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モンゴル馬旅記① 「馬力」はものすごかった

いまお世話になっているホーストレッキングファーム三浦海岸主催のモンゴルツアー・ロングコースに参加してきました!

8日間、あまりにも濃密すぎて、したためていた日記も相当の文量になってしまったので、ここでは3つのポイントに絞って書いてみようと思います。

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今回の旅、もともとは「モンゴルの大草原を馬で駆け抜けるの、一生に一度はやってみたい!」というすごくシンプルな思いで飛び込むことを決め、ショート・ミドル・ロングの3つのコースがあるなかで、どうせなら一番いろんな場所をめぐれるロングコースを選択したのでした。

…が、ショートとミドルは、毎日同じ大草原を馬で駆け抜け、同じゲルに帰って眠る…というコースなのに対し、ロングは、ハギンハルノールという山奥の湖を目指して、途中途中テントで宿泊しながら旅をしていく(そして出発地点に戻る)というコース。思い描いていた”大草原”は2日目の午前中でほぼ終わり、あとはもう…ほんとうに…モンゴル大冒険!だった(笑)。

馬もこけるほどの沼地に、大木があちこちで倒れている山道、直角にも思えるくらいの急斜面や、見ているだけでも痛々しいくらいのゴツゴツした岩場、果敢に挑んだ車が浸水して壊れていたほどの川や、人間も通れないくらいの隙間しか空いていない低木地帯などなど…

人でも車でも「不可能」って思えるような道のりを、馬と一緒ならぐいぐいと進んでいけちゃう。

いや、もちろん、そんなにスイスイと進めたわけではなくて、沼に落ちて泥だらけになる人もいたし(先行隊のおかげで私は無事だった😭)、川に足が浸水してぐしょぐしょにもなったし、山の斜面では滑り落ちないか緊張でいっぱいだったし、アドベチャーとかスリリングなんて言葉では、軽く思えてしまうくらい、真剣に大変だった😂😂

1日目はお尻が打撲状態になり(その後低反発クッションを鞍に載せたことで解消された)、内臓全部が揺れるから肋骨周辺も息をするだけで痛くて苦しかった。2日目には必死に掴んでいた手のひらが筋肉痛になった。3日目からは休憩時に馬から降りたらその場でしゃがみこんでしまいそうなくらい、膝が痛くて割れそうだった。二の腕もちょっと揉むだけで痛いくらいの筋肉痛になり、太ももには大きな青痣ができて、手の薬指の先っぽと小指の爪の隙間にはタコができた。

そんな状態で、たしか3日目のこと。強い日差しにさらされ、長い山道を歩みながら、ふと湧いてきたのが、「あ、これ、馬に乗るためのツアーじゃなかったんだ。あくまで、目的地があって、そこに向かうための旅を、馬という手段を使って進んでいるんだ」っていう感覚。

でも、それこそが何千年にもわたって人間が馬とともに生きてきた理由なんじゃないかとも思う。文明が発達した現代であったって、道路がなければ車もバイクも自転車も走れないような場所を、馬だったら移動できる。草さえあれば”燃料”が補給されるから、ガソリンやパンクの心配もない。(最終日は草原を車で移動したけど、車のほうがぐわんぐわん揺れて大変な所も多かった。)

私が乗っていたポー(モンゴルでは馬に名前はつけないため、日本人メンバーがそれぞれにツアー中の名前を勝手につけた)は、すごく慎重な子で、いつも最後尾になっては、モンゴルのお兄さんたちに追い立てられていたけど(苦笑)、でも、「この子は安全な道を選んでくれる」っていう信頼感がどこかであって、沼地もポーが選んだ道に身を任せたり、急な下り坂の時は、体を後ろに倒して、足元をまったく見ずにポーに体をあずけたりした。馬たち自身にちゃんと知力があって判断してくれるのも、機械との大きな違いだと思う。

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一方で、最近はどんどん車で乗り込む人も増え、土が踏み固められてしまったり、草木がなぎ倒されることも増えているとのこと。特に、最終目的地であったハギンハルノールのあたりは、高価な松の実がたくさん採れるため、その採取のために車で乗り付ける人たちも少なくないとか…。

最近身近になった象牙の話とか、前に映画「女を修理する男」で触れた携帯に使う鉱物の話とかもそうだけど、ここモンゴルでも、お金のために自然が壊される現実が広がっているのが切ない。…と同時に、単純に非難できる問題じゃないのも分かっているから、もどかしい…。

最近では田舎の人でも馬に乗れる人が減っているみたいだし、この先、どんどん「機械のための道路」が、大自然のなかに切り開かれていったとしても、不思議じゃないだろうなぁ。

馬、ほんとうにすごいのになぁ。。。

…って、いくら言葉で書き立てても伝えきれない気がするし、日本国内では、”馬とのエンターテイメント”はあっても、今回みたいな”馬と生きる/生活する”ことを体感できる場って、ほぼないんじゃないかなと思わずにはいられない。

とはいえ、②に書く「約束」のために、日本でもっと馬に乗れるように練習したいなぁとも思うのでした。→②に続く・・・


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