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「自分磨き」とは、自分の気持ちを磨くこと

 失恋をして、復縁がしたいと思った人は、至る所で「自分磨き」と言う言葉を目にするはず。
 私が復縁を目指していた時期は、ちょうど「垢抜け」という言葉が流行っていた頃だった。「復縁」「自分磨き」「垢抜け」は、セットで語られていたように思う。

 曰く、いちばんいいのは「彼と出会いなおすこと」。外見的にイメチェンして、まるで別人みたいになるのがいいらしい。

 それも確かに一理ある。とは言え、「彼は変わらないのに、自分は変わらなきゃいけないの?」と思ったのも事実。それはちょっと不平等に感じる。

 私は、痩せること、綺麗になること、ネイルやメイクを変えること、つまりは、まるっきり変わることだけが自分磨きだと思っていた。

 しかも、それをする決意はできなかった。だって、そもそも彼の態度が変わったのだから、彼に改めていただきたいし、何より、努力が嫌い。今になってみれば、そんな考え方の時点で、復縁は難しいのかもしれない。

 復縁のハードルは確かにものすごく高い。でも、全くの別人みたいにならないままでいたって、復縁は出来る。「今の自分」から抜け出そうとするあまり、別人になるのではあまりに虚しい。別人になっていいのなら、私を「好きです」と選んだ彼の思いは何だったのか。

 そもそも、「自分磨き」なのだから、とにかく磨けばいいのだ。もともと備わっていないものを備えようとすれば、それはしんどい。磨いてダイヤモンドになるはずのものが、ルビーになったらたまげてしまう。全くの別人になる必要はどこにもない。

 大切なのは、自分の気持ちを磨くこと。
 つまり、彼を考え抜くことと、彼のためのスペースを、心の中に確保しておくこと、この2つ。

 「彼と」じゃないと何も楽しくなくなってしまった私、彼の存在を嬉しく思うより、不安を埋めてもらうことを考えるようになってしまった私。これではあまりに一人よがりだ。彼を愛するよりも、むしろ私のことを私自身が愛してしまっている。

 一人よがりになった末に別れという選択があるなら、一人よがりじゃなくなればいい。

 いつか彼から連絡がくる時、彼のことを考え抜いた後の私と、彼のことに蓋をしたままの私なら、どちらがより良い返事をできるだろう。

 得体の知れない「自分磨き」は、きっと彼に向ける「自分」の気持ちを「磨き」上げておくこと。
 彼はあの時、私にどうして欲しかったのか、彼が私に冷たくなっていった理由はどこにあるのか。彼のことを考え尽くした先に、答えはあるはず。

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