について深く知ることで、おれの「食卓の民藝運動」に対する取り組みもまたさらに進歩的なものになっていくのではないか。聞くと民藝協会というものがあるらしく、これに加盟すれば毎月会報誌が貰えて、各種セミナーとか会員向けの研修旅行などに参加できるという。年会費は数千円とのこと。手が出ない費用負担ではないが、どうだろう。少なくとも農大に入りなおすよりは現実味のある話ではある。折しも来月はボーナスが入る月。財布の紐がゆるむ時期、真剣に加盟を検討している。そんな感じです。


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