ご両親へのカミングアウト Part2

さて、前回の続きです。

次の日。

彼女の実家に行くと、彼女とお義父さんが玄関先まで出て来てくれました。お義母さんはまだパニック状態で部屋から出てきてくれませんでした。

そこで僕は、お義父さんに話せるだけのことを話しました。

僕が一人の男として彼女のことを好きで大切にしたいと思っていること。

お義母さんが会ってくれるまで理解してもらえるまで、いつまでも待ちますということ。

ただ玄関先だったので、やはり時間も限られてしまい、話したいことは全然話せず...

お義父さんからは、

『私は２人が決めたことならとやかく言うつもりはない。

ただ妻は少しマイナスな方へ考えてしまうところがあるから、理解するまで時間がかかると思う。近所に高校の同級生がいるからバレてしまったら好奇な目で見られてしまう、などと言っている。

このままでいくと両家顔合わせは最悪延期してもらうかもしれない。

...ところで、２人の関係は恋愛なのか？友情なのか？』

こういうことを言われました。

恋愛なのか友情なのか聞かれたときは、さすがに僕もびっくりしましたが、きっと僕みたいな人には会ったこともないだろうし、こう思うのも不思議ではないなと感じました。

お義母さんに会えなかったのはすごく残念でしたが、とりあえずお義父さんと会って話ができただけでも自分的にはプラスでした。

隣でお義父さんと僕の会話を聞いていた彼女は涙を流していて、その姿を見た時に、＂俺が踏ん張らなきゃな＂とより強く感じました。

その日の夜に、僕はお義父さんに、僕がどう生きてきたかや彼女が色々考えたうえで僕と付き合ってくれたかなど、玄関先で話せなかったことをメールで送りました。すご～く長文で。(笑)

それから数日後に、お義父さんが彼女に、今のお義母さんの状況をメールで送ってくれました。

お義母さんが一番心配していることは、＂将来の子供＂のことでした。

普通に子供を授かることができない。そこがとても引っかかっているようでした。

それからまた数日経って、お義母さんから彼女に連絡が来ました。

『あれからずっと考えているけど、やっぱりすんなり受け入れることはできない。でもいくら考えても答えは出ない。

ただもう２人は先に進むしかないのなら、時間はかかるけど受け入れていきます。

顔合わせは参加できるように気持ちを持っていきます。』

といった内容が綴られていました。

お義母さんは僕らの未来をとても考えてくれていました。

たくさん悩ませてしまって、娘のことを本当に大切に思っているからこそ心配でいっぱいになってしまって、受け入れてくれるのに時間がかかってしまう。

そのメールを見た時に、彼女へのお義母さんの愛情が手に取るようにわかった気がしました。彼女もきっと同じ思いだったと思います。

お義母さんは、『僕のことを否定しているわけではまったくない』、とも言ってくれていました。その一文に、とても安心させられたのを覚えています。

両家顔合わせの日までに、僕はお義母さんと会って話がしたいと思っていましたが、彼女から、

「そっとしておいた方がいいかもしれない。今必死に母の中で整理をしているところだと思うから」

と言われたため、カミングアウトしてからお義母さんと初めて顔を合わせたのは、両家顔合わせ当日でした。

両家顔合わせは、お互いの両親・兄弟みんな来てくれて、お義母さんもちゃんと来てくれました。

お互いの家族も仲良く話してくれて、会は無事に終わりました。僕らはホッと一息。僕の家族にも、今回のことは話していたので、気を使ってくれたと思います。

お義母さんもいつもと変わらない笑顔でいてくれて、僕らのことを前向きに考えてくれようとしているんだなと感じました。

そして数日後の夜。

お義母さんから僕に連絡がありました。

『娘は芯の強い子です。その娘が真剣に考え、決めたことなら、私は大丈夫だと今は思っています。

娘をどうぞよろしくお願いします』

そう綴られていました。

彼女のご両親が、彼女と僕の未来を応援してくれる。そのことだけで、本当に嬉しかったし、これは決して当たり前のことではないんだと胸に刻み、彼女と彼女のご両親に感謝を忘れないように生きていこうと思いました。

女性の体で生まれた僕が、今男性となって妻となる彼女のご両親に結婚を認めてもらえた。

ここまで長かったですが、思い返すと、なんだか短かったような気もします。

正直、昔の自分はこんな状況に自分がなるなんて思ってもなかったです。昔の自分は、この先の人生一緒に生きてくれる人も現れないだろうから、ずっと１人で生きていくんだと思っていたくらいだったので。(笑)

それが、彼女と出会い、付き合えて、結婚まで、こんなに早く現実になるとは思ってもみなかった。人生何が起こるか本当にわからないな～と思いました(笑)

そんなこんなで、その翌月に無事入籍をし、結婚することができました。㊗

妻は本当に明るく優しくて包容力があって、ひまわりのような人です🌻ガキな僕をいつも支えてくれています。こんなに素晴らしい妻を持てた自分はすごく幸せ者だなと本当に感じます。一生の運を使い果たしたんじゃないかと思うくらいです(笑)

ご両親とも、今も頻繁に実家にお邪魔してご飯をご馳走になったりして、仲良くさせてもらっています。

いつか子供を授かれた時も、ご両親の心配や不安がなくなるように、しっかり２人で愛を持って育てていこうね～と、妻と話しています。

結婚する前は、『結婚がゴールだ！』なんて思っていましたが、結婚してからがスタートなんだということに気づきました。

これからも色々とぶつかる壁があると思いますが、どんな壁でも２人で乗り越えられる自信が、今回の件で少しついたような気がします。

そういう面でもご両親には感謝ですね(^^)

これからも２人で支え合って頑張っていきます(^^)/