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地雷な依頼者の見分け方と仕事を断ることによる意外なメリット

 こんにちは、フリーイラストレーターの頼和 愛(@ai_yoriwa)です。

 以前こちら↓でフリーランスで仕事をするに当たってリスクマネジメントがとても大切だよというお話をしました。

 今回はもう一つのリスクマネジメントについてお話しします。

 タイトルからも分かる通りもう一つのリスクマネジメントとは

「まともな依頼者を判別すること」です

 割と当たり前ですよね。誰だってまともな依頼者とお仕事したいじゃないですか。変な依頼者に引っかかったら業務以外のことに無駄な時間を取られたり、薄給で仕事が増えたりストレスが溜まったりと散々な目に遭います。誰でもトラブルなくストレスフリーでそれぞれの仕事を終えられることが理想でしょう。

 ただ残念ながら、駆け出しの頃は地雷な依頼者に出会う確率はとても高いと思います。

 ここでは自身の実体験を踏まえ、地雷な依頼者の見極め方とまともな依頼者とだけお仕事をすることで得られる大きなメリットをお話します。


言葉遣い、文面がおかしい

 これは言わずもがなとは思いますが、あえて書きます。変な日本語や、何故かモヤつくような文面だなと感じた場合、貴方の第六感は大抵正しいです。

 少しでもおかしさを感じたら要注意です。この後お伝えする他の事項にも当てはまったら完全に地雷依頼者認定です。


身元が怪しい

 個人の依頼者に関してはやり取りの文面から誠実さを判別するしかないと思うのですが、法人であればちゃんとした法人なのか確認した方がいいです。

 クラウドソーシングだったら本人確認、電話確認、秘密保持契約済などの手続きがしっかり済んでいる依頼主かどうかは見ましょう。

 最低限のことなのにこれらがしっかりされていないということは、仕事のやり取りの中でもずさんなことをする可能性が高いです。


発注率が低過ぎる

 クラウドソーシングなどでは発注率などが分かったりしますが、これがあまりにも低い場合は警戒した方がいいです(30%など)。

 発注数が少ないならまだ分かるのですが、発注数が多いのに発注率が低いのは怪しいです。

 途中でキャンセルするのかされるのか分かりませんが、そんなことが繰り返し起きているなら確実に依頼者自体にも問題があります。


提示価格がブラック

 まず価格が安過ぎるコンペなどはやめましょう。

 クラウドソーシングなど自分で価格を設定して販売するならともかく、向こうの出せる金額があまりに安い場合は仕事の価値を分かっていないので、後からほいほい仕事を増やしてくる可能性があります。

 最近よくあるYouTube漫画なんかは計算してみると1ページ数百円なんてよくありますが、普通に考えて10分で1枚くらい描けないと時給の最低賃金にも満たないですよね?

 私もクラウドソーシングの手数料引いたら、1枚あたり300円とかの仕事をやらされそうになりました。人間扱いじゃないですよ、もう。

 どんなに譲歩したって1枚1,000円すら払えないようじゃその企業に将来性があるとは思えません(それでも安いが)。本当なら1枚5,000円くらいはないと割に合わないです。

 カラーや著作権込みだったらもう奴隷確定ですね。

 そもそもお金をケチって利益をあげようとしているということは、クオリティをないがしろにしているということであり、経営面から考えてもまずい状況です。そういう商売は長続きしませんし、使われるこちらは疲弊するだけですから関わらない方がいいです。


向こうから勧誘してくる

 これは勿論相手が「貴方の絵が好き」ということが分かればいいのですが、そうではなくクラウドソーシングなどで実績の少ない方を狙ってろくにポートフォリオも見ずに連絡をしてくる依頼者がいます。

 これはつまりブラック案件で他のまともな人が寄り付かないので、見境なくDMしている可能性が非常に高いです。

 私も勧誘されたので絵を見てくれたのかと思ったら「テストしますので絵を描いてください」と言われて絶句しました。勿論ポートフォリオも公開しているのに。

 ろくにプロフィールも見ずにDMしてくるような依頼者は危険です。


依頼内容が不明確

 例えば●〜●枚で●●円など、枚数が増えても同額って冷静に考えておかしくないですか?

 1枚あたりの単価をきちんと出していない依頼者は平気で後から仕事増やしてきます。

 1枚に何人もキャラを描かせたり……こういう人たちはイラストを描くことの負担を分かっていないんです。イラストを描く人なら、1枚のイラストに人物1人な場合と2人では労力が明らかに違うって分かりますよね? ただこういう人たちにはそういうことが理解できないようです。

 私も実際、●〜●枚漫画描いてくださいと言われて契約したところ、後に2回も意味不明な仕事を無償で増やされたことがあります。

 きっちり契約内容を定義してこない依頼者は本当に地雷です。


社内連携が取れていない

 やばい依頼者ほど社内の連携が取れていないです。これは本当に。採用窓口の人から、実務窓口の人に移ったら全然こっちの話が通っておらず「●●で採用の方ですか?」って聞かれたり、既に伝えていることが全然伝わっていなかったり……(ただの確認ならいいんですけど、情報を全く伝えていない様子なら完全に黒です)。しかもそれを恥じている様子もなかったら、会社全体の感覚がおかしいのです。

 まともな会社ならそんなこと有り得ないですし、仕事ができる人ならそのくらいはできて当然です。

 特に新卒でフリーランスで仕事をしようとしている方は特に気を付けて欲しいです。どういう人がまともな社会人か分かっていないとカモられやすいです。

 組織として動いている以上、情報伝達は一番大切なことです。そこをないがしろにしている時点で仕事ができない人たちだということが分かりますし、外注先に対してそういう適当な扱いをするというのはつまり相手を軽んじていると言えるでしょう。

 そのような依頼者と取引しても、何かしら不当な扱いを受けると思います。

 あまり優秀ではない人と仕事をすると、言うことをころころ変えたり、無茶なことを言ってきたり、合理的ではない感情的なクレームを入れてきたりと大抵ろくな目に遭いません。


フリーランスの奴隷扱いを許さない社会へ

 以上が地雷な依頼者を見分けるチェック項目です。

 そしてここで一番重要なこと。こういった依頼者のお仕事はなるべく避けましょう。

 駆け出しなら少額でもいいから実績を作りたい……! 気持ちは分かります。痛いほど! 自分が少し我慢すればいいや、と思うこともあるでしょう。

 しかし、誰かがそういった仕事を引き受けることで、地雷な依頼者はそのやり方で味をしめてしまいます。

「このやり方でいいんだ。この金額でも任せられるんだ」と。

 まともな相場を知っている人が交渉したとしても「他の方はこれでやってくださっていますよ」などと平然と返されることもあるでしょう。

 これは業界として完全に良くない状態だと思います。

 そもそも地雷な依頼者がいる理由は、その依頼者の仕事を受けてしまう人がいるからです。

 誰もその依頼者の仕事を受けなくなれば、依頼者の事業は立ち行かなくなり、倒産か、条件などを改めざるを得ないでしょう。

 一人ひとりが理不尽な要求をしてくる依頼者を断固拒否することで、社会全体からそういった依頼主を減らせるのです

 日本ではブラック企業が多い印象がありますが、何故そんなにブラック企業が多いと思いますか?

 それはブラック企業で働き続ける人がいるからです。

 恐らく日本の場合、転職回数が多いと経歴に傷が付くと恐れてなかなか辞められない人が多いのでしょう。

 そのようにブラック企業が成り立ってしまう社会だからこそ、ブラック企業は無くならないのです。転職回数の多い海外でブラック企業が成り立たないのはそういうことなのではないかと思います。海外であればブラック企業だったらすぐに皆やめますから、ブラック企業は経営が立ち行かなくなり、倒産するかホワイトにならざるを得なくなります。

 フリーランスだと雇用されるわけではないので、ブラック企業のように世間で問題視されることがあまりありませんが、フリーランスだからと外注先を買い叩く企業はブラック企業と何ら変わりません。

 目先の利益に飛びついてお金が欲しいからと理不尽な要求でも我慢して受けていたら、そういった企業の思うツボです。地雷な依頼者を支持しているのと同じことです。

 私は駆け出しのフリーランスの方でも、奴隷ではなく依頼者と対等な関係でお仕事をできる社会になって欲しいと思っています。特にこういった依頼者の犠牲になるのは高単価で仕事を受けられる実績のある著名な方ではなく、まだ無名なフリーランスの方でしょう。

 私は一度そういった企業からお仕事をもらいかけましたが、あまりにひどかったのでお断りしました。色んなクリエイターから搾取しているのだと思うと腹が立ちましたし、おかしな依頼をしていることを気付かせたいと思いました。

 もしフリーランスの方でこの考えに賛同いただける方がいらっしゃれば、是非とも広めて頂きたいなと思います。

 短期的には仕事を受ける方が少しは自分にとってメリットがあると思いますが、一人ひとりが地雷な依頼者を許さないことで長期的には社会全体としてフリーランスが仕事のしやすい状態になると思います。

 いつか悔しい思いをするフリーランスの方がいなくなりますように。


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