朝ごはんの快楽
コロナ禍でお店が時短営業になったことをきっかけに、早寝早起きをするようになったことは別のエッセイに詳しいが、その後も、すっかり朝早く起きる習慣が身についたようだ。言われる前に言うが、「老化による早朝覚醒」という説もある。
朝早く起きるようになってから、なんとなく朝ごはんを食べるようになった。今まではコーヒーすら飲まなかったのに、ちょこちょこと料理をして、気に入ったうつわに盛り付けてゆるゆる食べている。元々、料理が好きなので、苦痛は皆無、いや、むしろ、快楽すら感じている。
せっかくなので写真でも撮ろうかな、というところから、なんとなくInstagramに投稿しはじめたのだが、いつからか「毎日UPする」ことが習慣になった。一番の目的は「自分自身の食生活ログ」なのだが、意外と見てくれている人が多く、最近は久しぶりに会った人などに「朝ごはん、毎朝楽しみに見てるよ!」と言われることが多くなった。
こんな食卓を「楽しみにしている」などと言われると、なんとなく嬉しいようなこそばゆいような心持ちがする。
毎朝UPして暇だな愛ちゃん、とか、承認欲求強いの?とか、なにアピール?とか思う人もいるだろうが、従前の通り主たる目的は食事ログだし、元来、人の目や人の噂が気にならないほうなので、誰がなんと思おうが、知ったこっちゃないんである。厭なら見なければよろしい。
朝ごはんを投稿するようになってまだ2年経たないが、実は「ごはん」じゃない日もたくさんある。二日酔いでシークワーサー水だけの日も、寝坊してミロだけの日もある。それでも載せるのは、所詮ただの食事ログだからである。
ちゃんと食べる日は、ごはんとお味噌汁の日が多いが、台湾の朝ごはんの定番「鹹豆漿」(しぇんとうじゃん)や、中華粥の日もある。モロッコ風やトルコ風の日もある。パンはあまり登場しない。
4月半ばから7月ごろまでは、ベランダで食べることも多い。
そのせいで、今年はすっかり日焼けをしてしまい、ここ数年で一番色黒になってしまった。こればかりは、ちょっと反省している。日焼け止めは塗っていたけれど、こどもの頃からメラニン色素が活発なのを甘く見ていた。
来年からはベランダは控えめにしようと思う。外で食べるのは気持ちがよいのだけど、シミだらけの婆さんになるのはいかにもつらいではないか。
幸い、うちには和室がある。障子から差す季節ごとの明るさに包まれて食べる朝ごはんは格別だ。お気に入りの鍋島緞通にちんまり座って、ラジオから流れるクラシックを聴きながら、この器、買ってよかったなあ。ぬか漬けがいい塩梅だなあ。などと思いながら食べる。
これをわたしは「#愛のお婆さん暮らし」と名付けている。
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明日の朝はなにを食べようか。
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