マガジンのカバー画像

巡る季節と変わらぬ想い

3
庭師を想う次期領主の日常
運営しているクリエイター

#一話完結詐欺

この気苦労はいつになればなくなるのか

 夏。それは彼女にとって心躍る季節であると同時に、心を踏みにじられる痛みも伴うものだ。
 彼女の仕事は庭師。雇用主はこの城の城主だ。
 5代目になる城主の彼はこだわり派の人間で、庭師にもそれぞれ得意な季節とそうでない季節があると言い、季節ごとに異なる庭師を抱えていた。
 彼女は夏の城を彩る花を任されている。

 その彼女が憂鬱になることとは……
(あぁ、来てしまった)
 庭の手入れをしている彼女の

もっとみる