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星の王子さま 12章

 酒を飲むことはそんなに恥ずかしいことでしょうか。
酒浸りの男が、自分が酒を飲んでいることが恥ずかしいと言う。
自分をはぐらかしたいのだという。
他人をはぐらかすことは、われわれは日常でやっているのに、
自分に対してはおかしいと感じる。それって、どうしておかしいのでしょうか。
「人生はまやかしの連続である。人は互いに騙し、互いにへつらうことしかしない。だれも、われわれのいるところでは、われわれについて、われわれがいないところで言っているようなことは言わない。人間同士の結合はこのだまし合いの上に築かれたものにすぎない。」(パンセ100 中公文庫)
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次の星は酒飲みの住んでいる星でした。今回の訪問はとても短かったのですけれど、王子を憂鬱の底まで沈めたのでした。

-王子は、酒飲みに、ここで何をしているの?酒飲みは空の酒瓶のコレクションの前で静かに座っている所でした。
-わしは飲んでいる所だよ。酒飲みは悲痛な様子で答えました。
-どうして、お酒を飲んでいるの? 王子は尋ねました。
-忘れるためだよ。酒飲みは答えました。
-何を忘れるためなの? 王子は酒飲みに同情して尋ねました。
-恥ずかしかったことを忘れたからだよ。酒飲みはうつむきながら告白したのでした。
-何が恥ずかしいのですか?助けたいと思った王子は尋ねました。
-酒を飲むことが、恥ずかしいのだよ!そう言って酒飲みは差一種雨滴には、沈黙の中に閉じこもってしまいました。
 王子は、真っ赤になって、途方に暮れたのでした。
大人ってもうゼッタイ変だわ、旅の間中王子は独り言を言っていました。

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