【連載小説】「青く、きらめく」Vol.10 第二章 海の章
キャンパスからの帰り道は、うっすらと雨で濡れている。土ぼこりが濡れた、雨の日の匂い。マリは、時折ふきつける風に、舞い上がる髪を抑えながら、とぼとぼと帰路をたどる。
何だか、今回の脚本は胸騒ぎがした。雨を降らせた雲が、北のぼりに形を変えて空を急いでいく。
前回の舞台ではヒロイン的な役は自分に回って来た。希望と、推薦と、台本を書いた人の意向と。役を決めるのには決まりがないが、それゆえに、カケルがどういうつもりで書いたのかが、気になった。自分とのことと、この台本が出来上がっ