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星の王子さま 10章

 王子は、見聞を広げたり、仕事を探したりするために
バラと別れ、旅に出ました。
 最初の星は王さまの星でした。
そのようになることを、そのようにするかのように見せかける人で、
外見だけで生きている人でした。
 何て淋しい。王さまは「行くな」と言いました。
            ★ ★ ★
 王子は小惑星地帯で、325,326,327,328,329と330を見つけた。王子はそうやって仕事とそれを教えてくれる人を探し始めたのでした。
初めての星は王様が住んでいました。その王様は毛皮の礼服をまとい、シンプルだけれど威厳のある王座にいました。

-あ!臣民が参ったぞ。王子を見かけると、王様はそう叫びました。
そして、王子にこう言いました。
-どうして、今まで一度も会ったこともないのに、わたしがわかるのかな。
王子は、王様にとっては世界はとても単純にしか見えないことが、分からなかったのでした。全ての人間は臣民なのです。誰にでも尊大な王様が言いました。
-よく見えるように、近くに来なさい。誰でもが尊敬するような王様になった王様がそう言いました。
王子は座れるところを目で追ったけれども、この星は、王様のすごいマントでどこもふさがっていました。そう言うわけで王子は立ったままでした。そこで、王子はとても疲れていたのであくびをしてしまいました。
-王様は彼に言いました。王の前であくびをするのは、エチケットに反している。余はあくびを禁止する。
-がまんできませんでした。と王子は困って答えました。長旅だったので寝てなくて...
それではと王様は言いました。余はおまえにあくびをすることを命じる。もう何年も、余はアクビをする人を見ていないからな。余には、アクビはとても奇妙なものに見える。それでは、もう一度、アクビを命じる。これは、命令であるぞ。
-それは、無理です。もう、これ以上はできません。王子は顔を赤らめていました。
-そうか!そうか!と王様は答えて、ある時にはアクビをして、またある時にはアクビをしないように命令する。
王子は少しも得るところもなく、気分が悪くなった。

というのも、この王様は基本的に権威が尊敬を集めることに執着していたのでした。これは、専制君主なのでした。でも、この王様は人がよくて、理にかなった命令をしていました。
もしもだけれど、と王様はすらすらと言いました。もしも、将軍に海鳥になれと命じたとしたら、その将軍は従えないではないか。それは、将軍が間違っているのではないのだ。それは、私の間違いだろう。

-座らせていただけますか? 王子は遠慮ぎみに尋ねました。
-汝に座ることを命じる。王様は、毛皮のマントの裾を厳かに引いて、王子に答えました。
しかし、王子が驚いたことには、この星はとても小さかったので、いったい誰を、王様は統治するというのでしょうか?

-陛下 と王子は王様に言いました。 質問をさせてもらってもいいでしょうか?
-余は汝に質問をするように命じる。急いで言いました。
-閣下 王様は何を統治されているのでしょうか?
-全てを... そう王様は、非常に簡単に答えた。
-全てですか?
王様は、あの星とあちらの惑星などとさりげなく身振りで指し示しました。
もしも、ぼくが王様とおなじもって-それで全てですか? 王子は聞きました。
-それが全てです... そう王様は答えました。
-もちろんだともと、王様は王子に言いました。すぐに従うぞ。不服従は許さないぞ。
あまりすごい力に、王子はびっくりしました。もしも、ぼくが王様と同じくらいの力をもっていたら、1日に44回ではなくて72回、100回以上、200回だってお日さまが沈むのを見たでしょう。それも、いすを引くことをしないでもね! それから、王子はおいてきた自分の星を思い出して、ちょっと悲しくなりました。王子は、王様の恩恵を願い出ることに決めました。
-お日さまが沈むところを見たくなりました。お願いです。お日さまに沈むように命令して下さい...
-もしも、余が将軍にこう命令をしたとしたらどうだろう。
蝶が花から花へと飛ぶように、飛べ。また、悲劇を書いてみよ。それさてとも、海鳥のように姿を変えてみよ、と。
そして、もしも、その将軍が余の命令を実行できなかったとしたら、その過ちは、将軍かそれとも余にあるのか?
-それは、王様です。王子ははっきりと言いました。
-その通りである。それぞれにはそれぞれの器量に合わせた要求が
必要だと王様は言ったのでした。権力というものは合理性に立っていなければならない。もしも、あなたの人民に、海に身を投げろと命令したら、革命が起きることになる。余の命令は合理的であるが故に従うことを求めることができるのじゃ。
-それでは、ぼくの夕日はどうなるの?いちど出した質問はけっして取り下げない王子が尋ねました。
-あなたの夕日は、あと少ししたらあるから。余が望む事としよう。しかし、統治の学問にあるように、待たないといけないのだ。良いときが来るまで。
-それはいつのことでしょうか? 王子は尋ねました。
-さあ、さあ! 王様はそう言って、すぐに、分厚いカレンダーをみて調べたのでした。さあ、さあ!それはだなぁ...それは...夕方の7時40分ころになる。そこで、あなたは王に従っていることを分かるでしょう。
王子はあくびをしました。夕日の回数が足りなかったからです。
そして、王子はちょっと困りました。
-ぼくはここでやることが何もない。王子は、そう王様に言いました。出発するつもりです!
-ひとりの臣民を持つ事がとても誇らしい王様は、行ってはならぬと、答えました。行ってはならぬ。大臣を命じるからな。
-何の大臣ですって?
-そうだな...法務大臣じゃ!
-でも、裁かれる人もいないし!
-そんなことを言うものじゃない。と王様は言った。余の王国のツアーを未だやってないのだ。余はとても年を取ったけれど、馬車を置く場所もない、かと言って歩くのも疲れるのだ。
-ああ!でも、ぼくはもう見ましたから。そう王子は王様の星の端まで一目瞭然だと考えて言いました。ここには、他に人はいませんけれど...
-あなたはそう言うことなら、あなた自身を裁けばよいではないか。と王様は言いました。それはとても難しいぞ。自分を裁くことは他人を裁くよりも最も難しいことなのだ。もしも、あなたが自分自身を裁けたとしたら、あなたは本当に賢い人だと言うことです。
-ぼくは、と王子は言いました。自分を自分で裁くのは、どこでも出来ます。ぼくはここに住む必要はありませんし。

-そうか!そうか!王様は言いました。余は確かこの星のどこかで、古ネズミが居るはずじゃ。夜中に音を聞いたぞ。このネズミを裁けば良いぞ。そのネズミに時折死刑を命じればよい。そうすれば、あなたの人生は自分の正義のままになる。しかし、そのたびにネズミに恩赦を与えて賢明に運営しないと、誰もいなくなるからな。
-王子は、ぼくは、死刑なんかを命じるのは嫌です。それに、もう行かなくては。
-いや、行ってはならぬ。王様は言いました。
しかし、準備を終えた王子は、この老いた専制君主の所で苦労するつもりはありませんでした。(現在分子の使い方;原因、理由)
-もしも、あなたの君主が適切に、従うことを望むのであれば、私に合理的な命令をするでしょう。その合理的な命令とは、例えば、一分前に出発の命令をするのです。ぼくには良い条件のように思えました。

王様は少しも返答をしませんでした。王子は、出発をためらっていましたが、ため息をして、出発しました。
-余はあなたを大使にする。王様は、あわてて叫びました。
王様は堂々たる様子でした。
大人というものは、本当に、奇妙だ。そう王子は言い、旅を続けました。

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