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【長編小説】「青く、きらめく」

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大学の演劇サークルで出会った、カケル、マリ、美晴。三人の視点で描いた、恋愛青春小説。
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2019年8月の記事一覧

【連載小説】「青く、きらめく」Vol.15第三章 雲の章

 カケルと美晴は、しばらく黙ったまま、並んでその風景を眺めた。  ただ茫洋と広がる海。と…

清水愛
4年前
5

【連載小説】「青く、きらめく」Vol.16 第三章 雲の章

 部屋のどこかで電話が鳴っている。それが自分の携帯だ、と気づくまでに、少し時間を要した。…

清水愛
4年前
6

【連載小説】「青く、きらめく」Vol.17 第三章 雲の章

 足を少しずらして背筋をぴん、と張って立つマリは、美しかった。生まれながらにして、こんな…

清水愛
4年前
6

【連載小説】「青く、きらめく」Vol.18 第三章 雲の章

 日没直後の海は、少し荒れていた。空は、薄い青から紫へと変わり始めていて、風は夜の気配を…

清水愛
4年前
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【連載小説】「青く、きらめく」Vol.19 第四章 風の章、再び

  四、風の章、再び  どうして、こんなことになってしまったのだろう。  ひとりになって…

清水愛
4年前
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【連載小説】「青く、きらめく」Vol.20 第四章 風の章、再び

「うわの空ね」  隣に座っていたマリが、少しふくれてぽそっとつぶやく。つばの広い帽子をか…

清水愛
4年前
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【連載小説】「青く、きらめく」Vol.21 第四章 風の章、再び

 部屋中に、トマトソースの甘酸っぱい香りが漂っていて、ふつふつと鍋で煮える音がする。ほとんど無言で、美晴は台所に立っていた。カケルは、横になりながら、まだ熱のある目でぼんやり美晴の後ろ姿を見つめている。美晴がそこにいることは、とても不思議な状況のはずなのに、ちっとも不自然ではなく、それがカケルを妙に安心させた。静かに目を閉じる。ゆでたジャガイモのいい匂いが、湯気と共に部屋の空気を温かなものにしている。  アルミのグラタン皿にあつあつの料理が二つ並んで出てきた。出来上がった料理

【連載小説】「青く、きらめく」Vol.22 第四章 風の章、再び

「あ。カケル部長、復活」  練習室のドアをバタン、と開けると、ファッション誌をめくってい…

清水愛
4年前
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【連載小説】「青く、きらめく」Vol.23 第四章 風の章、再び

 カツカレーをほおばるカケルを、マリがじっと見つめている。 「ごめんね。何も知らなくて」 …

清水愛
4年前
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【連載小説】「青く、きらめく」Vol.24 第四章 風の章、再び

 二週間のアメリカ行きを、マリから切り出されたのは、部活帰りに寄ったコーヒーショップだっ…

清水愛
4年前
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