脳になにかがあったとき2024年3月号



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相馬杜宇(あいばもりたか) ブックレビュー「脳になにかがあったとき 2024年3月号」

3月号は、高次脳機障害を抱える入村のり枝さん、MIHOKOさんのお二人の当事者と、それぞれの家族が登場します。

記憶障害が残った入村のり枝さん
・私は高次脳の当事者グループに参加していますが、記憶障害がある人が多い印象でした。私も覚えづらい名前が時々あるので、記録に残したりブックマークに保存したりしています。ここにいけば探せるという「記憶のポケット」を1つ確保しておくと良いなと思います。
・感情のコントロールが難しいと言っても関係性によって違いがあるかもしれないと思いました。つまり、家族は伝えられるけど、会社の上司は伝えられず、グッと我慢して、耐えきれなくなりついに爆発…という場面もあるかもしれない。のり枝さんのように、予め相手に症状を伝えることはとても良い工夫だと思います。改正障害者差別解消法が2024年4月1日に施行し、事業者による障害者への合理的配慮の提供が義務化されます。職場の人に、こういった配慮を事前に伝えることは生き抜くための処世術だと感じました。

「何もしなくていい」と言われたMIHOKOさん
・「何もしなくていい」という言葉、私も障害者雇用で3年ほど待機があり、言うなれば「必要とされてない」ことだと思います。高次脳でも自立して生きなければなりません。「何もしなくていい」と言われるとその人間性を潰すことになります。
・火の消し忘れがないか確認してくれと伝えただけなのに、こじれてしまったというご主人が語ったエピソード。アドバイスよりコミュニケーションの問題なのではと感じました。例えば火事にならないように、MIHOKOさん専用スペースを設置するとか安全性の配慮ために、工夫のしようがあると思います。
・「私はこの方より○○(軽度・重度)だ」と思いがちです。しかし当事者グループ代表の岡﨑憲司さんは「軽度だという言葉は使わない。その人の苦しみは誰にも分からないもので、本人が苦しいと感じていればそれは重度となります」と言っています。比べるものではありませんし、高次脳だと受け入れ、周囲のサポートを受けながら前向きに工夫して生きていく事が、最善の道ではないかと思います。
・私はMIHOKOさんのインタビューを読んでいて、言葉の端々に知性とセンスを感じ、染み入るように内容が入ってきました。本も読みました。事故後にTOEIC800点を取ったとはスゴいです。高次YES!

書評後記
 先日、地元岩手県久慈市の市民文芸賞を受賞し、授賞式の帰りに寺山修司記念館に行ってきました。
寺山さんの言葉に「思い出される奴になるよりは忘れられない奴になるべきだと思うのです」がありました。深いです…。没後40年で寺山さんが愛される理由だろうなと思いました。

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