昔の話 Part4

こんにちは。だいきちです🙌
前回の続きといきましょう。


バイトを掛け持ちしながら、診断書をもらうために心療内科にカウンセリングに行き始めて約半年後に、やっと正式に“性同一性障害”と診断されました。

その何ヶ月か後に、バイトで貯めたお金で胸オペ(胸を摘出する手術)をしました。保険適用外なので、なかなかの出費でしたが、その時の僕は『早く手術をしたい』という気持ちの方が大きくて、そんなこと気にしてませんでしたね(^_^;)

胸オペ前は、手術なんてしたことがなかったので結構ドキドキでしたが、不安よりもやっぱり楽しみな気持ちの方が勝っていました。オペは無事に終わり、19歳にしてやっと平らな胸を手に入れることができました。いつもナベシャツで苦しかった身体が解放されて、本当に嬉しかったことを覚えています。


その1ヶ月後くらいから、ホルモン注射を始めました。
ホルモン注射に関しては、もう楽しみ以外の何物でもありませんでした(笑)

『やっと変われる』

『やっと理想に近づいていける』

そんな風に思っていたと思います。
4.5本目くらいから声変わりが顕著に出始め、それからは毛が濃くなったり、より汗っかきになったり、にきびが増えたり、顔つきが変わったり、筋肉が付きやすくなったり、性欲が増したり…(笑)
色々な変化がありましたが、副作用的なものは僕の場合は、にきびくらいだと思います。にきびは打ち始めの時はすごくひどかったのですが、今となっては落ち着いて、特に副作用というものは感じることなく生活しています。
人によってはホルモン注射が体に合わない方もいるようなので、安易に考えず、ちゃんと自分の体と相談しながら進めていった方が良いですね。


そうして、外見的にも色々な変化が出始めたところで、掛け持ちしていたバイトを辞めることにしました。
そのバイトで関わっている人たち全員に自分のことを話すのも気が引けたし、面倒臭かったので、いっそ辞めてしまって、また新しいバイトを探して今度は男性として働いてみようというのが僕の考えでした。

バイトを辞めてから改名をし、男性の名前になりました。

そして新しいバイト先で、初めて男性として働き始めました。ただ、戸籍上は女性のままなので、面接時にカミングアウトをして、特に問題もなく採用してくれました。

しかし初めはやはり、

『ちゃんと男性として見られるだろうか』

『男性としてのコミュニケーションをちゃんととれるだろうか』

など不安に思いながら働いていました。男性としての自分に自信が全くない状態でした。

そんな風に悩みながら働いていましたが、「○○くん」と呼んでくれたり、力仕事を任されたり、お客さんに「あんちゃん」と呼ばれたり、そんな些細なことで段々と、『ちゃんと男として見てくれてるんだ』と思えるようになっていき、自信もついてきました。

そうしてやっと男性として生きられることに、喜びを感じられるようになりました。

そしてそこで働き始めてから1年後くらいに、性別適合手術を受けました。国内で受けたので、バイトは2週間くらい休ませてもらいました。性別適合手術も、不安というよりは、

『やっとこれで終わる。これが終われば戸籍を変えられる』

こんな気持ちが強かったですね。ただ全身麻酔だったのでそこは少し不安だったかな~


そして無事に手術は終わり、全身麻酔から目覚めた後、看護師さんが僕の体から摘出されたものを見せてくれました。


―――僕の体には必要なかったもの。それのせいで、自分の体が女性なんだと痛感させられていたもの。

でも一生懸命、僕の体の中で生きていたもの。僕の体の中だけで存在できていたもの―――


看護師さんがそれを僕に見せながら、

「すごく綺麗でしょう。…でも、お別れね。だから最後にみんなに見せてるのよ」

と、優しい笑顔で言っていました。今まで要らないと思っていたものなのに、自分の体から出ていってしまうと考えたら、不思議なもので、なんだかすごく切なくて寂しい気持ちになりました。でも前に進むためには、避けて通れない道。とても複雑な気持ちでした。


手術後は出血だったり、体調不良を訴える人が多いらしいのですが、僕は何ともなくて、出された食事もすべて平らげていたので、看護師さんに、

「こんなにすぐ元気なのは珍しい。日頃の行いが良いのね☺」

と言われたのが嬉しくて、とても覚えています(笑)


その後に戸籍変更の申し立てを家庭裁判所にしに行きました。

裁判所では、まず申立書の提出をし、裁判所から審判日の通知が送られてきて、その日にまた裁判所に行き、裁判官と面談をして、また後日に裁判所から戸籍変更の通知が郵送で送られてくるという流れです。これは改名の時もだいたい同じです。

申立書を提出した後、審判日が決まり、僕はまた裁判所に訪れました。

裁判官との面談は改名の時でもやっていたので、そこまで緊張はしていなかったのですが、面談室に入ると、とても驚いたことが。。。。。

なんとそこにいたのは、中学の時のスクールカウンセラーの先生だったのです。

僕は部屋に入った瞬間に気づきましたが、中学校ぶりだったし、容姿も名前も変わっていたからか、その先生は気づかず、僕もあえて言わず、普通に面談が始まりました。

面談は、主に自分のこれまでの性同一性障害に関する経歴を話していくものだったのですが、中学校時代の話をしていた時に、

「あれ、待って。もしかしてあなた、あの時の…」

と先生が言ったので、

「そうです。中学の時、先生にカウンセリングでお世話になりました」

と話すと、

「久しぶりね、こんなことってあるのね…すっかり男の子だね」

と言って、先生は涙ぐみながら再会を喜んでくれました。

僕は中学校時代に、カウンセリングを途中で行かなくなってしまったことを先生に謝り、今となってはすごく感謝していることを伝えることができました。ずっと引っかかっていた心のつかえが取れたような気がしました。

審判は無事に終わり、2週間後くらいに郵送で戸籍変更を認める通知書が届きました。

やっと戸籍が男性に変わり、堂々と男性として生きることができるようになりました。

『やっとここまできたか~』

嬉しさというよりも、こんな気持ちが大きかった気がします。


続きはまた次回~👋


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