【詩】ふるさと

美化された幼き日の追憶
忘れてしまつた友人の名前
真綿で首を締められるやうな息苦しさ
面白かつたはづのアニメ
情緒のない郷愁
昔は良かつたと云へる人
なぜか頭に浮かぶ「君は天然色」
特撮のやうなレトロ
再現された昭和の町並み
思ひ出なき故郷への納税
三途の川の向かうには花畑
埋め立てられた公園
当たらなかつた大予言
わたしの記憶ではない記憶が
前世の記憶のやうに蘇る