見出し画像

「チー牛」問題で見えたネットスラング使用によるイメージダウンの危険性

ネット配信はTVのように放送禁止用語がないからこそ、使う単語を選ぶセンスが必要とされるって言う話です。

発端

☑︎ セガのYouTube生配信
☑︎ セガ取締役を含めてプレーヤーの外見に言及
☑︎ 名越氏の「チーズ牛丼食ってそうな感じ」発言で炎上
 セガは7月28日、「セガなま ~セガゲームクリエイター名越稔洋の生でカンパイ~」と題した番組をユーチューブなどで生配信した。

 同番組では、人気ゲーム『龍が如く』シリーズ総合監督で、セガ取締役CCOの名越稔洋氏と、タレントの椿彩奈さんが司会を務め、セガが展開するゲームの最新情報を月1回伝えている。

 問題となったのは、「名越が生で訊く!」というコーナーだ。番組収録スタジオに「ぷよぷよ」シリーズ総合プロデューサーの細山田水紀氏を呼び、6月に開催された「ぷよぷよ」のセガ公式プロ大会の決勝戦の模様を紹介した。決勝では男子高校生と男子大学生のプロ選手が対戦した。

 「どうですか、eスポーツとしてのぷよぷよの盛り上がりは」と大会について感想を求められた名越氏は、苦笑しながら「真面目そうな子が、ねえ。いいじゃないですか。うまくいえないけど。いい言葉が浮かばないけど」などとプレーヤーの見た目の雰囲気に言及した。

 椿さんが「見た目の印象が変な言い方ですが、いいといいますかね」とフォローすると、名越氏は「その地味さがいい」と頷いた。

 細山田氏も笑いながら「地味は地味ですね」「修行僧みたいな、すごい練習してるんで。派手さはないかもしれないです」と応じ、名越氏の「チーズ牛丼食ってそうな感じ」との発言にはスタジオが笑いに包まれた。

今回は「チーズ牛丼」「チー牛」というネットスラングが炎上の原因になります。

「チーズ牛丼」「チー牛」とは

☑︎ ネット掲示板「なんJ」発祥のネットスラング
☑︎ (チーズ牛丼を頼みそうな)隠キャ、オタクっぽい見た目の男性を指す
☑︎ 以前は「見た目を含めて性格的にも難がありそうな奴」という差別的ニュアンスの単語だった

いくつか「チーズ牛丼」の解説を引用してみました。

元ネタは2018年にネット掲示板“なんJ”で出回ったイラスト。

メガネをかけた素朴な男性が「すいません、三色チーズ牛丼の特盛りに温玉付きをお願いします」と注文しているもので、このような男性=陰キャっぽいというニュアンスで「チー牛」が用いられるようになった。
「チー牛」が広まるようになったきっかけとされているのは、5ちゃんねるの掲示板「なんでも実況(ジュピター)」で18年7月19日にとあるスレッドに投稿された書き込みだ。投稿者は「ザ・陰キャって顔」の特徴を挙げ、「眼鏡」「黒髪」「子供のような髪型」「覇気のない抜けた顔」などと辛らつな言葉を並べた。この書き込みに、チーズ牛丼を注文する男性のイラストが参考画像のように添えられているのだ。

このイラストは、その以前から存在しており、あくまで投稿者が勝手にイメージとして転載してきたものだったとみられる。にもかかわらずこの書き込みはスレッド内で「こういう顔のやつおるよな」などと反響を呼んだ。この書き込みにより、イラストの男性の外見的特徴と「チーズ牛丼」、そして「陰キャ」が結びついていく。
19年4月にはまとめサイトで「とろ~り3種のチーズ牛丼とかいう陰キャ専用牛丼」というスレッドが掲載されているように、「『陰キャ』は『チーズ牛丼』を食べる」というジョークのような風潮が醸成されていく。

そうして「あなたはあのイラストの『陰キャ』とされる男性のような雰囲気や顔をしていそうだ」という、相手をけなすための「煽り」として「チーズ牛丼」が用いられていくようになった。
画像の元ネタはいびりょ氏が描いた2008年に書いたイラストで、そのイラストが時を超えて掲示板(なんJ 昼のニート無職部 part3)に書き込まれたのが流行のきっかけになったようです。

書き込まれた当初は、差別的なニュアンスが含まれていたようです。

2020年に入ってから爆発的に流行したことで、そのようなニュアンスは多少薄まり、煽りや自虐に多用され、果てはコスプレまで登場している状況。

今や「隠キャ」「オタク」も、昔ほど揶揄感や侮蔑的な意味を持たなくなっていますが、コミュニティによっては未だポジティブな意味を持つ単語ではありません。

「陰キャ(いんキャ)」とは、陰気な性格の人を意味する俗語。「陰気なキャラ」「陰気キャラ」を略した若者言葉である。これに対して、陽気なキャラの人は「陽キャ」という。

スクールカーストの文脈においては、実際の性格が陰気かどうかをさほど重要な条件とせず、スクールカーストの下位に位置する、いわゆるクラスの「イケてない」人やグループの総称として用いられることも多い。また陰キャは、コミュニケーション能力のない人、社会性の低い人という意味で使われる場合もある。他人を見下すニュアンスでも使われる。ここ数年ほどの間に、大学生などの間で多用されるようになった。

また、中高年世代の場合、オタクへの差別的扱いを受け、今でも影響が社会に残っています。

1988年(昭和63年)から1989年(平成元年)の東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件ではマスコミが犯人の異常性と趣味を結びつけてセンセーショナルに取り上げ、全国に報道された。犯人はビデオテープ、漫画、雑誌などを多数収集していたが、その中にあったホラー物、ロリコン物がことさらに取り上げられ、事件と関連付けて報道された[3][2]。多くの人々はこの事件の報道を通じておたくを理解したので、「おたく=変質者・犯罪者予備軍」といった認識が普及するようになった[3][2]。この時期、「おたく」という言葉は放送問題用語とされ、テレビ放送で使用できない言葉であった[4]。現在でもこの影響は残っており、おたくを性犯罪と結びつける報道がなされることがある[5]。

つまり、「チー牛」「チーズ牛丼」「チーズ牛丼を食べていそうな人」という単語を他人に向けた場合、見た目が素朴や真面目そうといったイメージではなく、「見た目が冴えなく、コミュニケーションに難があり、社会性に疑問がある」と言った文脈で理解される可能性があるということです。

もし生放送等で使用してしまった場合、そのつもりがあってもなくても、他人を侮蔑する人というイメージがついてしまう危険性があります。

ネットスラング事故を念頭に置く

☑︎ 安易にネットスラングを使用しない
☑︎ ネットスラングの文脈を事前に調べておく
☑︎ ネガティヴなイメージの単語を使用しない
☑︎ 自虐で許される単語と、他人に使ってはいけない単語を弁える

「チーズ牛丼」という単語だけでも、かなりのバックグラウンドが含まれている事がおわかりいただけたかと思います

ネットスラングを使用すればコミュニティに溶け込んだ感を演出出来ますが、その些細な演出のために企業やパーソナルイメージを傷付ける可能性を考えて発言した方が良いでしょう。

匿名掲示板は公の場ではないと考えている人が多いので、過激な単語やネガティブなネットスラングを好き放題使っています。
流行っているからと言って、公の場で安易に使うべきではない単語が含まれている可能性もあります。

そのコミュニティ特有のネットスラングを使う必要が無ければ、一般的な単語で十分だと思いますし、事故避けるのであれば、きっちりとネットスラングを調べておく必要があります。

まとめ

☑︎ 安易にネットスラングを使わない
☑︎ ネットスラングに含まれるバックボーンを理解する必要がある
☑︎ 容姿が求められる場面でない限り、安易に人の見た目を取り上げない

正直、今回の配信はeスポーツとしての舞台であり、参加者の見た目を評価する場ではありません。
わざわざ取り上げる必要はないですし、取り上げたとしても「真面目そう」「素朴」と言った単語だけで十分だったはずです。
そこでネガティブな要素を持っている「チーズ牛丼食べてそう」というネットスラングを持ち混んでしまったがために、イメージが毀損されてしまいました。

ネガティブな意味で使ったんじゃないと釈明しても、受け取る人たちがいてこその言葉ですから、揶揄が含まれる単語の使用は避けるべきでしょう。

それはそうとして、牛丼にチーズトッピングって定番ですよね。



🌷使っていただいたお金は、本や、資材購入に当てられます🌹