「AI導入成功のカギは〇〇でした。」ベネッセが語る働き方から生活まで変えるAI戦略とは?
あなたは、「進研ゼミ」や「チャレンジ」を知っていますか?
では、これはご存知でしょうか?
そのベネッセが今、AI活用の先進企業として注目されているということを
AIの話が耳に入るようになり
「もっとラクに仕事したいな」
「実際、まだAI使ってる人少なくない?」
「自分の会社でもAIを使えるようにして欲しいなぁ〜」
と思うかも知れません。
もし、AIを味方にした生き方がしたいなら、この記事を絶対に最後まで見てください。
なぜなら、今回、国内トップクラスでAIを使いこなしていると言える企業ベネッセで、AI戦略の最前線に立つ方からお話を伺うことができたのです。
ベネッセホールディングスのデータソリューション部部長 國吉啓介氏です。
AIで働き方や生活はどう変わるのか?
AI時代に、「在り方」の本質はどう変わる?
どうして、ベネッセはAI導入で他社の一歩先を行けたの?
人間とAIの理想的な共存とは?
このヒントが、ここにあります。
ベネッセのAI導入、成功の秘訣は?
まずは経営層に技術の認知を深めてもらうために、経営会議で早い段階から生成AIツールを実際に触ってもらったことが大きいと思います。
年が明ける頃から、「この技術、もしかしたら大きな影響を及ぼすかもしれない」という話が社内でも出始め
2月頃から毎月の経営会議で「社会を変えるような技術ではないか」という議論が段階的に行われるようになったんです。
そして、この技術がどのようにインパクトを与えそうか、またベネッセで行っている教育や介護でどのように活用できるかについて議論を重ねていました。
言葉だけで説明するより、まず実施のものをみてもらったことで、経営陣は早い段階から深い話ができていました。
なぜ、社内で使えるAI『BenesseChat』を作ろうと思ったんですか?導入後の変化は?
これも新しい技術に対して口だけで「すごい」と評価するのではなく、社員も早い段階で実際に触れて、その可能性を実感することが、重要だと考えたからです。
また、好奇心を持ってAIを使おうとする社員が安心して使える環境づくりが大切だと考え、導入が進みました。
この認識を踏まえ、社員がスピーディーかつ安全にAIに触れられる環境にすることに力をいれました。
これによって、社員も実際にAIを触った上で、深い話ができるようになったのが大きいです。
セキュリティ問題へのアプローチ方法は?
セキュリティ面への心配の声もありましたが、これについてはリスクの小さなところから段階的なアプローチを使いました。
まず『BenesseChat』などの社内サービスから開始し、次に小規模な社外向けサービスを作るという方法で進め1年かけて安全性を確認しました。
今も社内でセキュリティについて議論を重ね、継続的に対応しています。
リスクを最小限に抑え、徐々に効果の大きさを広げていったんです。
システム以外のAI活用の課題は?
課題は使い方にあると思います。
課題は大きく二つ。一つは、セキュリティー対策や著作権などの適切な取り扱いなど、AI活用にあたっての土台を整えていく必要がある。
もう一つは、ハルシネーション(AIがそれっぽいウソをつくこと)の影響を抑えつつ、適切な使い方を見つける必要があると考えています。
この2つの課題をどう考えて、どう対応していくかが重要だと思います
社内GPTに止まらない3つのAI変革とは?
現在、ベネッセでは生成AIを活用した業務プロセスの大きな変革を進めています。
具体的には、以下の3つの分野で今までのやり方を根本から見直しています。
1. コールセンター業務の変革 :
生成AIで、コールセンター業務の在り方自体を変革しようとしています。
問い合わせ前の悩み解消
問い合わせまでの手続き段取り
問い合わせした際の品質と効率
この3段階で顧客がスムーズに解決・アクセス・対話が実現できるよう、生成 AI 技術を幅広く活用しています。
https://blog.benesse.ne.jp/bh/ja/news/20230616release.pdf
2. ウェブサイト制作プロセスの変革 :
生成AIの活用を前提として、Webサイト制作・運用の改革を進めています。
これによってコスト4割削減、制作期間を半分以下に短縮しました。
https://blog.benesse.ne.jp/bh/ja/news/management/2023/10/27_6014.html
3. 社内情報検索の効率化 :
自社にしかない情報を活用して、スタッフが社内の情報をスピーディーに見つけられるようにしています。
これまで、どこにあるか分かりづらかったり確認に時間がかかっていた部分が解消されることで、よりクリエイティブな活動に時間を使うことができるようになりました。
この3点のプロセス変革を進めつつ、お客さまに喜んでもらえたり、大きく業務効率を改善できるポイントを探しながら、去年からずっと取り組んでいます。
お客さま向けのAIサービスの効果は?
AI StLikeは、生徒一人ひとりの苦手な部分を分析し、苦手に特化した学習内容を提供することで、学習効率のUPを目指しています。
特に大学受験など、苦手なことを克服するモチベーションが高い人たちに効果が高いです。
実際にAIトレーニング後、正解者の割合が18.1%上昇したり、理解の定着が長続きするようになったという成果が出ています。
ただ、まだ受験時のような強いモチベーションがない人に向けては、より個人に合わせたアプローチに挑戦するなど、まだまだベネッセとしてやれることがあると思っています。
AI StLike : https://kzemi.benesse.ne.jp/op/stlike/index.html
モチベーションが高くない学習者へのアプローチは?
自由研究のテーマづくりをサポートする「自由研究お助けAI」や、小さな疑問をすぐ答えてくれる「チャレンジAI学習コーチ」など、一人ひとりにあわせたAIサポートサービスをリリースしています。
このように個別化された学習は、AIを活用することで、さらに進化していくと考えています。
AIの強みは?
まずAIの大きな価値は、24時間ずっと働けるということ。そして、フィードバックのスピードが早いことと感じています。
これまでは、時間や人が足りず、すぐに返事をしたり、アドバイスをすることが難しいことがありました。
しかし、AIを活用することで、今までできなかったことができるようになる可能性があり、進化を考えていきたいと思っています。
一方でデジタルで短期的な対応ばかりしてしまうのも問題があります。実際人は、長期的な価値観や目指す方向、憧れなど、気持ちが揺れ動くものです。
なので、人間は共感や信頼関係を作ったり、長い目線で生徒を理解する。その上でフィードバックをすることが大切だと思います。
そのため、AIの強みを生かしつつ、人だからこそできる価値を考えることも、とても大事と思います。
AIが発達しても人の価値は残り続けると思います。
教育だけじゃない!生活の質の向上への取り組みとは?
介護事業でもAIを活用しています。利用者の生活の質の向上を目的として、色々な取り組みを進めているんですよ。
具体的には、睡眠センサーを用いて睡眠の質を分析し、睡眠改善のためのサポートを提供したり、BPSD要因及び”いつもと違う”予兆検知などにも取り組んでいます。
AIを活用することで、利用者の状態をより細かく理解し、個別のニーズに合わせたケアを提供することが可能になります。
AIの可能性をどうとらえているか?
AIは、日本におけるデジタル変革(DX)を進めるうえで、重要なツールだと思います。
日本にはたくさんのポテンシャルがあると思っています。AIをうまく活用することで、そのポテンシャルを引き出せるのではないかと思っています。
AIをきっかけに一気に良いものをどんどん作って、「日本ってすごいな」となっていければ良いと思っております。
まとめ
今回のインタビューで特に印象的だったのは、AIを実際に「触ってみる」ことの重要性です。シンプルなアプローチですが、やはり体験してみないと本当の可能性はわからないということが強く伝わってきました。
また、ベネッセがAIを単なるツールとしてではなく、生活の質や学生の未来など、より大きな社会的目的のために活用していることがはっきりと感じられました。
日本の現状に対してさまざまな意見がある中、私自身もAIをきっかけに「日本ってすごいな」と世界から思われるようになりたいという思いに強く共感しました。ベネッセの取り組みは、そんな未来への希望を感じさせるものでした。