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【シリーズ】エンジニア採用の基本の基本 サーバーサイドエンジニア編

前回の記事でエンジニア採用市場の全体像を見てきました。

特に実装を担当するエンジニアはSIerなどのIT提供側で15万人、自社プロダクト開発では1万人くらいしかいない、ということをデータで確認してきました。
そのような厳しい市場感の中、サーバーサイドエンジニア採用をスムーズに進めるにはどういった点を抑えておくべきか、というところを今回は書いていきたいと思います。

エンジニア採用の基礎となる、採用ブランディングを整理する

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そもそもの採用の考え方として、広告を出して待っていたら良かった時代から、企業側からしっかりアプローチして選んでもらう会社にならなければならないという市場の競争環境変化があり(つまり採用市場へのマーケティングが必要になっているということになりますが)、このような市場では、誰に対して何をメッセージし、どういう心理的位置付けを保つのか、という採用ブランディングがエンジニア採用においても基本の基本にある考え方かと思います。 

誰に?、何を?メッセージして、どうブランドを形作るのか、この枠組みに沿って本シリーズで説明していければと思うのですが、今回は特に「誰に?」というところを深掘って記述していきたいと思います。

※弊社の方で採用ブランディングを詳述したスライドは以下です。

エンジニア採用におけるセグメンテーション、ターゲティングを考えてみる 

ターゲットのことをちゃんと考える

よくあるWebエンジニアの採用要件定義として、
「クラウド環境でのRubyでのサーバーサイド開発○年以上経験、Git等のバージョン管理ツールを使ったことがあって、事業会社で自社プロダクト開発経験があって、年収○○○万円〜○○○万円くらいのサーバーサイドエンジニア」
というような形で定義することが多いのかなと感じるのですが、ターゲットのことを考えるというのはそれで終わりではなく、その人たちのペルソナを一定程度細かく作って進めることをオススメいたします。

これによって、ターゲットに対する社内の理解の解像度が上がり面談での評価に発生するズレを軽減出来たり、また採用活動での訴求ポイントを設計していく上での施策の解像度も変わります。
ターゲットとする方がどういう志向性で、今どういう会社にいて、今の会社で何に悩んでいるのか、直近及び中長期でどういうゴールを定めているのか、こういった点を設定して、経営側、現場側、採用側で共通認識を持っておく、そしてそれらの仮説に対応する形で訴求ポイントを考えていく、そういうプロセスを辿る必要があります。

以下、エンジニアの採用市場におけるターゲットについて整理をしていきます。

エンジニアのざっくりスキルと経歴を象限に分けてプロットしてみる

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データサイエンスやハードウェアなど特殊なところ、またマネジメントやITコンサルといった方は省いていますが、横軸にアーキテクチャを、縦軸に環境がモダンであるかどうかという形で分けて、エンジニアの方々をグルーピングしてプロットしてみました(この分け方は正解ではなくある意味なんでも良いというか、その採用マーケターが市場をどう見るかによって切り方は変わりますが、一旦こういう形で切ってみました)

横軸のアーキテクチャは、フロントエンド~バックエンド(サーバーサイド、DBなどのミドル、インフラ)といった形に分けており、縦軸とのクロスの象限で、SIerやメガベンチャー、Webスタートアップ、またHP制作会社といった主要なプレイヤーでどういうアーキテクチャの範囲で、どういう技術を経験しているかという形でプロットしています。 

一旦これを全体像とし、以降サーバーサイドエンジニアについてもう少し深掘ってみます。

サーバーサイドエンジニアを深掘りする

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ここでは一旦、年齢別でサーバーサイドエンジニアの方の経歴イメージをプロットしてみました。 先の図では出てきませんでしたが、プログラミングスクール市場の発展に伴い、多くのスクール卒業生が生まれていて、IT業界未経験、エンジニア未経験の方がスクールに通い、エンジニアへ転身されることが増えてきたため、番外編としてプロットしています。

もう少しターゲットを絞り込んでみる

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 今回は、WebスタートアップでWebサービスを開発するための経験者層のサーバーサイドエンジニア、というスキル面での要件だと仮定して、SIerでWeb開発をされてきた方、メガベンチャーやWebスタートアップで自社サービスを開発してきた方々がターゲットだと想定することにします。 

サーバーサイドエンジニアのキャリア上のペイン(痛み)を考える

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ちょっと文章が多いのですが、、、先に定めた3つのターゲット層、「SIerでWeb開発」、「メガベンチャーで自社開発」、「Webスタートアップで自社開発」これらの方々の詳細は経歴イメージを表に書き出すとともに、各々の層でどういったキャリア上の悩みが発生しうるのかを仮説立てています。

全ターゲット共通で容易に思いつく悩みである、「スキル・経験に比して給与が低い」「人間関係」みたいなところは省いていますが、以下ターゲット別で比較的特有のこととして想定されうるものを記載しました。

ちなみに、念のために書いておくと、(1)これは正解を言うゲームではなく、また正解を1人の人間が言える性質のものでもない、(2)だからこそ仮説として検証されうる対象である、という性質のものかと思っています。僕自身はエンジニアではないですが、仮にエンジニアの方が考えた場合でもその方のバイアスがかかったサンプル「1」の意見でしかなく、他の方の意見だと割れる可能性も十分あるわけで。そもそも市場の意識構造を適切に捉えることは非常に困難(だからこそマーケターは、マーケティングリサーチというものをして、一定のサンプル数のデータを元にデータ解析をし、生活者の意識構造をできる限りモデル化して明らかにしようとするのだけれど)である、という理解の元で読んでいただければ嬉しいなと思うとともに、アイデアある方と建設的なディスカッションをして僕自身も深めていきたい点でもあります。

前置き長くなりましたが、以下ターゲット別の説明です。

「SIerでWeb開発してきた層」

SIerで新卒からWeb開発をされてきている方々のイメージです。
SIerではJavaを経験されている方が多いかと思われますが、チームメンバーの役割分担が進んでいるので、基本的にサーバーサイドだけ経験されているような方と想定します。

この層の悩みは、
・開発体制がウォーターフォールで自由がない、裁量がない
・意思決定や事業のスピード感に欠けるように感じる
・枯れた技術での安定した開発プロジェクトが多くを占めるためスキルの幅が広がらない、成長を感じられない
・技術を深めたいのに、PM/PMOのキャリアを社内では推奨されている
・社内の文化として、技術的な支援が少ない
・同僚で学べる人が少ないと感じる
・情報の透明性がなく、やりづらかったり、決められたことへの意思決定への納得性が低い
・受託開発であるため長期にユーザーに寄り添った開発ができない
・BtoBなので顧客の反応が見えない(toCがやりたい)
こういった点が挙げられるかもしれません。

「メガベンチャーで自社プロダクト開発してきた

経歴のイメージとしてば、新卒からメガベンチャーに入社されて、サーバーサイド開発から始まり(一昔前は、JavaやPeal、PHPから始まり、今はRubyやPHPで開発していて)、社内で幅を広げてフロントエンドも一部触られているような方、または新卒ではSIerに入社された後にメガベンチャーに転職してきたような方を想定しています。

この層の悩みは、
・(既に大きくスケールしたサービスがありそれを運用開発することが多いので)枯れた技術で安定したサービス運用が望まれるため技術的なチャレンジが少ない、裁量がない
・(前と同様にスケールしたサービスがあるので)0→1の機会が少ない、アーキテクチャ選定や企画から携われない
・本当に社会の課題を解決するサービスを作りたい(今の会社は解決していると思えない)
・会社として技術的な支援が少ない、同僚で学べる人が少ない(これはメガベンチャーの中でもテック寄りではない会社ですね)
・技術的負債が多く、返済するための工数理解が社内にない(これもメガベンチャーの中でもテック寄りではない会社)
・透明性が低く、意思決定に納得性が低い
・働き方に自由度が少ない(家族が増えてリモートしたい、副業したい)
・BtoBなので顧客の反応が見えない(toCがやりたい)
枯れた技術で安定したサービス運用が望まれるため技術的なチャレンジが少ない、裁量がない<br> ・0→1の機会が少ない、アーキテクチャ選定や企画から携われない<br> ・本当に社会の課題を解決するサービスを作りたい(今の会社は解決していると思えない)<br> ・技術的な支援が少ない、同僚で学べる人が少ない<br> ・技術的負債が多く、返済するための工数理解が社内にない<br> ・働き方に自由度が少ない(家族が増えてリモートしたい、副業したい)
こういった点が挙げられるかもしれません。

「Webスタートアップで自社プロダクト開発してきた

最後にWebスタートアップに現在在籍している方々です。
技術的にはモダンな環境でRuby(Rails),PHP(Laravel),Python(Django),GO,Scalaのような言語やフレームワークを用いて開発を行っており、AWSやGCP上で開発しているイメージです。
この層の経歴イメージとしては、
・Webスタートアップ(1人でまるっと開発、フロントエンド、サーバーサイド、クラウドインフラ)その後転職しWebスタートアップ(少し人数多め)
・新卒SIer、その後Webスタートアップ
・新卒メガベンチャー、その後Webスタートアップ
・Web系を経て、フリーランスになり再度Webスタートアップに転職(スキル幅広い)
・上記の組み合わせ(SIer→メガベンチャー→Webスタートアップ等)
といったイメージかなと思います。
この層の特徴は、ある種スタートアップ特有というか、エンジニア層が薄いので、フロントエンド、バックエンド含めて1人開発してた人が一定数いたりするので、(深さは置いておいて)幅の広さという面では幅広い技術スタックの方が存在することかなと思います。

この層の悩みは、
・技術的な支援が少ない、同僚で学べる人が少ない
・技術的負債が多く、返済するための工数理解が社内にない
・サービスのスケールタイミングになって久しく、新規事業が立ち上がらない、運用のみでやりがいに乏しい
・技術的難易度が低く、やりがいがない、成長を感じられない
・本当に社会の課題を解決するサービスを作りたい(今の会社は解決していると思えない)
・透明性が低く、意思決定に納得性が低い
・働き方に自由度が少ない(家族が増えてリモートしたい、副業したい)
・BtoBなので顧客の反応が見えない(toCがやりたい)
こういった点が挙げられるかもしれません。

ターゲットのペインに対して、何をメッセージングするのか?という採用ブランディングを考える

ここまで簡単ではありますが、ターゲットの整理をしてきたわけですが、次の段階としてはターゲットエンジニアの方が求める要素の中で、他社と違って、自社の何かどう良いのかを洗い出し、ターゲットの心にどう位置してもらうのかを設計した上で、それを具体的に求人やスカウト文章に落とし込んでいく、という流れになっていきます。

まさにここからが採用ブランディングの領域になってきますが、今回は「誰に?」を中心に記載しましたので、また次回以降のシリーズのどこかで以降のフェーズも書いてみたいと思います。

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