戯れ言
人造海月の夢のなか。
ひそかに沈殿する思考。
フラスクの中に酒はないよ。
あれは、蟹のあぶくだよ。
空のフラスク。
滲んだ海。
君は何を考えているのか。
ぼくは何を求めているのか。
重なり合うべきもない、現世の幻影。
ぼくらの貧弱な肉体。
骨。
君は骨格標本が嫌いだった。
あれは、うつくしいものなのに。
あんなにも
うつくしいのに。
海月の漂う粘性の夜。
ぬらぬらとぬめる。
あの砂浜は、
もう、ないのかも知れない。
海面に零れた月の光を、君に採ってあげたかった。
青白い君の横顔にきっと似合ったろう。
きっと、似合っただろう。
君は今、何処に居る?
ぼくのつまらない話を聞いてくれ。
あの、ひきつった笑顔をもう一度見せてくれ。
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