【連載小説】「青く、きらめく」Vol.9 第二章 海の章
「何か、用?」
この人だ。ひと目見て、すぐ分かった。きびすを返そうと思っていたマリは、じっとカケルの顔を見たまま、黙って劇団のビラを差し出した。
「これをもらって。見に来ました」
「ああ」
カケルは、一瞬ビラに目を落とすと、再びマリの顔を見た。怪げんそうな顔が、少しだけやわらいだ。
「入りなよ。もうすぐ新歓公演だけど。練習見ていく?」
マリは、こっくりうなずいた。
入学前から、自分はカケルと出会っていたのだ。すっとした顔立ち。全体の立ち姿。そのたたずまい。それは、マ