宗教脱退後の両親1

両親が弟の携帯電話のお金をどちらが払うのかでグループLINEで揉めている。
たった16,000の事で元夫婦はこんなにも歪みあえるものなのか。

父と母は離婚している。
私が21歳の時だ。

エホバの証人の世界にどっぷりと浸かり
本人たちはたっぷりの愛の中で子供を育ててきた。
第1子である私が排斥になり(禁錮を犯して脱退させられるというエホバの証人の中でも最も重い罪)
それまでの夢みたいな生活は終わってしまった。

エホバの証人の中ではエリートだった父。
家族さえも組織に留めておけないというレッテルを貼られ全ての特別待遇からおろされた。

王国会館を各地に作り(QBとか言う名前だったかな)もちろん会衆では1番トップである長老。
何万人も集まる大会と呼ばれる大規模なイベントではステージにたち講演をしていた。

なぜあの家族が?と思われたことだろう。
エリート1家が一転、家族から背教者を出した罪深い一家になったのだ。

父はその剥奪に耐えられなかったようだ。
元々目立ちたがりで、自意識過剰な部分はあったのだろう。
長老として、皆にしたわれ愛されていた自分を忘れられなかったのか何を思ったかネズミ講に手を出した。
あ、今はネットワークビジネスとか言うのか。
その中でも天性の人たらしを発揮し、たくさんの人を引き入れた。
但しあくまでもネットワーク。
上の人だけが得をする世界。

周りの人に見境なく商品を売ろうとするからまともな人はどんどん離れていく。
1度だけ口座に120万円程のお金が入った時
母は歓喜してたっけ。
その他の月は3-5万円だったのに。

自営業(と言っても会社ではなく個人事業主)をしていた我が家は貧しかった。
エホバの証人では、貧富は正しい事とされていたからそれでよかったが、世間に出たらそうはいかない。

父はネットワークにハマってから借金を重ね、高級車に乗っていた。
「この仕事は夢を与えないと」
それが父の口癖だった。

昔未だ家族で暮らしていた時
父の車の助手席で中古車情報の本を見て
ジャガーがかっこいいと言った私に免許をとったら買ってあげると言っていたっけ。
あの頃はエホバの証人だったけど、きっと父は本来欲にまみれた、私に似た人種だったのだろう。

お金を稼ぎたい、みんなから敬われたい。
その心を満たす為にネットワークビジネスにハマり、本来の仕事をしなくなった。

家系は母が支えた。
ネットワークビジネスに母も夢を抱いていた。
「パパはこの仕事で絶対成功するから」
母は妄信的に父親を信じていた。

税金を滞納し、家賃を滞納し、周りの人達にお金を借り、サラ金・クレジットカードお金がつまめる所からは全て借り尽くして父は九州に1人で逃げた。

母に残されたのは築60年にもなるだろう賃貸と莫大な借金。
それでも母は頑なに別れなかった。
その理由は未だに分からない。

愛なのか、意地なのか、情なのか
それともそれ以外の何かなのか。

続きはまた書くことにする。

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