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星の王子さま 15章

 地理学者に、バラは「それは近いうちに消えてゆく、もろいものだよ。」と言われて、王子は自分の星に置いてきた事を悔やんだのでした。
「この世の空しさを悟らない人は、その人自身がまさに空しいのだ。パンセ164 中公文庫」
164. Qui ne voit pas la vanité du monde est bien vain lui-même.

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 6番目の星は、10倍も大きかった。その星には大きな本を書いている老人がいました。

-ほら!あそこに探検家が来たぞ!王子が現れたとき、そう言って、彼は記録した。王子は、テーブルの上に腰をかけて息を付いた。長い旅をしてきたのだった!
-どこからきたの?と、老人が言った。
-この分厚い本は何なの? ここであなたは何をしているのですか?と王子が言いました。
-私は地理学者だよ。と老人が答えた。
-地理学者って何?
-海や、花や、都会や、山々それから砂漠とかを研究している学者なのだよ。
-それは、面白いな。それは、本当に役に立つ仕事だ!
それから、王子は地理学者の周りをぐるりと見渡しました。この老人も王様と同じように一つの星しか知らないんだ。
-あなたの星はきれいですね。どこに、海があるのですか?
-わしは、まだ海を知らないのだよ。地理学者は答えました。
-あぁ!(王子は失望しました。)で、山はどうでしょう?
-山もそうじゃ。地理学者が答えました。
-では、都会や花、それから砂漠はどうでしょうか?
-それも、わしは知らないよ。と地理学者が答えました。
-でも、あなたは地理学者なのですよね。
-そのとおりなのだよ。でも、わしは探検家ではないのじゃ。と地理学者が言った。私にはそもそも探検家が足りないのじゃ。都会、花、山、海そして大洋、これらを計るのは地理学者ではない。地理学はあちこち出歩くよりも大事なことなんだ。事務を止められないんだ。だが、地理学者は探検家たちには受け付ける。地理学者は探検家に質問をして、探検の思いでを記録するのです。そしてもしも、それらの内の一つの思い出に興味を持ったら、地理学者はその探検家の品行について調べるのじゃよ。
-どうしてそうするの?
-それはだね、ウソつきの探検家は、地理学者の本を破滅に導くからだ。それは、飲み過ぎる人も同じ事でね。
-どうしてそうなの? と王子は言いました。
-それはね、酒飲みはものが二重に見えるからだよ。そうするとその地理学者は二つの山を記録することになる。一つしかないのにね。
-思いつく人が居るよ。おかしな探検家になるかもしれないような人だよ。と王子は言った。
-それは、あり得ることだ。そこで、その探検家が良い人だったら、その発見について調査をするのだよ。
-見に行くの?
-いや、そんな事はしないよ。面倒だからね。でも、大きな岩を運んでくるように願うけどね。
その地学者は突然気が変わって、
-で、君は。遠くからきたのだね!君こそ探検家だ!私に君の星のこと書かせてくれたまえ!

そして、地質学者は、記録簿を開きながら、鉛筆を削りました。探検家たちの話は最初は鉛筆で記録するのです。探検家が証拠を出したらインクで記録する。
-それで? 地学者は質問をしました。
-ぼくの所は、小さくて、あまり面白くないですよ。3つの火山があって、2つは、活火山で、1つは死火山です。でも、決して分からないですよね。(死火山かどうかは、誰も分からないと言っている。)
-誰も分からないね。と地理学者が言いました。
-ぼくは、一つの花も持っています。
-花については地理学では記録しないのです。と学者が言いました。
-どうしてなのでしょう。綺麗じゃないから?
-花というものは、はかないからだよ。
-はかないってどういう意味なの?
-地理学というものはすべての本の中でもとても貴重なものなのだよ。決して時代遅れのものであってはならないのだ。と地理学者は言いました。山が動くなどというのはありそうにない。海の水がなくなるというのもありそうにない。我々は永遠な物事を記録するのです。
-でも、死火山だって復活するかもしれません。と、王子は遮った。「はかない」ってどういう意味なの?
-死火山であろうと活火山であろうと私たち地理学者にとっては同じ事だよ。私たちが数えるのは、山なのですよ。それは変わらないからね。
-でも、「はかない」ってどういう意味なの?一度出した質問は、諦めたことのない王子が尋ねました。
-それは、近い内に消えて、もろいものだということです。
-ぼくの花はもろくて、近い内に消えるの?
-そのとおりだよ。
-ぼくの花ははかないのだ。王子は独り言を言った。花はこの世界で生きて行くのにたった4つの刺しか持っていない!なのに、ぼくはひとりぽっちにさせて置いてきてしまったのだ!
これが王子が悔やんだ初めての思いでした。でも、彼は元気を取り戻して言った。
-これからどこの星に言ったらいいのか教えてくれますか?と王子は尋ねた。
-地球だね。そう地理学者は答えました。地球は評判がいいからね。
そして、王子は花を思いながら、すぐに出発しました。

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