お金のトラブルから得た学び②

ここで友人が借金に至った経緯を。

私は細々とではあるけれど歌手として音楽活動をしている。
プロとして活動していればコンサートに出演する機会が数多ある。
その中に自分で主催企画して催すいわゆるリサイタルというものもあり、これを昨夏、この友人とジョイントという形で開催したのだ。

リサイタルをすると決めたのは一昨年の夏。リサイタルの準備に1年間かけた。
ホールを予約し、曲を決め、チラシを作り、チケットを作り、宣伝し、プログラムを作り、都度打ち合わせをした。
リサイタルを成功させるぞー!と1年間頑張ってきた。

はずだった。


リサイタルをするにあたって、一応収益はある。しかしそれは終わってからの話。当然、よほどチケットが売れなければ黒字になんてならないのだが、彼女はやたらと「赤字にしたくない」と話していて微かな違和感は最初からあった。

本来なら赤字覚悟でやるリサイタルなんておかしな話なのだけど、そこはキャリアとか云々でお金の貸し借りの話とは離れるのここでは割愛。

先ず何より、リサイタルをするにあたってある程度の持ち出し、手持ち資本は絶対に必要。

私はこの為に貯金していた。これは多分、私たちの業界では当たり前のことと思う。
動き出す時に先ず必要なのは、軍資金なのだ。

最初に必要になったのが、ホールを押さえる為の手付け金。ここで彼女はナチュラルに私に立替を要求してきた。

今にして思えば、彼女はここから鈍感力を発動したんだな。

そこからは支払いは私がして、リサイタル後精算、折半という事になった。

ホールは手付け以外にもピアノや楽屋、ライトに至るまで細かい請求が沢山あった。スタッフさんに支払う謝礼やお弁当などもあった。

少しばかり彼女と揉めたのは当日の受付&チケットもぎりのスタッフへの謝礼額。
個人開催のリサイタルなどはギリギリ予算でやっているものが殆どで、謝礼の相場は東京であっても申し訳程度のものになってしまう。
これに関しては多分、経験している同業者は分かっている。
けれど彼女は本当に何も知らなくて「そんな額ではみっともなくて渡せない」とのたまった。
結果、謝礼は相場の倍額となった。

自分は払えないのに見栄を張ることだけは忘れない彼女の性質。後から考えて、これには本当に腹が立った。

お互いに初めてで知らないことだらけでバタバタだったリサイタル。来てくれたお客さんたちが喜んでくれて、一応無事終える事は出来た。

本当の問題はここから。
精算、という段階から始まった。

リサイタル直後、彼女は「給料日前だからちょっと待って」と。

その時は、リサイタル無事終わってテンション上がっていてつい「いいよ、払える時で」なんて答えてしまった。

なんというか、日本人の本音と建前、私はあまり好きではないのだけど、時と場合による。

『〝いつでもいい〟はいつでもいいわけではない』

彼女にはこの〝本音と建前〟が通用しない。
実のところ彼女にはこれに関する前科がある。

数年前に一緒に出かけた時、彼女は財布を忘れてきて結構な額のお金を貸した。
「いつでもいいよ」と言ったら本当に催促するまで返してくれなかった。

その時は催促したら直ぐに返済してくれたから、まだ傷は浅かった。
今回は、返せない言い訳の数々が凄まじくて、友人関係を終わらせようという決意に至った。

この言い訳というのが、お金を返せない人の言い訳見本市みたいなもので、これはまた次の記事で。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?