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人生の主導権が返ってくる

この間、〝ヒプノセラピー〟というものを受けさせてもらった。

わたしは今「本音をさらけ出して生きること」を課題に感じていて、それができるようになりたいと願っているのだが、ヒプノセラピーでは、そうできなくなった最初のきっかけに遡って自分を癒す、という感じの催眠療法だった(わたしの解釈ですが)。

わたしが本音をさらけ出そうとするとどんな風に感じるのか。例えば相手に何かを断るとき。予定を変更してもらうとき、迷惑をかけてしまうとき。わたしは自分の気持ちを犠牲にして、我慢して、何も起こらないように行動してしまう。なんでそうしてしまうのかというと、「相手の表情が変わるのがこわいから」だ。嫌な顔をされるのが嫌だ、呆れられるのが嫌だ、困った顔させるのが嫌だ。自分のせいで相手の表情が変わるのがすごくこわい。そんなとき、胸がどきんってする。セラピーでは、わたしが人生で一番最初にそういう経験をした時点に戻れるようガイドしてもらった。


通っていた幼稚園の景色が出てきた。教室ではなく運動場。隣接していた建物や園舎が見える。わたしの隣にはジャングルジムがあって、その下の砂で何か絵を描いて遊んでいる自分がイメージできた。わたしの表情はあまり楽しそうではなくて、口をつぐんでいる。

近くに友だちもいた。仲のよかったゆかちゃんと、男の子2人。ゆかちゃんとは楽しい思い出もたくさんあるけど、その男の子2人に対しては、少し複雑な気持ちを抱いている自分がいる。

嫌いなわけじゃない。楽しく一緒に遊んだときもある。でも、たしかその2人には、意地悪されていた時期もあった。前は「嫌な奴だ」と思っていた。でもある日突然、急に仲良くしてくるようになった。とても不思議に思いながらも、まあいっかと思ってその後は仲良くしていた気がする。心のどこかで「またいつ変わるかわからない」って思っていた、そんな複雑な気持ちを思い出した。

わたしはその2人に対して、急に相手の表情が変わることの恐怖を抱いたのだろうか。近いような気もしたが、やっぱりなんかしっくりこない感じもした。本当にその2人に対してなのだろうか。

いろんな質問をしてもらううちに、なんだかやっぱりお母さんに対しての気持ちが関わっているような感じがしたので、もう一度過去に遡ることにした。


次にでてきた風景は、小さい頃に住んでいた古い一軒家の2階。お母さん、お姉ちゃん、妹と4人で夜ご飯を食べているとき。わたしも、みんなも、あんまり楽しそうな表情はしていない。いつも座っていた子ども用の椅子にすわって、ゆっくりごはんを食べていた。

わたしはあんまりごはんには興味がなくて、手が進まない。うちのお母さんはいつも、白ご飯が残るとお味噌汁に入っているわかめで白ご飯を巻いて(のりみたいに)食べさせてくれたのだが、それを思い出した(今思えば変わった習慣だったと思う(笑))。それは別にまずくはなかったんだけど、あんまり食べたいと思わなかった。はやく立ちたいなぁと思いながら、ごはん中に立ち歩く妹が怒られるのを見て、自分は我慢しようと思ったのを思い出した。

なんてことない日常の一部。わたしにとっては別に泣きたいほど辛かったわけではない時間。でもなぜだかその時間を思い出して、少し気持ちが重くなるのを感じた。

本当は、もう別に食べたくなかった。でも残すとお母さんが怒るから。立ち歩くとお母さんが怒るから。我慢してそこに座っていた。

そんな時間が積み重なったのかなぁ。相手の表情が変わる恐怖の一番最初がそこなのかはやっぱりわからなかったけれど、そのときの自分を癒すことにした。


隣に立って、「もう食べなくていいよ」って言った。もうお腹いっぱいだよね。あんまり食べたくないんだよね。残していいんだよ。

お母さんに怒られないために、自分が我慢しなくていいんだよ。自分の気持ちを一番に大事にしていいんだよ。自分の気持ちを一番大事にしていいんだよ。あなたの発言や行動は、お母さんの幸せとは何も関係ないんだよ。

「わたしの発言や行動は、お母さんの幸せとは何も関係がない」。

そんな言葉が出てきたとき、心が反応した。わたしは、自分がした発言や行動によって、お母さんが悲しんだり怒ったりして不幸になると思っていた。お母さんを悲しませてはいけないと思っていた。お母さんが不幸になってしまうから。でも違うんだ。お母さんは別にわたしの行動によって不幸になんかならない。人は、自分を幸せにできるのも不幸にできるのも、自分によってだけなんだ。わたしは自分の気持ちをただ一番に大事にすればいい。ただそれだけでいい。

そんな風に声をかけながら、口をつぐんでいる幼い自分を抱きしめた。

「自分の気持ちを、一番に大事にしてね」。

約束した。幼い自分と。自分の気持ちを、一番に大事にする。


セラピーが終わって、不思議とすごく体力が奪われて、ぐったりとした。仮眠をとったけれど、起きたあとも余韻がすごく残っていて、まるで幼い自分と本当に会ったような感覚が残っていた。いや、たぶん本当に会えたんだと思う。ドラマや映画でよくあるやつ。過去にタイムスリップして子どもの頃の自分に会いにいくような。本当にあれがわたしの中で起こったんだと思う。

「自分の気持ちを一番大事にしてね」そう幼い自分に言ってあげて、そんな大人の自分も、あの幼い自分に顔向けできるような生き方をしようと思った。終わった直後はそんな感覚だった。

でも本当は少し違ったのかもしれない。あの幼い自分もわたしなんだ。「自分の気持ちを一番大事にしてね」と言われたのもわたし自身。わたしはわたしに「自分の気持ちを一番大事にしてね」と言ってあげたんだ。


今日、その約束を守るべく、行動に移してみた。朝起きて約束していた予定があったんだけど、どうしても気持ちが向かなかったから、キャンセルしてもらった。相手は快く受け入れてくれた。

まだまだこわいことばっかりだ。怒る人もいるだろう。嫌な顔されることだってあるだろうし、わたしを嫌いになる人だっているだろう。まだまだ相手の表情が変わるのはこわい。でも、自分の気持ちを大事にするたびに、ちょっとずつ自分の重心が定まっていくのを感じる。一つ一つ積み重ねていこうと思う。

自分の人生の主導権がちょっとずつ自分に返ってくる感じがしている。


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