AIホラー小説「赤い糸」

何もかもが怖くて、逃げ出したい衝動に駆られる。
でも、私は動けない。
足元に広がる闇に足を取られ、回避できないように感じた。
私はただ立ちすくんで、周りを見回すことしかできなかった。
それは廃屋だった。
何年も前に使われなくなった建物で、蔦が壁を覆い尽くし、窓ガラスは割れ、朽ち果てた匂いが充満している。
友人たちと訪れたんだったろうか？
記憶が曖昧で、なぜここにいるのかわからなかった。

廃屋の中には暗い穴があった。
私は足元にある小石を蹴って、穴の深さを確認した。
穴の奥には何かが見えた。
廃屋の暗闇から穴の中に伸びている不気味な光景に、私の心臓は高鳴り始めた。

「誰かそこにいるのか？」
穴に向けて声を掛けてみた。
返事はなく、ただ髪の毛が穴から伸びているだけだった。

私は怖くて逃げ出したくなったが、不思議な引力に引き寄せられるように、再びその穴に目を奪われた。
すると、穴から伸びる髪の毛が少しずつ揺れ始めた。
それはまるで誰かが廃屋の中で動いているように見えた。
私の脳裏には不気味な想像が広がる、恐怖に打ち震える。

「ダメだ、逃げなきゃ！」
慌てて足を動かすと、足元には何かが絡みついているように、身動き取れない。
そのとき、穴から伸びている髪の毛がどんどん大きくなり、廃屋の中から何かが現れてようとしているのが分かった。
その顔は私を見つめている。
目も鼻も口もないただの白い顔。
それがじわりと笑っているように見えた。

私は絶叫しようとしたが、声が出ない。
「助けて……誰か、助けて！」
私はただその場に立ち尽くし、壁の穴から伸びる髪の毛に縛られて身動きできないまま、青く見える白い見つめ続けるしかなかった。

青い白い顔は少しずつ近づいてきた。
意識が遠のいていく中、過去の断片が私の脳裏を駆け巡った。
友人たちと一緒にこの廃屋に来たこと、何かを探していたこと……そして、この青い白い顔が何者かに利していることを思い出した。

もしかしたら、私たちはこの廃屋に閉じ込められたのかもしれない。
そして、この青い白い顔が私たちに何かをしようとしているのだろう。
私は絶望に打ちひしがれながら、意識を失っていた。

それから、私はこの廃屋の中で迷い続けている。
何度も何度も青い白い顔に出会って、恐怖に怯える日々を眺めている。
髪の毛の穴から現れる青い白い顔の正体はわからない。
それはただ私たちを恐怖に陥れるためだけに存在している気さえする。
私は廃屋の中で、青白い顔に追われる日々を永遠に過ごすことになるのだ。