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梵字写経|短期間でスキルを身につける体験レポート

短期間でスキル習得を試みるレポ、今回は「梵字写経」です。

梵字写経を選んだ理由としては、

1.(初回ということもあり)スキル習得までの課程自体も若干手探りなので、万一習得に失敗しても「ま、いっか!」と思えるもの(気持ちの負担が少ないもの)
2.自分の今の仕事とは全く関係がなく、気楽に取り組めそうなもの
3.強い興味が持てるもの

という3つの条件全てにマッチしたから。

身も蓋もない言い方をすると、「梵字写経ができたら、よく分からないけどなんかすごいだろうな」と思ったからです!

(写経なのに、軽いノリですみません・・・)

スキルを習得することもさることながら、「スキル習得」というスキル(?)自体も身につけてゆきたいので、最初が肝心だと思いました。

とにかく「できそう」「楽しそう」「続けられそう」なもの、加えて「出来たら凄そう!」と思うものが、私にとっては梵字写経だったという訳です。

梵字写経とは

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梵字写経について、軽く説明をします。

写経とは、「お経を書き写すこと」を指します。写経は仏教では修行の一つですが、お経の意味が分からなくても行えるもので、最近では、精神集中や心の安定、脳の活性の効果を期待する人も増えてきました。

写経では漢字のお経を書き写すのが一般的であり、梵字で書かれたお経を書き写すのを梵字写経といいます

梵字の起源や仏教との関わりはとても複雑なので割愛しますが、ここでは、「梵字のお経は、漢字のお経の原文(のようなもの)」と捉えてもらえればOKです。梵字のお経を漢訳したものが、現在よく見る漢字のお経であると。

漢字のお経よりもさらに古いお経を書き写せるようになるのが、今回のミッションということになります。

習得したいスキル・目標

梵字写経をマスターする
具体的には、

1.般若心経を梵字で書けるようになる
2.横に手本を置いて、見ながらスラスラ書けるようになる

この2つです。写経するお経は、一般的に写経でよく用いられている般若心経、その梵字バージョンを利用します。

目標とするパフォーマンススキル

・1枚の紙に収まるように書ける
・1回の写経につき、30分以内に書き終える

1枚の紙に収まるように書ける
梵字の般若心経は漢字と比べて文字数が多いです。漢字だと276文字、梵字になると455文字になります。手本を下に置いて模写するやり方だと、複数枚にわたって書くことになります。そうなると、バラバラになりやすく、保管・管理が煩雑になるので、できれば1枚に収めたいと思い、この目標を設定しました。

1回の写経につき、30分以内に書き終える
本来、写経は時間を気にするものではないのですが(むしろ逆)、私の場合、時間をかけ過ぎるとフェードアウトしていく気がするので(書きかけの写経ばかりが増えてゆく事態が想定されるので)、ある程度のスピード感を身につけられないとダメだろうということで、このパフォーマンススキルを設定しました。

スキル習得前の状態(現状スキル)

漢字の般若心経の写経は10年くらい前に一度挑戦しようとしたことはあります。ただ、3日坊主で終わってそれっきり。梵字には触れたことはありません。強いて言えば、マンガやアニメで文字を見たくらい。梵字は自分の心に潜む闇の心()がくすぐられる感じがして、書いてるとテンション上がる気がします。

習得すべきサブスキル

上述の目標スキルを、習得しやすいように細分割します(サブスキル化)。実際の練習では、これらを基に上から順に進めてゆきます。

・漢字の般若心経を書けるようになる
・般若心経の音を知る
・般若心境に載っている梵字のおおよその書き順を知る
・手本を下に置いて、書き写しできるようになる
・梵字心経の改行ルールを押さえておく
・手本を横に置いて、書き写しできるようになる

般若心経の成り立ちや、梵字の読み方、梵字とサンスクリット文字の関係等は今回は省いています。今回の目的となるスキル習得は「手本をもとに、ある程度キチンと書けるようになる」というレベルなので、意味が分からなくても書ければOKだと考えています。

今回のスキル習得後、梵字写経をさらに深く身につけたいと思ったら、別途スキル習得として組み込もうと思います。最初からあれこれ手をつけても、何一つ身につかないのは経験済みなので、まずは「書けること」これを第一にに習得するようにします。

梵字で写経する前に漢字の写経をするのは、参考となる梵字写経の本の一部が漢字の般若心経を知っていることを前提として書かれているためです。また、いきなり梵字写経を始めるよりも、馴染みのある漢字から入った方が梵字写経のハードルが下がり、習得しやすいと思ったので、サブスキルとして設定しました。

用意するツール

・筆ペン
・漢字写経用の写経用紙
・梵字写経用の写経用紙
・手本
・参考書籍
・写経用紙・写経を保管するケース

筆ペン

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筆記用具は最低限のもので用意。本格的に行うなら、筆や墨汁、硯などを用意した方がよいでしょうが、今回は「書けるようになる」ためなので、手間が少ない筆ペンにしました。

漢字写経用の写経用紙
入門用のなぞり書きタイプのものを購入。
漢字の写経に関しては(今回に限れば)5回くらい書けば充分と思っているので、紙はかなり余ってしまうことになるのですが、手本と用紙が一体化しているので、こちらの方がサッと出して始められると判断しました。私は出だしに時間がかかると進められないタイプなので、はじめのうちはできるだけスタートの工程が少なく済ませられるようにしています。

梵字写経用の写経用紙
罫線のあるタイプと罫線のないタイプをそれぞれ購入。
私の場合、最初から罫線なし紙で書くと、まっすぐ書けない(気づくと横に広がっていく)だろうと思うので、慣れるまでは罫線ありの紙を使って、ある程度慣れたら罫線なしで挑戦することにします。

手本

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徳山暉純著『梵字 般若心経』(木耳社)
図書館の検索で「梵字写経」にヒットした書籍に一通り目を通し、ネット上の梵字心経関連書籍の口コミを比較してこちらの本を選びました。梵字写経の手本の多くは、文字が小さく、字が崩されているので初心者には真似しづらい雰囲気でしたが、この書籍は梵字の文字が大きくて見やすく、何よりも私が好きな感じの綺麗な字だったのが一番の決め手でした。これから毎日見るので、手本は好みの字を選ぶのが一番だと思います。ネットの古書店経由で購入。

参考書籍

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山中元著『梵字・サンスクリット文字の第一歩ー般若心経を梵字で書くー』(国際語学社)
梵字の書き方(書き順)をマスターするために購入しました。般若心経に登場する梵字の書き順が載っている本です。梵字初心者な私は、見ただけではその通りに書ける自信がないので、書き方・書き順が載っている本が必要でした。

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ただ、この書籍もすべての梵字の書き順が載っているわけではありません。ただ、ある程度分かれば載っていない文字も書けるようになると思うで充分だと思います。Amazonで購入。

写経用紙・写経を保管するケース

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写経用紙と写経を保管しておくケース(A3サイズ)を用意しました。ダイソー(100均)で購入。取っ手もついているタイプで取り出しが楽にできるものを選びました。サッと始められるので、あると重宝します。プラスチック製なので写経を入れる物としては見た目は味気ないですが・・・。用紙が大きいのと、折り曲げたり丸めたりするのに抵抗があったのでこちらにしました。

スキル習得までの過程

漢字の般若心経を書けるようになる(1日目~3日目)
手本をそのままなぞるだけ。漢字なので取っ掛かりやすく、気負わずにできます。漢字の般若心経を1回書き終わるまでの時間はだいたい30分程度。1日1枚(1回)書いて終了します。

般若心経の音を知る(1日目~3日目)
漢字写経と並行して、般若心経の音声をYouTubeでチェックしました。

https://www.youtube.com/watch?v=Vohsba-978o

こちらの動画は、音声と般若心経の文字と並行しているので分かりやすいです。

1~3日目は、梵字心経をスムーズにはじめるための取っ掛かりとして、漢字写経をまず行いました。(既に写経に触れたことのある人なら、この期間は不要だと思います)

般若心境に載っている梵字のおおよその書き順を知る(4日目)

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参考書籍を見ながら、おおよその書き順を一通り確認します。実際に写経しながら身につけてゆくので、ここでは完璧に覚えなくてもよいです。「だいたいこんな感じかな」くらいで良しとします。

基本的には、梵字も漢字と同じく、左上から書き始めて左下、右上、右下の順で書いていくことが多い印象でした。

書き順を確認する中で特に注意したのは、パッと見ると同じように見える字だけど、実は違う字の書き方。

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左がマ(ma、摩)で右がサ(sa、娑)

2文字ともよく登場する字です。慣れてくると全く違う字だと一目で分かるのですが、最初に見たときは似ていると思い、よく間違えていました。

手本を下に置いて、書き写しできるようになる(5~10日目)

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いよいよ実際に梵字写経を行います。ここで使うのは罫線ありの写経用紙です。下に置いて写しながら書くと、この用紙だと2枚になります。

手本を横に置いて、書き写しできるようになる(11日目)

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手本を下に置いて写しながら書くことに慣れてきたら、横に置いて写し書きするようにします。最初は、改行含めて手本のとおりに行います。ここでも用紙は2枚になります。文字数が多い。

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横において写せるようになってきたら、1枚に収まるように書いてゆくようにします。

梵字心経の改行ルールを押さえておく(12日目)

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梵字写経を1枚に収まるようにするとき、文字を小さく書くことになるので、手本通りに書くと下の部分がスカスカになってしまいます。見栄えが良くないので改行しないで書いてゆきたいところですが、ずっと改行しないでで書いていくのは大丈夫なのか・・・という疑問が出てきたので、ここで、練習は一旦取りやめて、梵字写経の改行ルール(マナー?)を確認しました。

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とはいっても、改行ルールというものは書籍には明確な記載はなく。漢字写経と照らし合わせて判断しました。

最初の一行と最後の二行、漢訳で「掲諦掲諦~」となる部分の計4箇所は少なくても改行した方がよいことが分かりました。

こちらを調べていく中で、梵字の般若心経の最初の一行と最後の一行は漢字の般若心経とでは意味が違うということを知りました(厳密にいうと、最後の一行は漢字にはない)。

ここで、やっぱり般若心経の意味も学んでおいた方がいいかな・・・と思いましたが、今目指すべきところはそこじゃないので割愛。大事な事だと思いますが、目標がブレると習得できるものも習得できなくなるのでスルーします。

(必要が出たら、また別で目標立ててスキル習得目指すべきというスタンスでやってゆきます。)

手本を横に置いて、書き写しできるようになる(12日目~)

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12日目から手本を横に置いて書き写してゆきます。

1回目(12日目)の写経にかかった時間は50分。書いている途中でどこまで書いたか分からなくなり、次の箇所を探すのにかかった時間も含まれています。ここは要改善ポイント。おそらく、慣れれば分かってくると思うので、改善策は今のところ取る予定はなし。

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2回目(13日目)でかかった時間は40分弱。1回目は1枚の紙に収まるように小さく書きすぎてしまったので、2回目はより大きめに書くことを意識しました。文字の大きさはこのくらいが良い気がします。

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3回目(14日目)は30分ちょっと、4回目(15日目)は29分30秒。

一応、この時点で目標とするスキルパフォーマンスはここで達成されました(1枚の紙に収まるように書ける、1回の写経につき30分以内に書き終える)。

ただ、写しているときに焦ったりしているので、もう少し心に余裕をもって書けるようにしたい。文字面だけでいうと、ここで終わってもよいのですが、自分のイメージしている「梵字写経ができる自分の姿」と「今の自分の姿」がちょっと離れているので、スキル習得のための練習は続けます

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16日目以降は、「文字のバランス(行が乱れないように気をつける)、書き順を気をつける」時と「早く書き進める(スピード重視)」時とを交互に行うことにしました。

そのおかげか、単に書き慣れたおかげかは分かりませんが、気持ちに余裕を持ちながらスラスラと書くことができるようになりました。

総評

思っていたより早く目標(1回の写経を30分以内で書き終える、1枚の紙に収まるように書く)を達成できました。スキル習得までにかかった時間は約12時間。

梵字写経は「書く」だけに注力するなら、見た印象よりもはるかに取り組み易かったです。和紙と筆ペンを手本があれば、書き順の基本(左上から右下へ向かう)さえ押さえておけば、すべての文字を知らなくてもスラスラ書くことができます。

実際に取り組んでみると、梵字写経をしているときは、文字に集中できるし、書いた直後はその集中が続く感覚と頭がクリアになっているので、仕事の前に行うとかなり良い感じで作業に取り組めました。

写経をするとマインドフルネスになるといわれているので、それが良い感じで作用したのかなと。私はいつも頭の中がゴチャゴチャしがちなので、これは嬉しい誤算でした。予想外のメリットも得られたので、これからも続けていくつもり。ある程度写経した紙がたまったらおたきあげもしに行こうと思います。

今回のスキル習得で得たものまとめ

・般若心経に載っている梵字の書き方がだいたい分かる
・手本を見ながら30分程度で梵字写経が書ける
・ある程度の梵字の般若写経のルール(改行や最初と最後の文字の意味)が分かる
・写経したあと、思考がまとまり仕事がはかどることを知れた

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