魔法のコートを買いました
おしゃれしたいと言ったら原宿に連れて行ってもらい、いろんな店で試着をさせてもらった。
いろいろ合わせてみて、こんな感じもありかもとは思うものの、なんだか「着られている」感があった。
多分ずっと着ていればそのうち行けるんだろうけど、合わせに行かないといけないなあ、みたいな感覚。
でも、その中で一つ、すごく好きなコートを見つけた。
基本的に、ハンガーに掛かっていたりマネキンが着ている服は自分が着ると「これじゃない」感が出るんだけど、それだけは自分で似合ってるなと思った。
理想の自分がぴったりはまってそこにいた。
そのときは他も見てから考えようと思って買わなくて、いろいろ見すぎて疲れたので結局そのまま帰宅した。
でも、あのときの感覚がずっと心の中に残っていて忘れられなかった。
ちょうどその日は友人と遊んでいた。突然肌寒くなった日で、上着を着てこなかったことを後悔していた。
友人は夜から用事があって別れたのが6時頃だったので、帰るには物足りないなあと思っていたら、電車の「明治神宮前〈原宿〉」の文字が目に入った。
私は、何かに導かれるように駅を降り、コートを買うためだけに一直線に店に赴いた。
店内は以前より少し冬めいていたけど、コートは変わらずそこにあった。
「試着されますか?」という声に当然のように頷いて、以前と同じように鏡の前で羽織ってみると、やっぱりそれは私にぴったり合っていた。
「買ったらこのまま着て行ってもいいですか?」と尋ねると、「是非!」と言ってレジまで案内してもらった。
帰り道、少し背筋が伸びた。
それから事あるごとに着ているけど、本当にいい。
足首までのロングコートだから、階段を上がるときは裾を持ち上げないといけないし、部屋のハンガーには掛けられない。でも、そんなのも気にならない。
着ているだけで楽しいし、日常に活力が湧いてくる。
今年、新しいコートを買いました。
着ている自分のことが好きになるコートです。
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