見出し画像

詩「水の花の調べ」~アルバム「声、故障」より


水の花の調べ

空が落ちてきて
世界が
落とし穴になって

「雨音は、ショパンの調べ」

大地が空に
私は雲に

あなたは
扉の海に

私は
鍵の雨に

「音を減らすには 
 晴れなければならない」

見つめ合う
心の瞳から生まれる
ふたりの間の情報は
全ての悲しみと
それを昇華してきた
花が咲いて種になる痛みと
さなぎが耳をすますための
逆回転のかさぶたと
絶対に忘れないと誓って
サヨナラし合った
魂の握手を
四本の手を
切断することに
よって封じ込めた
形ある
腕と

次の瞬間には
それは思い出

ならば
知らないことは
忘れていただけのこと

音は
空間がなければ
時間には
なれないから

音楽は
光は
影の裏側は
あなたがいなければ
流れにはなれないから

あなたが私のラブソングになる時
私は時間を脱いで
永遠の羽化の最中
こぼれる涙が
音になる世界

だから私は
音楽になるの

ここで
私は
あなたの
心を

記憶をなくしても
入れ替わっても
記憶を違えても
壁に
ニ本の足がめり込んでも
地獄の花が
影の響きだろうが
私という楽器が
醜く
歪む
管だろうが
誰が誰を忘れて
私が誰を忘れて 
誰が私を忘れて
私が
誰が
詰将棋を

今日のミスは1回
今日のミスタッチは1回
でもそれが可能性で
ありますように……

もう

黙ろう……

耳を……

すませるから……



僕が僕のプロでいるために使わせて頂きます。同じ空のしたにいるあなたの幸せにつながる何かを模索し、つくりつづけます。