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「私はあの日の君たちを誇りに思う」の巻

とてもとてもヘンテコなクラスだった、小学校高学年の続きの話。


女子のブルマーが盗まれる事件が何度もあった。私は被害にあわなかったけど、私達のクラスだけ起こった。
ある女の子が体操服に着替えようと、白い体操着を持ち上げた瞬間、乳首あたりに穴が2つ切り抜かれていた。
私はその瞬間、なんとも言えないおぞましさを感じた。

ある日、我がクラスに全教師が集まり話し合いをした。
どんな流れだったかは忘れたけど、ひとつだけ絶対に許せない事があった。
あの小学校にいたイマムラという教師が言った「犯人はこのクラスにいる」という発言だ。
私はそんな事をお前に言われたくない!と腹が立った。
アジロくんは挙手し「僕はこのクラスに犯人はいないと思います」とみんなの気持ちを代弁してくれた。
あの雰囲気の中、大人に意見する勇気に拍手を送りたい。彼もこのクラスが好きだったからできたのだろう。

このイマムラ、ホントに嫌いやった。
何でもかんでも競い合わせようとする、子どもを自分の駒のように扱ってると思ってた。
もしこの教師が担任だったら…私は違う価値観を植え付けられていたかもしれない。
20年後くらいに同窓会があり、このイマムラ発言覚えてる?てシショウに話したら「俺もムカついた。あの後イマムラの教室に忍び込んで、黒板にバカ!て書いた」と言うではないか!
でかした!と思った。あのクラス好きな気持ちを行動に起こした人がいたのか!20年経ってこんな美談(笑)を聞けるとは思わなかった。
今も犯人は分からない。分からなくていいと思っている。私達の思い出を汚されたくない。
でも、私達が卒業した後、タオカ先生は学校をやめた。多分、責任をとったのだろう。
今は、自分のお寺を継いでいるそうだ。


6年生を送る卒業式もまた、私は忘れられない。
卒業式で海援隊の『声援』という曲を歌うこととなった。
5年生の中から、歌の上手な子を選抜隊として選び、さらに1人の子がソロで歌うという演出
がされた。
その1人が我がクラスのイワキくんだ!
彼は自分の誕生日会に、「僕も行きたい!」「私も行きたい!」と言われ、みんなを招待してしまうようなお調子者(失礼!)だ。
あのイワキくんが、ソロ?私は彼のコトを甘く見ていた。

♪あなたは言葉を 覚えたのは
悲しみ語るためですか
どうか何度も 泣いてください
嬉し涙に出会うまでは

しょっぱなからソロで入るこの演出を、見事歌いきった。本当に、本当にキレイな声だった。
今も私の耳に残っている。
卒業生の保護者は涙が止まらなかったと聞いた。それくらい素晴らしい式を作れたことを誇りに思う。
こんな体験した彼は、きっと大きな宝をもらったことだろう。
レキシの池ちゃんも、EGO-WRAPPIN'のよっちゃんも、人前で歌って褒められたことが嬉しくて歌手になろうと思ったそうだ。
彼には今もどこかで歌っててほしいなぁ、と思う。


こんな経験があったから、今の自分がある。自由な発想を与えてくれたのは、このクラスだったからだと思う。そして何かに押さえつけられることなく育つと、仲間を認め合えることも知った。(※男子の話ばかりになってしまったけど)
タオカ先生は狙ってやったと思えない。きっとあのヒトが1番クラスを楽しんでいた。
ムスコもこんな体験してほしいな、と思う。
そんな場所を今、探しています。


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