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DOGMAN

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里山の生活がイヤになって、人間界に降りてきたオオカミ男の話です。
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2022年1月の記事一覧

『DOGMAN』 第10話 捨て猫

『DOGMAN』 第10話 捨て猫

穴蔵で一眠りした後、午後からはプラネタリウムのバイトなので、早速首輪につけてある紐を食いちぎり、犬小屋に隠しておいたサングラスとスーツの入ったカバンを加え、柵を飛び越えた。

さぁ、プラネタリウムに向かおう。
「ミー。ミー。」
む?
プラネタリウムに行く途中の公園のベンチの前に、ダンボールが置かれている。そこから何やらかすかなかすれた鳴き声が聞こえる。

リャンは気になり、プラネタリウムに直行しな

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『DOGMAN』 第9話 SDGs

『DOGMAN』 第9話 SDGs

暑いなぁ。
今日は暑い。
人間界は我々オオカミ一族が住む山よりも、暑い。

まぁちゃんが来た。
「リャン、お風呂はいるよ。」
風呂か。この暑い中で汗をかいた鼻をさっぱりさせるためにも、いいかもな。
まぁちゃんに連れられて、家に入った。

涼しい。なんだここは。犬小屋と全く快適指数が違う。

「お風呂はいるよー。ここがお風呂よ。」
シャワーを体に当てられた。
ぬるいな。これはぬるい。でもこの暑さから

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『DOGMAN』 第8話 夢

『DOGMAN』 第8話 夢

妙な夢を見た。
そこは、岩肌をあらわにした岩砂漠。
巨大な岩山に囲まれた小さな集落で、お祭り騒ぎが行われていた。
小さな集落は、白い布のテントが寄り添い、そのテントは黄色い砂吹雪きから中に住む人を必死に守っていた。

普段は静閑な集落だが、その日はわいわいと賑やかな一日で、活気に満ちていた。
バグパイプの音楽が、大衆をより活気づけ、人々の喧騒にかき消されていった。
大衆の喧噪の中には、笑い声が紛れ

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『DOGMAN』 第7話 ドロボウ

『DOGMAN』 第7話 ドロボウ

「早速キミ、午後の部が始まるだろ?接客やってみてくれよ。今日は外で呼びかけする日なんだ。」

早速ピンチだ。
外に出たらオオカミに戻ってしまう。
どうしよう。

俺は、市民センターの出口まで来て、立ち止まってしまった。

「どうした?」
「いや、俺、太陽光に当たれないんです。」
「日の光に弱いのか?じゃあ俺のサングラス貸してやるよ。ほれ。これでサングラスをかけたオオカミ男の出来上がりだ。いいマスコ

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『DOGMAN』 第6話 面接

『DOGMAN』 第6話 面接

みんな帰ったみたいだ・・・。
よし、ここを抜け出そう。

「きゃー!犬の仮面かぶった変態!」

やべぇ!掃除のおばさんに見つかった!逃げろ!

「誰かぁ!その人追いかけてぇ!」

受付のおっちゃんが追いかけてくる!やばい!これは真剣にやばい!

市民センターを出た!右か!左か!?どっちに逃げる!?

・・・あれ?おっちゃん、追いかけてこない。

「あれー?どこ行ったんだべ?消えた。」

む!体がオ

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『DOGMAN』 第5話 プラネタリウム

『DOGMAN』 第5話 プラネタリウム

「オギャー!」
「あ、カイ君が泣いてる!カイ君元気そうだね!」
「カイもどんどん大きくなるのよねぇ。いつでもウチに来て、カイの相手してあげてね。新しい、リャン君も仲間になったことだし、私も近い内にまぁちゃん家にお邪魔するね。」
「アキさん、いつでも遊びに来てね!バイバーイ!」

アキとラッキーとカイか。
まぁちゃんと親しそうだったから、一応覚えておくか。

あー疲れた。散歩行ってきた。
いろんな人

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