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都市伝説の真実

 年末年始の気忙しいこの時期、皆さまはいかがお過ごしでしょうか?
 私はというと、noteで何やら面白いコンテストを見つけてしまって、心がざわざわしています。


これ、私のことやんけ!!!!!(目かっぴろげ)

 心の中で思わず関西弁が出てしまうくらい、このコンテストの記事を見つけた時、「あ、これ、私自身のことだ」と思いました。
 というのも、何度かnoteにも書いたことがあるのですが、頸椎を2本骨折して頸髄を損傷したけど大きな後遺症もなく、東京で元気にサラリーウーマンしてるのが私という人間だからです。そんな人ってあんまりいないのでは??

 飲み会の時なんかに突如始まる「怪我自慢大会」みたいなのってあるじゃないですか。(私の周りだけ??)
 \骨折して3ヶ月入院したことあるー!/
 \ココ切ったー!/
 \ココ縫ったー!/
みたいなやつ。(雑)

 そういう時、
「頸椎骨折して頸髄損傷して、治療のために一厘刈りの坊主になって、ついでに高校も休学して入院したけど…今元気いっぱいに働いてますけど何か?」 
みたいなことを言うと、怪我自慢大会では確実に優勝できたとて確実にドン引きされるので、私はいつも酒の肴としてこんな話をしています。

「私、都市伝説になったんですよー」

怪奇・都市伝説になった女

 15年ほど前、平成も末期に差し掛かったある年の瀬のこと…私は交通事故にあいました。死んでもおかしくない事故で、首は折れ、頭は裂け、耳は千切れて…
 しかし、なんの因果か私は死なず(現代医学のお陰です)、頭も耳も綺麗に縫合され、ハローベストという医療器具を装着することで一命を取り留めました。

 ハローベスト、と言われても、実際に目にしたことがある方は少ないと思いますが、実はKing Gnuの「どろん 」という曲のMVに、それらしき器具を装着したキャラクターが出ています。

 MVの最初から最期まで、頭を固定されている人たちがいるでしょう?ルーペで目がぎょろぎょろしてる人たちです。その頭を固定しているのがハローベストです。

 曲の雰囲気とも相まって、すごく奇妙でおどろおどろしいMVですよね。(そもそもこの曲は、「スマホを落としただけなのに」というミステリー映画の主題歌ということです。)
 おそらく、見るもの・聞くものを制限された存在の象徴として(私見ですよ)、ハローベストを装着して身動きが取れなくなった上からヘッドホンやルーペを取り付けられているのだと思います。
 しかし「経験者」としては、もうちょっとグロかったということをお伝えしたい。(あくまで私の場合ね)

以前も使用させてもらった画像
問題があれば削除します

 ハローベストは、オデコ2ヶ所、耳の後ろ2ヶ所、計4ヶ所頭蓋骨にネジを打ち込んで、金属の棒で、ネジとカチカチのベストを繋いで頭を持ち上げて固定するといった仕組みです。

 まず、見た目(笑)
 強すぎる(笑)
 死ぬか、ハローベストかの2択だったからそりゃあね、装着しますよ!でも死なないんだったら装着しないよ!!(当たり前だ)
 あと、私の場合は野球部も真っ青の一厘刈り。しかも、金属の棒にかぶれてしまって、頭蓋骨に打ち込んだネジのところから血が止まらなくて(ステロイド塗ってもらって事なきを得ました)…フランケンシュタインかい!!

 頭が絶対に動かないように(そりゃそうだ)、ベストはギュウギュウなんです。だから、普通の服は着れなくて、半分に切ったタンクトップに紐を縫い付けて(お母さんありがとう…)体の横で結んでました…金太郎かい!!
 普通の服が着れないので当たり前なんですが、ブラジャーなんて着けれない。裸に、金太郎タンクトップに、カチカチベスト。その上から、3Lサイズの前開きパーカーかパジャマでした。

 これまたかわいそうなことに、私はしっかり男顔でね…(泣)16歳、花の女子高生であっても、坊主にハローベストだったら性別なんて分かりませんよ!!(泣)某せんとくんに激似って言えば、この悲しみが伝わりますでしょうか…

 不幸中の幸いで手足は動いたのですが、いかんせん見た目がとんでもないことになっている自覚があったので、お見舞いの申し出は丁重にお断りをして、治療に専念(といっても骨がくっつくのをひたすら待つ日々だったのですが…)していたのですが、ある日のお昼間、実況見分のために、事故現場に行かなければいけなくなったのですね。

 病院の中でさえ、周りの人の視線を独り占めしちゃう見た目なんですよ(泣)
 「見せもんちゃうど!おらぁぁぁぁ!!」
なんて、売店に行くたびに当時思ってましたが、そりゃ見ますよね!!!だって、坊主頭にネジ刺さってて、背がちっちゃくて(151センチ)女なのか男の子なのか分からなくて見るからにヤバそうなのに、普通に歩いてるんだから!!

 だから、とっっっっても、嫌だなぁ、と思いながら外出しました。お巡りさんも、めちゃめちゃ傷口見てくるしね…案の定、交差点に立ってあーだこーだしてる時の通行人の視線が痛くって痛くって…(泣)

 そんなこともありましたが、大きな後遺症もなく無事に退院し(ネジ引っこ抜く時がまた痛かったけども)、あんなこともあったねーなんて、当時を知る人と話ができるようになった24、5歳の頃、一人暮らしの家に母から電話がかかってきたんです。

 『もしもしー?元気にしてるかー?ところであんた、都市伝説になってるで!!』

…何のこっちゃ。

 母の話を要約すると、職場で雑談中に同僚のお子さんの話になったそうで。
 そのお子さんの学校で都市伝説や怪談が流行ってるらしく、その中の一つに、●◆(地名)交差点に現れる亡霊の都市伝説があったんだと。

 『何月何日にココで交通事故がありました』と、事故の目撃者を探すための看板を見たことがある方もいるかと思いますが、●◆交差点にも当時そんな看板があって、その看板の横に坊主頭のおじさんが現れて、自分を殺した犯人を探している、というどこにでもありそうな平凡な「怖い話」なのですが……それ、どう考えても私のこと(笑)

 ●◆交差点というのが、まさに私が交通事故にあった交差点で、しかも当時そこにあった目撃者探しのための看板も、私の交通事故のものだったんです。その交差点のすぐそばには、大きな公園があるのですが…

 ここからは私の予想ですが、当時、真っ昼間に行われた交通事故の実況見分の様子を、公園から見ていた子どもたちがいたのではないでしょうか。
 坊主頭で、奇妙奇天烈な器具を装着していて(しかもそのせいで上半身が異様にデカくて)、性別不詳の人間がお巡りさんに囲まれてノソノソ動いてる姿は恐怖だったのだと思います(笑)
 実況見分の際の目撃談に尾鰭がどんどんついて、ついには約十年後、怪我人の女子高生はおじさんの亡霊として地元の都市伝説になっていた、というわけなんです。

 世界広しと言えど、生きたまま都市伝説になったことがある人はなかなかいないんじゃないでしょうか??人間の想像力ってすごいと思いませんか?

 私たちが「真実」だと信じることのうちの、どれが本当に「真実」なんでしょうね。
なーんて。

 以上、「都市伝説の真実」でした。

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