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星の王子さま 7章

人間じゃないキノコに過ぎないものとは
心で見なければ見付けられない物を見たことがない人の事でしょうか。
 一度も花の香りをかいだことがない
 星を見たことがない
 誰も愛したことがない
 足し算以外は何もしたことがなかった

            ★ ★ ★

 5日目、いつも羊のおかげで、王子の人生の秘密は取り除かれたのでした。長い間考えていた問題の果実のように、前置きなしにいきなり私に聞いてきました。
-羊って草を食べるのだったら、花も食べるのかな?
-出会ったものは何でも。
-刺のある花でも?
-そうだとも、刺のある花も同じだよ。
-それじゃ刺は何のためにあるの?
私はそんなこと知らないよ。私はその時飛行機のエンジンのボルトを緩めるのに必死でした。というのも、この故障はとても深刻なことが分かってきて真剣になっていて、飲み水も残り少なくて最悪の状態を心配していたのでした。
-刺って、何のためにあるの?
-王子は一度質問をしたら、決してあきらめません。私はボルトのことでいらいらしていましたので、いいかげんに答えました。
-その刺は、何の役にも立たないよ。それは、花の意地悪だけのためのものなんだよ。
-ああ!
でも、少しして、王子は恨みのことばを私に投げつけたのでした。
-ぼくはあなたを信じないよ!花は弱いんだよ。純情で。花は出来るって安心しています。刺は恐ろしいものだと思います。
私は何も答えられませんでした。その瞬間こんな風に独り言を言っていました。もしも、ボルトがまだ思い通りにならなかったら、金槌で一撃を加えるところでした。王子は私の思いを乱してしまったのでした。
-あなたは、花を信じているのね...
-違うよ!違うよ!私は何も信じてなんかいない!私は適当に答えたんだ。私は忙しいんだよ。大事なことでね!
-大事なことだって!
手に取った金槌と黒い機械油の指、とても醜くく見える物体の上で身を屈めている自分の姿を王子は見ていました。
-あなたはまるで大人のような話し方をする!
その言葉で私はちょっと恥ずかしくなった。それでも、容赦なく王子は言いました。
-あなたは、なにもかも混同しているし、すべてをごちゃ混ぜにしている。
彼はほんとにとてもいらいらしていた。金色の髪を風になびかせていた。
-ぼくは、顔が真っ赤なおじさんが住んでいる星を知っていました。この人は花の香りなんて嗅ぐことは決してない。星のきらめきを見つめることも。女性を愛することも決してない。足し算以外は決して何もしない。このおじさんは1日中こう言っていました。 “わたしは重要な人間だ!重要なんだ!”そういう態度がおじさんを思い上。でも、そんな人は、人間じゃないよ。それは、キノコにすぎません!
-何だって?
-キノコだよ!
王子は真っ青に顔色をかえていました。
-花たちは百万年も刺を作ってきました。同じように、100万年も羊は花を食べてきた。役に立たないとげを作るために苦労しているのがなぜかを理解することは、重要なことではないのか?羊と花との戦いは重要じゃないのか?それは、赤太おじさんの計算よりも重要ではないのですか?もしも、私の星以外には咲いていない、私が知っている世界でただ一つの一本の花を、小さな羊がある朝自分がやっていることも分からず、一撃で食べてしまったとしても、そんなことは重要じゃないと!

王子は紅潮して、先を話し続けた。
もしも、誰かが百万と百万の星の中のひとつにしか存在しない、一輪の花を愛しているとしたら、その人は沢山の星たちを眺めているだけで幸せになれる。その人は「私の花はその星のどこかに咲いている...」と独り言を言っている。けれども、その羊が、その花を食べてしまったとしたら、彼にとっては、この全部の星が、突然消えてしまうのと同じなんだ。
王子はもうそれ以上は何も言えませんでした。悲しみのあまり急に気持ちが溢れました。宵闇が降りてきました。私は工具を置き、金槌もボルトも、のどの渇きも、そして死ぬことさえも気にとめていませんでした。一つの星の上に、一つの惑星に、わたしの星に、この地球に慰められるべき王子がいました。私は王子を抱きしめました。そして、静かにゆすりました。
 私は王子に言いました。
「あなたが愛している花は危なくないよ...」
「ヒツジに口輪を描いてあげよう...」
「花に身を守るものも描いてあげよう... 私は...」
 私は、それ以上の何を言っていいのか分からなかった。自分は何とも不器用だと思った。どうすれば元の関係に戻れるのか、一緒にいられるのか、分からなかった...
涙の国って、本当に不思議です。

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