21卒の就活生が流浪の月を日曜日に読んだ

7月12日朝6時ごろ。
昨夜から流浪の月を読んでいる。
気付いたら夜は明け、ここ最近じゃ見られなかった日差しがベランダに降り注ぐ。
しかし、相変わらず湿気はすごい。虫もいるし、ベランダに椅子を置けばいいものの忘れてしまって直に座るか立つかの体勢で本を読むしかない。
読書をするには向いてない環境だが、それでも朝日を浴びながら読書をしたいと思った。もう今更寝ることはできない。
読み切るまで安心できない。どうか幸せな終わり方をしてほしい。文と更紗の希望を見たい。

 朝日がこんなに気持ちいいと思うのは久しぶりだ。3年前の夏休みに初めて友達と日の出を見たとき以来だと思う。あの時はもっと暑かった。今日のはもっと穏やかで、朝日ってこんな感じだったねと懐かしい気持ちになった。
この静けさも懐かしい。最近は雨風の音、近隣住民の声、犬の鳴き声がずっと聞こえてきていてストレスだった。
今まではとくに気にならなかったのに雨と風と湿気が、先の見えない私を確実に蝕んでいた。
誰だって確実な未来は見えない。しかし、ここまで雲行きが怪しいのは今までの人生ではなかった。ただでさえ次のステップに行くことが不安に感じるのに、世界規模であらゆることが不安定になるなんて。そう思い始めて早4ヶ月。


男女の恋愛とは違ったものを描いているとは聞いていたが、まさか本の内容がこんな重いものだったと覚悟していなかった。それでも良かった。むしろ重くて良かった。あぁ文さんと更紗が出逢えて良かった。最後まで一気に読み切り安心することができた。文さんには更紗がいて、更紗には文さんがいる。これ以上ない幸せだと思う。
一睡もせずに朝日を迎えて読み切ったら更紗の自由を味わってみたくなった。

今、私は何がしたい?

この朝日をもっと浴びたい。とりあえず家を出よう。お金がないからいつもはマックだけど、今日はスタバに向かった。
本当はコーヒーが良かったけど、胃が耐えられなさそうだからゆずシトラスティーにした。あんまりゆずの香りがしない。泣きすぎて鼻が詰まってるからかな。初めて飲んだときが一番美味しかった気がする。それでもコーヒーにしなくて良かったと思う。
日曜の朝7時にここに来る人たちの雰囲気が良かった。特別気取った格好をしたわけでないが綺麗なシルエットの人が多い。どの人も被写体にしたくなるような人たち。
うわ、いいなぁ、ランニングウェアに身を包み赤ちゃんを片手で抱き抱えつつアイスコーヒーを買うなんて。結婚願望はないけど姪っ子ができてからちょっとは考えるようになった。

落ち着いてきて眠いが、家に帰りたくないなぁ。
友達に会いたいな。ただたわいもない話をしたいな。一人の時間もかなり好きだったはずなのに、自粛をしているせいで確実に寂しさを覚えた。

家に帰り、一度寝て今度は三章を飛ばしてもう一度流浪の月を読んだ。三章は辛すぎるから。それでもやっぱり泣いた。一回目に読んだ時はどちらかというと更紗目線で物語を見て、四章の文の話が答え合わせのように感じた。二回目には文の気持ちで読んでしまったらなんだかもっと切なかった。更紗の境遇も辛くて切ないが、彼女は少なからずとも幸せな時を過ごすことができている。文は幸せを更紗に会うまで知らなかったのかな。
すでに幸せだと思える瞬間を知った後にそれを奪われていくのも苦しいし、秘密を抱えながら感じる幸せも心苦しい。
でも二人が一緒なら幸せを分かち合えるのね。みんなから好かれなくてもわかってくれる人が側にいる。私を必要としている人がいる。そう感じることは幸せだと思う。


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