【詩】海外

その山に暮らす猿は
片目しかありませんでしたが
ある日 両目のある猿が生まれました
両目のある猿は 成長するに連れて
両目があることを 片目の猿たちが
馬鹿にしてゐることを知り
耐へきれなくなつた両目の猿は
片目猿の山から逃げ出してしまひます
「自分は駄目な奴だ……」と
隣の山に逃げてきた 両目の猿が見たものは
自分と同じやうに 両目のある猿たちでした