弟の事

前回の記事で、私の決意について書こうと思うと書いたがそれはまたにして……

自分の中の気持ちの整理をつけるためにこの記事を書こうと思う。

私には弟がいる。
初めての記事で書いたが、薬物中毒で苦しんでいる。聞いた話だが、宗教家庭で育った二世にはなにかに依存する人が多いらしい。
これもずっと何かに縛られ、生きてきたという洗脳のもたらす産物なのか。

私の場合はハッキリ言ってお金だ。
恥ずかしい思いや、惨めな思いをしたからか【いい車に乗りたい】【大きな家に住みたい】
【羨ましがられたい】

数え切れないほどの物欲にまみれている。
だからこそお金への執着が酷い。
買い物はカードを使って無理してでもする。
部を弁えないお金の使い方もする。
欲しいと思ったら止められないのだ。

弟の場合はそれが薬物だ。
私は薬物に手を出したことがないからわからないが、辛い過去から逃げたくて、忘れたくて薬物に手を出したと思う。
ドリップする感覚、ハイになる。
簡単に忘れられてその時は楽しい。
そんな感覚に弟は溺れていっていた。

弟が19歳の時。
前々から薬物に手を出していることは知っていたものの、若いからだろうと知らない顔をしていた。
私は19歳で子供を産んで21歳の時2人目が生まれ、子育てと仕事に明け暮れ、決して裕福ではなかった為、弟なんぞを気にする余裕もなかった。
仕事を始めてはすぐに辞めて、資産家の親を持つ彼女と暮らし、紐のような生活をしている弟を
私は軽蔑していた。

久しぶりに会うことになって、全身にタトゥーを入れ、マリファナをタバコのように吸いながら駅の階段をおりてくる弟を見た時、最初は嫌悪感しかなかった。
私の中で薬物をする人間というのは、その時の快楽のために犯罪を犯している人という認識だったからだ。
そんな人間にたった1人の弟がなってしまっている事に酷く嫌悪感を覚え、絶望と怒りが込み上げてきた。
その時ちょうど私は引越しをしたところで2人目も生まれ、その新しい家に弟が遊びに来たのだがすぐにその場で追い返した。
こんな男を子供に会わせられないと思ったからだ。

私はわかっていなかった。
なぜあの優しい、気の弱い弟が薬物に手を出したのか。
その根底にはなにがあったのか。

弟は薬物にみるみるハマっていった。
タトゥーだらけの人間と付き合い、仕事もしたりしなかったりフラフラと生きていた。
電話をかけて来る時はお金を貸してほしいと言う。
そのお金で精神科に行き、合法麻薬と呼ばれる薬を貰うのだと言っていた。
それがないと何も出来ない、仕事を始めても、まともに行けないと言っていた。
その辺からどうも様子がおかしいと思い始めた。
これは依存ではないかと。
ただ遊びや、軽い気持ちでする薬物の使い方ではない。

私はお金を貸すと言って一緒に精神科について行った。
「ここの病院、◎◎な症状があるって言ったらその薬を出してくれるんだ」と弟は言った。
その薬を飲めば朝も起きられる、仕事も上手くいくと自信満々に言う弟を見ておかしいと確信した。
すぐに父親に電話をして、その事を伝えた。
父親は激怒した。
親としては当然の反応だろう。
でも今ならそれはおかしいとわかる。
なぜ薬物にハマってしまったのか、なぜそんなもので現実逃避をしなければいけなかったのか。

小学校時代で宗教のことをからかわれ、泣きながら帰るような子だった。
毎日を私のクラスまで着ては一緒に帰ろうと待っていた。
お祭りに行けない私たちは2人でベランダにでて、遠くに聞こえるお祭りの笛の音や、楽しそうにお祭りから帰る家族の笑い声を聞きながら泣いた。
友達と遊べないから、ゲームを持っていないから。
誰も仲間に入れてくれないと泣いていた。

そんな弟がなにかに依存してしまうのは当然じゃないか。
親ならその事に気がつくべきだった。
そして私も。
私が宗教を辞めなければ、私さえ我慢してあの組織に居続けることが出来たなら。
弟はこんなに苦しむことはなかったのではないか。
私は自分を責めている。ずっと。



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