続・彼の布団事情

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 朝陽を感じ目を覚ます。
 暗がりの中手探りでスマホを探し、現在時間の確認。
 そこに表示されているのは午前6時前。いつも通りの時間に起きられたことに少し安心し、スマホのアラームをオフにする。
 ベッドから抜け出すとカーテンを開ける。すると全身に太陽の光を感じ、どこかぼんやりとしていた意識が覚醒するのを感じる。
 彼女はそのままベランダに通じる窓を開け、空の様子を伺う。空には雲ひとつなく、今日も暑くなりそうな気配を漂わせている。
 空の様子を伺い、雨が降りそうにないことを確認した彼女は、一度部屋に入りベッドの上の敷布団とタオルケットをベランダに干す。
 そこでふと、昨日の同僚の話を思い出した。
 今も彼は布団から抜け出せずに眠気と戦っているのだろうか。それともまだ夢の中だろうか。
 首をかしげ、少し考えたが、今の彼の状況がわかるはずもない。
 彼女は日課としているランニングに出るべく寝間着から運動着に着替えると、軽くストレッチをする。時計を見ると、そろそろ6時20分になろうとしていた。
 今から走って帰ってくると7時ぐらい。そこから洗濯をして終わるのが7時半。8時までには十分出勤できるな、と軽く計算。
 朝陽が差す街中に彼女は走り出した。

「おはようございます」
 出勤し、挨拶をしながら社内に入る。
 まだ始業時間まで時間があるので、オフィスにある席のうち、埋まっている席は半分ほどだ。
 オフィス内を見回していると、この時間にしては珍しい人影を見つけた。自分の席も近いことから、必然的にそちらに向かうことになる。
「おはよう。今日は早いんだな」
 そう同僚に声を掛けると、彼はいつもより少し眠そうな顔で彼女を見上げた。
 今日は布団を干せたのだろうか。そんなことを気にしながら、彼女は席に着く。

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