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【小説】烏有へお還り 第16話

   第16話

 9月14日 晴れのち曇り

 目が覚めた時はちょっとだけ調子が良いような気がしたけれど、やっぱりだるくなった。

 なんだか最近は、あまり薬が効いていない気がする。けれどもそれを言ったら、またクリニックに行かなきゃいけなくなる。それが面倒で、親には黙っている。

 午後になって空が曇ってくると、やっぱり頭が痛くなってきた。けれども、吐き気まではしなかったからよかった。

 少し治まったので、音楽を聴く。エリック・クラプトンとか、エルトン・ジョンとか、スティングとかをよく聴いてるって話したら、イギリスの歌手ばかりだねって笑われた。言われるまで知らなかった。

 別にイギリスの歌手を選んでるわけじゃないんだけど、洋楽ばかり聴いてるのは、歌詞の意味がわからないから。なにを歌っていてもいい。知りたいと思わない。聴いていて気持ちが良ければ、それで充分。

 でも本当にだるくて仕方ない時は、音楽でさえも聴くことができない。そんな時は死んだようにベッドに横になっている。上手く眠れない時は地獄だ。いやなことばかり考える。

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