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保育園留学の体験談~気づき編~

2023年9月に体験した、北海道厚沢部町での保育園留学の体験記。保育園編、生活編ときて、最後は気づき編です。

順不同、思いついた順番に、2週間の留学を経て、私が気づいたこと、学んだこと、これからの子育てや自分の仕事観に影響を与えた内容について記録に残しておきたいと思います。


まちにとって「保育園」がもたらす意味

私にとって、子育てする親の立場でいうと、保育園って「仕事をしている間に子供を預かり育ててくれる場所」という存在でした。保育園は、未就学児を育てている人たちにとっての場所。そういう「機能面」でしか保育園を見ていなかった。

ところが、厚沢部というまちにもたらした「はぜる」のインパクトを知れば知るほど、「まちの中に保育園がある」という意味について考えずにはいられなくなりました。

自分たちのまちに保育園があるということは…、
まちの未来を感じることであり、未来を育てることであり、
働きながら子育てをする世代をまち全体が応援することであり、
場合によっては外から来てまちに関わってくれる人を繋ぐ場所でもある。

現在進行形で人口減少に直面している地方自治体の場合、保育園を、子育て世代を対象とした機能面だけで評価するはもったいない。まちに暮らす全ての世代にとって「このまちの未来に対する投資事業である」という共通認識を持てるかどうか。これこそがまちの存続に関わってくるようにすら思いました。


「自分たちで決めること」を奪わない

「はぜる」の園内を見学した時に、以前つかっていた老朽化した町営保育園時代を知るベテラン保育士さん達から「はぜる」の成り立ちについて伺うことが出来ました。

まちのなかに現在も建物が残っている以前の厚沢部町立保育園(写真参照)。実は、建て替えするにあたり、民営化の可能性があったのだそう。

今はもう使われていない「厚沢部保育所」

それを撤回して、もともと町営保育園で働いていた保育士さん達が声をあげ、自分たちの手で、ゼロからつくることになった経緯を知りました。

民営化を撤回した背景には、キーマンとなる町役場の職員さんがいらしたそうです。この方が、「お上」が決めたことだけをやっていればいいという考えではなく、現場を良く知る保育士の意見を一番に考え、建物や運営に反映するという姿勢を貫いたのだそう。

「誰か」の手で運営されかけていた保育園が、一転、「自分たち」で作ることになり、そこから話し合いを何度も重ねて今のカタチになった経緯を知ると、保育園編①②で私が感じた驚きの理由が分かります。

「はぜる」は、どうしても保育園の建物/ハードに目が行ってしまいがちだけど、実は保育の中身や質について侃々諤々、保育士さん達が話し合いを重ねた結果、この建物に行き着いたのだということが、お話しをうかがって良く分かりました。

教室のつくり、トイレのつくり、園庭の遊具の選択、一つひとつにこだわりがあり、何でこれにしたのかということを実際に「自分たちで」つくってきた保育士さん達ががっつり教えてくれました。

「はぜる」では、子供達が「自分たちのことは自分たちで決める」という姿勢を貫いています。自分たちが決めたんだから、責任をもって取り組むのだという姿勢。これは、「はぜる」の保育士さん達が、この園を作るときに実際にやってきたことと同じ。

やもすれば自分たちの声や決定権を奪われてしまいがちな「子供」や「一介の職員」といった立場の人達が、「自分たちで決める」ことを積み重ねてきた。これが「はぜる」の成り立ちであり、このユニークで自主性のある保育園づくりにつながっているのだなと思いました。

私自身、子育てにおいても、事業やプロジェクトを運営する場面においても、親や上長が決めるのではなく、関わっている本人が「自分で決めることを奪わない」ということがいかに重要か。強く心に刻んだのでした。

親も子も、色んな学びに出ていく

私自身はリモートワークが出来る仕事ではないのですが…。今の時代、大人も子供も、仕事も学びも、ひとところにとどまっている必要がない時代だと思います。

親の仕事に子供がついていく、というのが、かつての転勤族の考え方だとすれば。これからは、親の仕事や学びに子供がついていくだけでなく、子供の学びに親がついていくというのも、当たり前になるのだろうと思います。

今は、子供が小学校に入ると、カリキュラムに遅れてしまうという感覚があり、保育園留学のような体験をするのにハードルが上がる感覚を持ちますが、実際はオンラインで学びを担保できればどこでだっていいのかもしれません。

また来るね!

2.5拠点生活のシュミレーションのために参加した保育園留学。
こどもも、パートナーも、私も。それぞれ三者三様に色んな刺激を受けて東京に戻りました。留学から3か月たった今でも、当時の話題で盛り上がります。

我が家は、あと3年保育園に通うことになるので、厚沢部に限らず、これからもお互いの仕事の調整をしながら保育園留学に行ってみたいと思っています。

私の個人的な体験談が、誰かの参考になれば幸いです。




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