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IPAの基礎知識+初心者にオススメのIPA

0.始めに

皆様お久しぶりです。最近IPAに浮気しているオッサンです。
この記事では私の覚え書きを含む基礎知識に加えて、初心者の方にオススメのIPAを紹介していきます。

※情報に間違いがあった際は適宜修正していきますので、間違いを発見された有識者の方はご指摘をお願いします。


1.IPAとは

そもそもIPAとは何を略したものなのでしょうか?

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IPAは「India Pale Ale」の頭文字を取った略語となります。
「India Pale Ale」は直訳すると「インドの淡い色のエール」となります。

ここでの「Pale Ale」は「ペールエール」というビアスタイルになります。「Pale」とある以上色が薄いビールと考えてしまいますが、そんなことはありません。ペールエールが誕生した時代(17世紀)のビール(茶色のビール)と比較して色が薄かったので、「Pale Ale」と名付けられました。

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ペールエールの一例(柿田川ブリューイング 千本ペールエール)


話をIPAに戻しましょう。IPAは「India Pale Ale」であるので発祥はインドであると考えるのが普通ですがそれは間違いです。

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IPAはイギリスが発祥となります。何故「IPA」という名前になったかというと「インド在住のイギリス人が好んで飲むペールエール」がIPAだったからです。

グーグル等で調べてみると、「インドがイギリスの植民地だった時代、イギリスからインドにペールエールを輸送するために防腐剤となるホップを大量に入れ、アルコール度数を高めた腐りにくいペールエールが作られた」というのが出てきますがこれは1つの説に過ぎません。

ここでもう一つの説を紹介します。

①「オクトーバービール」というホップが大量に入った度数が高いビールがあり、そのビールは18ヶ月熟成させなければいけなかった

②その長い熟成期間がイギリスからインドに輸送される際にプラスに働きインド在住のイギリス人に好評になる

③「オクトーバービール」がインドで飲まれているペールエールとしてイギリス本土で好評になり、「インド」スタイルとなる(後のIPA)

どちらの説にしても「IPAはイギリス発祥」であることには違いないので、どちらが正しいかは気にしなくていいでしょう。


発祥地の話の後は、本場の話をしていきます。

「発祥地がイギリスならば本場もイギリスでは?」と考えるのが普通ですがIPAの本場はアメリカとなります。

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こちらも経緯を説明していきます。

①上で説明したイギリスのIPAは1900年ぐらいに廃れる

②1980年代のアメリカでクラフトビール作りが始まり、アメリカでは飲めないビールスタイルでの試作が始まる

③香りと味が強いアメリカ産のホップとホップを大量に使うIPAが相性が良く、徐々に生産量が拡大して現在に至る

現在飲んでいるIPAはホップのフルーティな香りを抽出した「アメリカンIPA」であることが多いです(IPAの区分は後述)。


しょーもない歴史の話はここまで、ここからは味の話になります。

普段IPAを飲んでいない人にIPAの特徴を聞くと「IPAってあれでしょう、苦みの強いやつ」って答える人がほとんどでした。

確かにIPAは苦みが強いのが多いですが、苦みが強くないものに加えて苦みがほとんど無いものもあるのでこれでは不正解です。

じゃあIPAの特徴ってなんだよって言われた時の私の答えがこちらです。

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よく分からないと思った人がほとんどでしょう。IPAの種類が多すぎるのでこうとしか表現できないのです。気になるホップの特徴は次のセクションでお話します。


2-1.ホップについて

ビール好きであればよく耳にするホップという単語、そもそもホップとは何者なのでしょう。

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ホップの写真(Antenna Americaより引用)

ホップはアサ科の多年草で和名を「西洋唐花草」と言います。ホップという植物は雌雄異株で雄花と雌花の二種類の花があり、その中の雌花をビールの原材料として使います。この雌花は「毬花」「果穂」などと人によって呼び方が変わるのですが、この記事では「毬花」と呼びます。

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ホップの毬花の写真(木のメモ帳より引用)

この毬花の中に入っている「ルプリン」と呼ばれる黄色の粒子が入っており、その「ルプリン」にビールに苦みや香りを付ける成分が含まれています。

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毬花の断面の写真(木のメモ帳より引用)

ホップ全体の話はここまで、次からはビールにおけるホップについてのお話です。(これ以降ホップの毬花のことをホップと表記します。)


2-2.ビールにおけるホップについて

ビール作りに使用されるホップは大きく分けて3つに分類されます。

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ここからはこれら3つについて軽く解説して、代表例を紹介していきます。


ファインアロマホップ

穏やかで柔らかい香りのするホップ。

代表例:ザーツ、テトナング


アロマホップ

ファインアロマホップと比較すると強い香りのするホップ。IPAの柑橘類のような香りの由来。

代表例:カスケード、モザイク


ビター(ビタリング)ホップ

苦みが強く深みのある香りのするホップ。IPAの強い苦みの由来。

代表例:マグナム、コロンバス


ここまで3つの種類の特徴を紹介してきましたが、ファインアロマホップは種類が少ないですし、アロマとビターを両立しているホップもあるので、覚えておく必要はないと思います。

このセクションで覚えておいて欲しいことは

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ということです。

ホップには香りを付けるものと苦みを付けるものがあり、例え大量にホップが入っているIPAといえども苦みを付けるホップの量が少なければ、苦みは強くならないということになります。

という感じでホップのお話はここまでとさせて頂きます。製造時のホップの投入タイミング、投入するホップの形状等まだまだネタはありますが、私もよく分からない部分が多いのでこの記事では説明しません。


3.IPAの種類

ここからはIPAの種類のお話となります。この記事では最低限しか説明しないのでご了承ください。

IPAを分類する際には「アルコール濃度による分類」「スタイルによる分類」2つの手法があります。

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ここからは2つの分類を順番に説明して参ります。


3-1.アルコール濃度による分類

「アルコール濃度による分類」は読んで字の如く、そのIPAのアルコール濃度で分類を行います。

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「アルコール濃度による分類」は大きく分けて上記の3つになります。括弧内のアルコール濃度はあくまで目安であり、正確な定義ではありません。それでは解説をしていきましょう。


セッションIPA

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セッションIPAの一例(Founders All Day IPA)

「Session(セッション)」というのはビール業界でアルコール度数が低いビールのことを示します。セッションIPAは一般的にはアルコール濃度が5.0%以下のIPAのことを指します(写真のIPAは4.7%)。飲みやすいライトなボディにホップの風味が加わった味わいが特徴です。


IPA

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IPAの一例(STONE Brewing IPA)

「アルコール濃度による分類」における普通のIPAはアルコール濃度が5.0~7.5%のIPAのことを指します(写真のIPAは6.9%)。普通のIPAには共通する味の特徴は無く、後述する「スタイルによる分類」によって味の傾向が決まります。


ダブルIPA

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ダブルIPAの一例(箕面ビール W-IPA)

ダブルIPAはアルコール濃度が7.5%以上のIPAのことを指します(写真のIPAは9.0%)。ずっしりとしたフルボディと麦芽由来の甘さが強いのが特徴です。


「アルコール濃度による分類」の解説は以上になります。蛇足ではありますが、ダブルIPAよりさらにアルコール濃度が高いトリプルIPAというものも存在します。

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トリプルIPAの一例(STONE Brewing Ruined Again Triple IPA)

こちらのトリプルIPAはアルコール濃度が10.8%です。味わいはダブルIPAをさらに濃くした味わいで、ビール単品で楽しみたい逸品でした。


3-2.スタイルによる分類

「スタイルによる分類」では「アメリカンIPA」の中で有名なスタイルを2つ紹介します。

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ウエストコーストスタイル

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ウエストコーストスタイルの一例(Green Flash Brewing West Coast IPA)

ウエストコーストスタイルはアメリカの西海岸(ウエストコースト)が発祥のスタイルです。正確な定義はないのですが、苦みが強く、ホップの風味が豊かでモルトの風味があまりしない味わいが特徴です。現在では世界各地で作られており、日本で一番有名な「インドの青鬼」もウエストコーストスタイルだと思われます。

2023.10.28追記
ウエストコーストIPAについて真面目に調べたら、上記に一部誤りが見つかりました。さっくり言うとウエストコーストIPAには「アメリカ西海岸を起源にするIPA」(スタイルはアメリカンIPA)「ウエストコーストIPAというスタイルのIPA」があるということになります。前者はモルトとホップのバランスを楽しめますが、後者はモルト味わいはほとんど無く、ホップのことしか考えていません。数年前の私は後者のことをウエストコーストIPAだと断定して書いてありますが、厳密には間違いとなります。ヤッホーブルーイングのインドの青鬼は前者、Green Flash BrewingのWest Coast IPAは後者に該当します。詳細は別記事で書く予定ですが、調べることが多すぎるのでしばらくお待ちください。

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みんな大好きインドの青鬼


ヘイジースタイル

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ヘイジースタイルの一例(Topa Topa Brewing Spectro Hazy IPA)

ヘイジースタイルはアメリカのニューイングランド地方(東北部)発祥のスタイルです。ヘイジー(Hazy:濁った)の名前の通り、濁っているのが特徴です(今まで紹介したIPAは意図的にヘイジーIPAを除外しています)。この濁りは味わいと香りを追求した結果なので、濁りには特別な意味はありません。

南国フルーツ(マンゴー、パイナップル等)のような香りと果物の甘みが主体の味わいが特徴です(苦みは少ないものが多い)。また、生産地から「ニューイングランドIPA」とも呼ばれています。

※2021.12.05追記 日本のIPAにおいては「ヘイジーIPA」と「ニューイングランドIPA」の違いはないと言っても問題ないですが、本場アメリカのIPAにおいては「ニューイングランドIPA」は苦みがほんどなく、「ヘイジーIPA」はちょっと苦いことが多いです。副原料の差などもあるようですが、正確な定義が無いので明確な線引きが出来ないのが現状です。


「スタイルによる分類」の説明は以上です。ここまで書いておいてなんですが、「スタイルによる分類」を定義していないIPAもありますのでご注意ください(「IPA」としか書かれていないやつは濁りがなく、ウエストコーストスタイルよりも苦みが少ない、ホップと麦の甘みのバランスを重視した味わいであることが多い)。

また、ここで紹介したスタイル以外にも様々なスタイルがあるので、気になる方は調べてみてください。僕はブラックIPAが好きなのですが、作ってるブリュワリーが少なくて悲しいです。

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ブラックIPAの一例(MARCA BREWING Black IPA)


3-3.IPAの分類まとめ

これまでIPAの分類として「アルコール濃度による分類」と「スタイルによる分類」を紹介してきました。通常、これら二つの分類は同時に使います。

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一例としてうちゅうブルーイングの「WHITE HOLE」というビールを紹介します。アルコール濃度は8%なので「ダブルIPA」、濁った見た目なので「ヘイジースタイル」となり、このIPAは「ヘイジーダブルIPA」となります。

「アルコール濃度による分類」と「スタイルによる分類」を組み合わせたIPAの種類を知ると、飲む前に味わいがある程度想像できるようになります。
なので、IPAにハマったら様々な種類のIPAを飲んでみて、自分の好みの種類を見つけることをオススメします。そうすることによりビアバー等でビールを選ぶときに迷わずに済んだり、自分の中での「ブリュワリーの評価基準」を作ることが出来たりします。

IPAの種類の話はここまでにして、次からはIPAの飲み方についての説明していきます。


4.IPAの飲み方

ここからはIPAの飲み方について説明していきます。飲み方といっても説明するのは「温度」「グラス」だけです。では温度から説明していきましょう。


4-1.IPAを飲む温度

ビールは冷えてれば冷えてるほどいいと思うのが普通ですが、IPAは少しぬるいぐらいがちょうどいいです。具体的な温度を言うと9~13℃ぐらいが一番美味しく頂けます。冷えすぎてるとホップの香りが少なくなってしまい、本来の美味しさを堪能出来ないからです。

IPAを美味しい温度にするためにはどうすればいいのでしょうか?
ということで冷蔵庫でキンキンに冷やしたインドの青鬼を常温(室温20℃)で放置した時の温度の変化を調査してみました。

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測定状況

今回の検証では温度計が防水性があるやつではなかったので、冷蔵庫から出して1分後、3分後、5分後‥といった感じで2分毎に温度を測定しました。

グラフ

測定結果

測定結果は上記のグラフの通りになりました。大体2分間で0.3℃上昇します。具体的な経過時間と温度の関係を表すと

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こんな感じになります(9℃の20分は推定時間)。13℃にするためには1時間近く放置しなければいけないようです。13℃にする方法としては「水道水に10分間漬ける」等ありますので、様々な方法をお試しください。

僕は9℃ぐらいのIPAをゆっくりと飲むことで、温度上昇に伴った味と香りの変化を楽しむのが好きなので、冷蔵庫から出して20分放置してから飲むようにしています。


4-2.IPAを飲むグラス

すでに写真で登場していますが、IPA専用のグラスというものがあります。

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このグラスです(形を分かりやすくするためにオレンジジュースで満たしています)。

このグラスはドイツの「シュピゲラウ」というメーカーの製品です。IPAを製造しているブリュワリーと複数回のワークショップを行うことで完成しました(詳しくは下記URLを参考にしてください)。

公式URL:https://shop.spiegelau.co.jp/products/detail.php?product_id=167

公式の営業資料によると、このグラスの特徴は以下の通りになります。

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IPAグラスの特徴(amazon.comより引用)

これじゃあよく分からないので翻訳してみると、

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こんな感じになります(意訳なので注意)。

端的にこのグラスの特徴を説明すると「上の香りを濃縮する部分」「下の飲むたびに泡を再発生させる部分」が合わさることでIPAを美味しく飲むことが出来るということになります。

このグラスでIPAを飲むと最低でも1.3倍は美味しく感じることが出来るので、IPAにハマったら最優先に購入することをオススメします。他のスタイルのビールを飲む方は様々なグラスがセットで販売されているクラフトビール・テイスティング・キットというものがあるのでそれを購入するといいでしょう。

セット販売

3個入りのクラフトビール・テイスティング・キット(シュピゲラウ公式HPより引用)

こちらの3個セットはIPAスタウト(黒ビール)、アメリカン・ウィート・ビール(白ビール)用のグラスのセットで一般的なクラフトビールであればこの3つ+ラガー用のグラスで十分だと思います。

少し脱線しましたが以上でIPA用のグラスないしIPAの飲み方についての説明は終わりです。最後に初心者にオススメしたいIPAを紹介してこの記事は終了となります。


5-1.初心者にオススメのIPAの条件

初心者向けのIPAを考察するにあたり、3つの基準用意しました。

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それぞれについて解説していきましょう。


条件1:本格的だけど飲みやすい

昨今のクラフトビールブームにより様々なIPAが発売されています。しかし、日本で生産されているIPAは、今までIPAを飲んでない人をターゲットにした「飲みやすいだけのIPA」であることが多いのが現状です。そんなIPAを飲んでIPAの真髄を味わえないのは勿体ないことだと思います。

しかし、初心者に「インドの青鬼」や「Stone IPA」といった本格的すぎるものをオススメしてもIPAを嫌いになってしまうことが多いでしょう。ということで今回は折衷案として本格的だけど飲みやすいIPAを紹介することにしました。

私が考える本格的というのは、「ホップの味わい」「一般的なビールより強い苦み」を指します。先述した「飲みやすいだけのIPA」はこれら2つの要素が欠如していることが多いです。


条件2:値段が500円以下

「いや高けぇよ!」と思った方がほとんどでしょう。これでもIPAの中では低価格帯と言えるラインです。IPAは一本600~800円すると思ってください。こんなに高い理由は、IPAを醸造している会社がクラフトビールメーカーであることがほとんどだからです。

クラフトビールは一回あたりの生産量が少なく、原材料にもこだわるので大手企業のビールと比較すると莫大なコストがかかってしまいます。「クラフトビールが高いというよりは大手メーカの値段が安すぎる」と考えた方が精神衛生上いいと思います。そうでもしないと、IPAの追求なんてやってられませんので。

ということで今回は安価という意味で500円以下で購入出来ることを条件として設定しました。


条件3:入手が難しくない

一番大切なところです。いくら値段が安く、美味しくても入手が難しいければ初心者にオススメ出来るとは言えません。先述した二つの条件を満たしているIPAはわりと存在します(例えば:箕面ビール おさるIPAなど)。

そこに「入手が難しくない」という条件を加えると、2つのIPAしか残りませんでした。

ここで言う入手が難しくないというのは、「やまや」「ビックカメラ」といった大手の酒屋に加えて、私の近所にあるスーパーでも在庫が確認出来たものに限定しました。お酒の入荷担当者次第ではあると思いますが、少し大きめのスーパーであれば置いてあると思います。


5-2.初心者にオススメのIPA

前置きが長くなってしまいましたが、上記の条件を満たしている初心者にオススメのIPAを紹介していきます。


一本目:COEDO BREWERY 毬花 -Marihana-

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生産地:日本(埼玉県)
スタイル:セッションIPA
アルコール度数:4.5%
IBU(苦みの指標):45
価格:約300円

一本目は埼玉県のCOEDO BREWERYさんの「毬花 -Marihana-」です。このIPAの特徴は何と言っても飲みやすさにあると思います。セッションIPAであるのに加えて、ホップの爽やかさを主体に作られており、飲み口はレモンを皮ごと使用した「大人のレモンスカッシュ」のような感じです。爽やかさだけではなく、後味にはちゃんとした苦みがやってきて、IPAだということを主張してきます。

僕は様々なIPAを飲んでいるせいか、若干ボディが足りなく感じてしまいます。しかし、食事中に飲むIPAとしてはトップクラスの一本であることは間違いなく、入手も簡単なので常に冷蔵庫に入れておくようにしています。

飲み方の説明で少しぬるめの温度で飲むことを推奨しましたが、「毬花 -Marihana-」は例外でキンキンに冷やして飲むと、レモンスカッシュ感をより堪能できるのでそちらもオススメです。


二本目:BrewDog Punk IPA

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生産地:スコットランド
スタイル:IPA
アルコール度数:5.6%
IBU(苦みの指標):40
値段:約400円

二本目はBrewDogさんの「Punk IPA」です。味、値段、入手難易度等を総合的に判断すると日本市場においては最強の一本と言っても過言ではないでしょう。一般的なIPAによくある柑橘系の他にマンゴーのようなトロピカルフルーツのような味わいが主体で、控えめな麦の甘みとホップの苦みが加わることにより、完璧なハーモニーを作り出します。

どちらかと言うとヘイジースタイルに似ている味わいなのですが、濁ってないからヘイジーとも言えないので、僕は「Punk IPA」は「Punk IPA」というジャンルであると考えています。この価格で唯一無二の個性を持っているIPAを飲めるのはホントにありがたいことなので、最近は感謝をしながら飲むようにしています。

ちなみにこのPunk IPAは温度上昇に伴い苦みが濃くなっていくので、ゆっくりと時間をかけて飲むことをオススメします。また、ビアバー等のビールに強い店に行くととPunk IPAの樽生を置いてあることがありますので、見かけたら是非飲んでみてください。私は普段飲んでいるPunk IPAとは別物に感じてしまうぐらいの濃厚なトロピカルを感じました。



以上で初心者にオススメのIPAの紹介を終わります。「アメリカが本場とか言ってたくせにアメリカのIPAが入ってないやん!」とか「ヘイジーIPAが入ってないやん!」とか色々と苦情があると思うので、おまけとしてそれらの補足をしてこの記事は終了とさせていただきます。



6.おまけ:アメリカのIPAとヘイジーIPAの現状

まずはアメリカのIPAの話から始めていきましょう。日本全国どこでも安定して入手できるアメリカのIPAはありません。比較的見る機会が多いのは、「GOOSE IPA」「Lagunitas IPA」あたりでしょうか。今回これらのIPAは「入手が難しくない」という条件がクリア出来なかったので選考より除外させていただきました。

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GOOSE IPAの写真(しっかりとしたホップフレイバーが特徴)

これ以外のアメリカのIPAはビール専門店(アンテナアメリカ等)かイオンリカー等のごく一部の大手酒屋でないと入手出来ないのが現状です。例外的に店主の趣味で仕入れている小規模な酒屋さんもありますが、そちらの店舗も入荷数が少ないので、一度購入する機会を逃してしまうと二度と購入出来ないことがほとんとです。

要するに田舎に住んでいてアメリカのIPAを飲みたいのであれば、通販をするしかないのが現実となってしまいます。この現状を打破する方法はないので、IPAブームが広がることを祈りましょう。


つぎにヘイジーIPAについてのお話です。ヘイジーIPAは今現在(2020年12月)アメリカでブームなスタイルです。アメリカでブームということは、日本には大量には入ってきていないということで、安定供給はされていないということになります。ということで、初心者にオススメのIPAにはヘイジーIPAは入りませんでした。日本で一番入手しやすいものは伊勢角屋麦酒さんの「ねこにひき」でしょうか。とても美味しいヘイジーIPAなので、少々値段は張りますが見かけたら購入することをオススメします。

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「ねこにひき」の写真


7.最後に

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。この記事を書き始めたきっかけはIPAのレビュー記事を投稿するのに伴い、基礎知識の説明が面倒くさいからひとまとめにしてしまおうという些細なことでした。実際には自分が思っているより必要な情報が多く、完成まで4ヶ月もかかってしまいました。この記事を通してIPAが好きな人が増えて頂けてば幸いです。


8.参考文献

アンテナアメリカ:https://www.antenna-america.com/

木のメモ帳:https://kinomemocho.com/

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