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初めて描いた漫画本を編集部に見てもらった結果

 こんにちは、フリーイラストレーターの頼和 愛(@ai_yoriwa)です。
 前回の記事から随分間が空いてしまったような気がします。それというのも二次創作ジャンルの漫画本を猛スピードで作っていたからで、今回はまさにそれについてのお話となります。

 成年向け漫画についての記事になるので、露骨には出しませんがそういう大人向けの用語や、白ベタで大事なところは隠しますがお色気シーンがちょびっとだけ出てきます。苦手な方はお戻りください。
 
 先日の三連休最終日、春コミに参加しました。3年ぶりくらいのオフイベントかつ、漫画での参加は初めてだったので、正直かなりビクビクしていました。
 「コロナだし漫画だし、人一人も来ないんじゃ……全部持って帰るのつら……こわ」と胃痛を抱えつつ、何とか新刊も既刊も無事完売できたので、ひとまず辛い思いはせずに済みました。毎度思いますが、自作をお求めくださる方には感謝しかないです。
 
 という前情報はさておき、早速本題へ移ります。スペース番号が出た時に自分のいる会場図を見て気付いたのは「出張編集部」!
 
作品を持っていけばプロの編集さんに評価してもらえるというアレです!

 なんと二次創作でもTLでも可! とのこと。
 あと5年以内に商業デビューするという目標を掲げた自分にとって「これは絶対やっておかねば! 恥は掻き捨て当たって砕けろ!」と奮起しました。

 まず行ってみた感想を一言で言うと「行って良かった! 商業目指している人は絶対行くべき!」です。

 本の頒布が落ち着いたところで友達に店番をお願いしていざ編集部スペースへ!
 10社くらいの編集部が来ていて(事前にどの編集部が来るのかは分からなかった)、受付のお姉さん曰くおおまかなジャンルは少年誌系とBL系。
 私が持っていった本は刀ジャンルのNLでR-18だったので、商業で言うところのTL漫画が近いかなと。
 それぞれの編集部ブースを覗きに行って、TL色強めな編集部さんの受付用紙を書いてブースへ並びに行きます。

 事前のアンケート的な紙には「名前」「ハンドルネーム」「TwitterID」「メールアドレス」「電話番号」「年齢」「これまでの持ち込みの回数」「評価の仕方」などを記入。
 ほほう、作品が上手い人には編集部からお声がかかるのだろうなあと、持ち込み編集部感(?)をひしひしと感じました。
 ちなみ「評価の仕方」というのは「商業誌希望or感想やアドバイスを希望(甘口/中辛/辛口)」とカレーの味付けみたいに書かれていました。
 最初商業誌希望に○をしたのですが、よくよく考えたらそれは恐らくオリジナルを持ってきた人がそれをそのまま商業誌でいけるか見てもらう項目だなと気付いたので、今持っているのが二次創作の自分はアドバイス希望にしました。
 さすがに甘口だと役に立たなさそうですし、初回辛口で心バッキバキにされて泣いて帰るのも嫌だったので、弱気に中辛を選択。

 私の並んだブースは他より混んでいて自分は3人目。一人あたり10分以内と決められていました(実際はもっと長かった気がします)。
 編集さんが二人体制で対応していたので、実質一人分待つ感じです。
 ちなみに私が持って行ったのは新刊含めた漫画の3部作で、約2年前くらいに描き始めて初めて漫画本にしたシリーズ。全部で150Pを超えていたので全部見てもらえるのか不安でしたが、ちゃんとその場で3冊とも読んで頂けました。

 ちなみに本を読んでもらっている間にもう一度アンケート。恐らく一つ目のアンケは春コミ運営の赤ブーさんが回収するもので、2回目のものが編集部が保管するものなのでしょうね。
 基本的な連絡先のほか、希望ジャンルや好きな漫画・映画・アニメの記入欄がありました。私は緊張で何も思い出せなくなり「東京喰種」だけしか書けず、とりあえず人がバンバン死ぬファンタジーが好きな野郎感だけを残してきました。戦略的には大失敗です……。
 
 ここからは自分への備忘録的意味合いを含め、指摘して頂いた部分を書いていきます。
 中辛と言ってもかなーり甘々で驚くほど優しかったです。それは恐らく私の作品のクオリティが高かったわけではなく、見てくださった編集さんがすごく優しいお姉さんだったからだと思っています。

ほめて頂いたところ


・表紙の色使いが綺麗で目を引くので良い
 漫画において表紙は大事なので力を入れるべきところということで、特に↓一作目や三作目の反応が良かったです。三作目は自分自身もTL漫画の表紙を参考にしながら描いたので、戦略的に正解だったかなと。

三部作の表紙

・物語の導入と終わりの描き方が良い
 漫画は最初の4ページで読まれるかが決まるので、そこで惹き付ける構成にすると良いそうで、コマを大きくしたり先が気になる印象付けはできていると。
 3部作だったので、終わりの部分も次が気になるように描けていると言ってもらえました。

冒頭4P

・台詞など文字情報の言葉選びが上手い
 これは元々仕事でやっていたライターや文字書きをしていた経験が生きているのかなと思いました。台詞回しなどの文字情報にはこだわりがあるのでそれが伝わったのは嬉しかったですね。

・えっちなシーンは色んな体位やシチュがあって良い
 やはりTL漫画においては色んな体位のえっちがあると良いそうです。確かにそこは謎のこだわり(笑)があったので、よく気付いてくださったなと。
 「鏡ぷれいえっちですね」と言われて「ありがとうございます、あは、あはは」と超絶キモい返答をしました笑。

・男性の顔は綺麗に描けている
 これは確かに推しの顔に全身全霊を注いでいたので、情熱が伝わって良かったなと笑。
 逆に言うと女の子の顔も頑張らないといけないですね……。

ほめてもらえた男士たち

・見せたいコマが分かりやすい 
大事なコマが強調されていて良いと仰って頂けました。ページの中で大きくしたり、枠を消したりで分かりやすいと。

見せたいシーンはぶち抜く

・山場(えろや戦闘シーン)と落ち着いたシーンの緩急が付けられている
 1冊あたり40〜60Pくらいだったのですが、2回くらい山場があると丁度良いそうです。

・3冊目が一番良かった
 2年かけて描いていて上達したということなんだと思います。えっちなシーンは指摘がなかったです。
 ラストは自分なりにエモめの展開だったので、切ない感じがよく表現できていると言って頂けました。

改善すべきところ

・女の子を見せる場面は頭などを切らずに大きく
 二次創作だと推し(男)の方がメインなので、割と意識的に女の子はそこまで目立たないようにしていたのですが、TL漫画になってくると魅せゴマなどはちゃんと女の子の頭まで入るようにすべきとのことでした。
 また女の子の場合、あおり構図より上目遣いのやや俯瞰気味な構図の方が可愛く見せやすいので効果的だと教えて頂けました。確かに。

頭まで入れたほうが良かったシーン

・えっちなシーンは女の子の全身を見せるコマを描く
 確かにこれ最近色んな同人誌やTL漫画で研究してきて気付いたのですが、見開きに一コマとまではいかなくともえっちなシーンは女の子が全身で大きく描写されたコマを配置した方がいいそうです。小さいコマをいくつもじゃなく、緩急がやはり大切だと。
 あと女の子の胸が台詞などで隠れるのも残念なのでちゃんと出した方が良いそうです(私は出していたのでほめてもらえました笑)。

左が2作目、右が3作目なので見せ方は上達したのかもしれない

・キスシーンやえっちなシーンのカメラ角度は同じにならないようにする
 これ指摘されて納得だったのですが、何度かキスシーンやえっちなシーンを描いていてそのうちアングルが何箇所か被ってたんですよね。
 そこを左右斜めやあおり、俯瞰で描く練習も必要なんですね。バリエーション大事。

額と唇で違うけど構図が一緒やないかい!


 以上、殆どほめて頂いて、中辛どころかかなーり甘口で評価して頂いたなと思います。
 多分持ち込み初めてだとアンケに書いたのも影響しているかなと思います。最初から否定しまくったら心折れて辞めちゃいますもんね……。
 パワハラやしつけや体罰なんかに厳しい世の中ですし、持ってきた作品をけちょんけちょんにするような編集さんがいたらSNSで拡散されそうですし、本格的に担当になるまでは優しいものなのかもしれないですね。
 それに画力やデッサンのことなんて言わずもがな引き続き頑張れよってことでそれは敢えて言わないのかもなと思いました。
 それか画力以外の漫画で必要な見せ方のセオリーは結構満たせているということなのでは? というハッピーポジティブな自分もおります。勘違いでもポジティブは大事です。やる気出ますからね。
 お世辞でも何でもほめられるところがあったんだってことは嬉しいことです。2年くらいかけて自分なりに一生懸命完結させた作品でしたので。最後の方は毎日10時間近く描いていて、必要な買い物に出掛けていても「はあはあ、漫画、早く帰って漫画描かなきゃ、はあはあ……」と完全に頭がイッちゃってました笑。あのキチガイじみた努力が報われた気がします。

その他に編集さんが仰っていたこと

編集さん「どういうジャンルが描きたいですか? 例えば少女漫画はどうでしょう?」

私「正直迷っています。ファンタジーやミステリーもが好きなのでそういったものが含まれた少女漫画もいいですし、少年青年漫画も描きたい気持ちがあります」

編集さん「ファンタジーが描けるのであれば、最近は転生ものが流行っているのでどうですか? ファンタジーが全く描けない方もいるので。頼和さんは既にこういったファンタジーが描けるのでいいと思いますよ」 

 ファンタジーが全く描けない方がいるというのも少し驚きましたが、やはり転生ものは今でも編集部としては描いてほしいものなんだなあと実感しました。転生ものめちゃくちゃ多いですもんね。
 自分が今一番描きたいものとは違いますが、ファンタジーは好きなので思い付いたら描いてみようかなと思いました。
 自分が描きたいものを描きたいように描くのも勿論大事ですが、世間のニーズを考えて描くのも商業を目指す上では大事だよなとも思うので悩みどころですね。
 正直自分の描きあげる時間さえ上がっていけば、いくらでも色々描きたいんですけどね。
 ちなみに今回は約60Pを1ヶ月で描き上げたので、自身の最速スピードは1日2ページでした。(1ページに大体4〜5時間かかってしまっている)
 このペースだと思い付いたネタをドカドカあげられるレベルではないんですよね……。そもそも絵のクオリティもまだまだ満足できていませんし。

今後の課題と目標


 今回指摘してもらった部分を改善しつつ、画力アップに励み、引き続きオリジナルの連載も進めていこうと思います。(デッサンや背景などもっともっとスキルアップしていかないといけません)
 5年以内の商業デビューに向けて、今年の秋までにはまずコミティアに参加する予定です。無名ながらに少しずつでも露出を増やしていかなくては!
 千里の道も一歩から、ということで少しずつでも積み上げていこうと思います。Twitterや各漫画投稿サイトで発信していきますので、応援頂けましたら幸いです。
 ↓現在連載中の漫画です!

 これから漫画を描いていこうと思う方は是非即売会の出張編集部へ行ってみてください! 各社の編集部に持ち込みに行くよりはだいぶ気軽だと思いますよ!
 最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

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